持久力を語る上でVO2maxは欠かせない指標です。近年ではスマートウォッチなどで簡単に推定出来るようになり、一般のランナーやフィットネス愛好家の間でも知られるようになりました。VO2maxは身体が運動中にどれだけ酸素を取り込むことが出来るかの指標であり、”持久系スポーツの戦闘力”みたいなもので持久系アスリートは必ず注目している数値です。
本記事ではVO2maxについての解説とVO2maxを上げるトレーニングについて解説していきます。
マラソンが速くなりたいという方は参考にしてみて下さい!
VO2maxはランナーの戦闘力

持久系スポーツをしている多くのアスリートはVO2maxという数値を指標にしています。「VO2max」とは”体重1kgあたり1分間で取り込める酸素の量”のことを言い、より多くの酸素を身体に取り込むことが出来ると、筋肉内の糖質エネルギーを温存し疲労物質の乳酸を抑えてエネルギーを生成することが出来ます。
体内に酸素を取り込むことが出来る量が増えるとより速いペースを維持出来るというわけです。反対にVO2maxが低い人が速いペースで走ると筋肉内のグリコーゲンを消費し疲労物質である乳酸が多く生成されてしまうため、身体は次第に重たくなっていきペースダウンします。
つまり、VO2maxが高いランナーほど、速いペースを維持出来るため、VO2maxとはランナーにおける戦闘力の指標であり、多くのランナーはVO2maxを高めようと日々トレーニングを繰り返しています。
年齢/性別のVO2max
| 年齢/性別 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20代 | 40 | 33 |
| 30代 | 38 | 32 |
| 40代 | 37 | 31 |
| 50代 | 34 | 29 |
| 60代 | 34 | 28 |
VO2maxに関わる要因

身体に酸素を取り込むということはたくさんの空気を吸い込むだけではありません。酸素を走るためのエネルギーを生成するためには酸素を筋細胞まで届ける必要があります。そのため、「1.空気を取り込む肺の機能と呼吸に関わる筋肉」、に加えて「2.血液と酸素・栄養を送り出す心臓」、「3.血液や赤血球の量」、「4.毛細血管の数(血液・酸素送り出す供給網)」、「5.筋細胞内のミトコンドリア(エネルギーを生成する役割)の数」などがVO2maxに関わってくると言われておりトレーニングによって強化することが出来ます。
【VO2maxに関わる要因】
1.空気を取り込む肺の機能と呼吸に関わる筋肉
2.心臓の筋力
3.血液・赤血球の量と質
4.毛細血管の数(血液・酸素の供給網)
5.筋細胞内のミトコンドリアの数と質

トレーニングによって、肺では呼吸筋の強化により多くの空気を取り込むことが出来るようになります。心臓では心筋が強くなり、一回の収縮でより多くの血液を全身に送り出すことが出来るように変化し、筋肉内の毛細血管の数が増えて血液・酸素の供給網が増えることで、筋肉により多くの血液・酸素を送り出すことが出来るようになります。そして、筋細胞内のミトコンドリアの数が増えて届いた酸素をエネルギーとして生成する効率を上げることが出来ます。
走るペースと乳酸の関係

走るペースが速くなり、一定のペースを超えると筋肉内のグリコーゲンを消費しエネルギーを生成する過程で乳酸が身体に蓄積されていきます。乳酸は筋肉の収縮を阻害する作用があるため、次第に足が重たくなり走るペースが維持出来なくなります。
乳酸が蓄積されていくポイントをLT(乳酸性作業閾値)といい、VO2maxが高いランナーほど、乳酸の処理能力も上がっていくため、速いペースを維持しやすくなります。
VO2maxを上げるトレーニングまとめ
インターバル走
VO2maxを向上させるには、最大心拍数に近い数値を維持するトレーニングが有効です。しかし、最大心拍数に達する運動は無酸素運動であるため身体に乳酸が蓄積し運動が次第に維持出来なくなります。そのため、VO2maxを上げるための高い心拍数を維持するには、「全力に近い運動」↔「ジョギング」のサイクルを繰り返すインターバル走が紹介されていることが多いです。
完全に休憩した状態から最大心拍数に到達するまでには90~120秒かかると言われており、インターバルトレーニングの開始は3~5分かけるのが適正であるとされています。そして、ジョギングでは完全に心拍数が元に戻らない内に疾走区間を始めることがポイントです。やや心拍数が高い状態で疾走を始めることでVO2maxは鍛えることが出来ます。
インターバルトレーニングは2回目・3回目と回数を重ねていくにつれて、最大心拍数に到達するまでの時間も短くなっていくため、休憩時間を短く保つ場合は全力に近い運動時間は徐々に短くしても問題ないとされています。また、インターバル走のジョギング時間は走った時間の1/3~1/2を目安にすると良いと思われます。
【インターバル走:例】
・400m以下のような3分以下で行うショートインターバル:10本
・800mのような3分程度で行うミドルトレーニング:8本前後
・1200mのような5分程度で行うロングトレーニング:5本
※インターバル走は様々なバリエーションをつけてみることをオススメします。
坂道ダッシュ

坂道ダッシュは心肺機能と脚の筋力を同時に鍛えることが出来るトレーニングです。かなりきつい強度の運動ですが、行うことで走るペースが速くなる効果も期待出来ます。
最大心拍数に達するまで90~120秒程かかるため300~500mを目安に坂道ダッシュを繰り返してみて下さい。そして、坂道は歩いて降りて、走るフォームを崩さないために長めに休憩を取るようにして下さい。
【坂道ダッシュ:例】
・300~500mの坂道ダッシュ×10本
※ダッシュ力・坂道の勾配で強度は変化するため、様々な坂道・距離とバリエーションをつけてみて下さい。
ロング走

最大心拍数に近い高い強度の運動はVO2maxを高める効果が期待出来ますが、「ゆっくり・長く走る」ロング走も欠かせません。会話が出来る程度のペースで長い時間走ることで、毛細血管を新生し筋肉への酸素供給網を広げる効果、筋肉内のエネルギーを生成する役割があるミトコンドリアの数と機能を高める効果が期待出来ます。多くの酸素を肺に取り入れ、心臓で素早く全身に酸素を送り出すことが出来ても、経路とミトコンドリアの数が少なければエネルギー生成は不十分になってしまいます。
インターバル走や坂道ダッシュは強度の高い運動であるため身体の負担が大きく、連日行うことは難しいトレーニングです。しかし、「ゆっくり・長く走る」ロング走は比較的身体の負担が小さいため、インターバル走や坂道ダッシュの間のトレーニングとして行うことが出来ます。
【ロング走:例】
90分〜150分間のジョギング
【風を切る日々!】 
