
「マラソンのためにスポーツジムへ通った方がいい?」
「ランニングだけではなく、筋トレもした方がいいの?」
「雨の日はランニングマシンだけでも大丈夫?」
マラソントレーニングを始めると、スポーツジムを利用するべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、マラソントレーニングにスポーツジムは必須ではありません。
マラソンを走るための基本的なトレーニングは、実際に走ることです。
一方、スポーツジムには、
- ランニングマシン
- バーベル・ダンベル
- 筋力トレーニングマシン
- エアロバイク
- エリプティカル
- ローイングマシン
などがあります。
特に、自宅では難しい高負荷の筋力トレーニングを行えることは、スポーツジムを利用する大きなメリットです。
この記事では、マラソントレーニングにスポーツジムは必要なのか、ジムを利用するメリット・デメリット、ランニングマシンやエアロバイクの活用方法について科学的根拠を交えながら解説します。
マラソントレーニングにスポーツジムは必要?

マラソンのために必ずスポーツジムへ通う必要はありません。
マラソンでは、
- 長時間走り続ける能力
- ランニングエコノミー
- VO₂max
- 乳酸閾値
- 長時間運動への耐久性
- レースペースへの適応
などがパフォーマンスに関係します。
これらを高める中心となるのは、やはりランニングトレーニングです。
そのため、「マラソンを走るならジムへ入会しなければならない」と考える必要はありません。
自宅周辺で十分にランニングができ、自宅でも必要な補助トレーニングを行えるのであれば、ジムに通わなくてもマラソントレーニングはできます。
一方でスポーツジムには、屋外ランニングにはない設備があります。

したがって、ランニングの代わりとしてジムを利用するというより、ランニングトレーニングを補助するためにジムを利用すると考えると分かりやすいでしょう。
マラソントレーニングでスポーツジムを利用するメリット

天候に左右されずランニングできる
スポーツジムの大きなメリットは、天候に左右されにくいことです。
屋外では、
- 雨
- 台風
- 強風
- 猛暑
- 積雪
- 路面凍結
などによって予定していたランニングができないことがあります。
ランニングマシンを利用すれば、屋外を走りにくい日でもランニングトレーニングを継続できます。
特に夏場の猛暑や冬場の積雪がある地域では、トレーニング環境を確保する手段として便利です。ただし、屋内だから必ず涼しいとは限りません。
ランニングマシンでは屋外ほど身体に風が当たらないため、十分な空調や送風がない環境では身体に熱がこもりやすくなります。
ランニングマシンで速度を管理しやすい
ランニングマシンでは、
- 速度
- 傾斜
- 運動時間
を設定できます。
屋外では無意識にペースが速くなったり遅くなったりすることがありますが、ランニングマシンでは設定した速度を維持できます。
そのため、
- イージーラン
- ペース走
- インターバル走
- 坂道を想定したランニング
などにも利用できます。
一方、ランニングマシンと屋外ランニングは完全に同じではありません。
システマティックレビューでは、トレッドミルと屋外ランニングの間には多くのバイオメカニクス指標で類似点がある一方、一部の走動作には違いが認められています。
そのため、ランニングマシンだけでトレーニングを完結させるのではなく、実際の大会に出場するのであれば屋外ランニングも行うことが重要です。
ランニングマシンは傾斜1%にした方がいい?
ランニングマシンについてよく知られているのが、「傾斜を1%にすると屋外ランニングに近くなる」という話です。
Jonesらの研究では、一定の速度域においてトレッドミルを1%傾斜させることで、屋外ランニングのエネルギーコストに近づいたことが報告されています。
※ただし、この研究結果から、ランニングマシンでは必ず1%に設定しなければならないとはいえません。
ランニング速度や使用するマシン、空調環境などによって条件は変わります。イージーランなどでは0%でも問題ありません。

坂道トレーニングとして利用する場合には、目的に応じて傾斜を調整しましょう。
高負荷の筋力トレーニングを行いやすい

スポーツジムを利用する大きなメリットのひとつが、高負荷の筋力トレーニングを行いやすいことです。
自宅でも、
- スクワット
- ランジ
- ブルガリアンスクワット
- カーフレイズ
- ヒップリフト
などはできます。
しかし、筋力が高くなってくると、自体重だけでは十分な負荷を設定しにくくなる場合があります。
スポーツジムでは、
- バーベル
- ダンベル
- パワーラック
- スミスマシン
- レッグプレス
- カーフレイズマシン
などを利用できるため、自分の筋力に合わせて重量を段階的に増やすことができます。
ランナーにも高負荷筋トレは必要?

長距離ランナーを対象とした研究では、筋力トレーニングによってランニングエコノミーや一部のランニングパフォーマンスが改善する可能性が報告されています。
特に高負荷筋力トレーニングや複合的な筋力トレーニングについて比較的多くの研究があります。
Størenらは、長距離ランナーに最大筋力トレーニングを追加した結果、最大筋力とランニングエコノミー、最大有酸素速度での運動継続時間が改善したと報告しています。
つまりランナーの筋トレは、「軽い重量を何十回も行う」方法だけではありません。
十分なトレーニング経験があるランナーでは、比較的高い重量を使って筋力そのものを高めるという方法も選択肢になります。
その点では、自宅よりもスポーツジムの方が負荷を設定しやすいでしょう。
ただし、研究で高負荷筋トレの効果が報告されているからといって、初心者がいきなり高重量を扱う必要はありません。
まずは、
- 正しいフォームを覚える
- 軽〜中程度の重量から始める
- 徐々に重量を増やす
という順番で進めます。
ランナーがジムで行いやすい筋力トレーニング

マラソンランナーがジムで行う種目としては、例えば次のようなものがあります。

大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングスなどを使う代表的な下半身トレーニングです。
バーベルを利用すれば、自重よりも大きな負荷を設定できます。

大殿筋やハムストリングスなど、身体の後面を中心に鍛えられます。

片脚で身体を支えるため、左右それぞれに負荷をかけられます。
ダンベルを持つことで自重より負荷を高めることもできます。

ランニングでは足関節底屈筋群も重要です。
ジムではダンベル、バーベル、マシンなどを利用し、負荷を調整しやすくなります。

すべての種目を行う必要はありません。自分のトレーニング経験やランニング練習とのバランスを考えて選びましょう。
エアロバイクで心肺機能を鍛えられる

スポーツジムには、ランニングマシン以外にもエアロバイクが設置されていることがあります。
エアロバイクではランニングと同じように有酸素運動ができますが、ランニングとは大きな違いがあります。
それは、着地を繰り返さないことです。ランニングでは一歩ごとに地面へ着地します。
一方、エアロバイクではサドルに座りながらペダルを回転させるため、ランニングと比較すると着地による衝撃を抑えながら心肺系へ刺激を入れられます。
そのため、
- ランニング量を増やしすぎたくない
- ランニングとは異なる運動を取り入れたい
- クロストレーニングを行いたい
場合に利用できます。
エアロバイクだけでもマラソンは速くなる?

ここは注意が必要です。ランニングとサイクリングでは、使用する筋肉や筋活動、身体の動かし方が異なります。
クロストレーニングについてのレビューでは、異なる運動間でもVO₂maxなど一部の生理学的適応が転移する可能性がある一方、実際に行った運動と同じ運動で最も大きな適応が生じる「運動特異性」も示されています。
つまり、
エアロバイク
↓
心肺機能への刺激
は期待できますが、
エアロバイク
↓
ランニング能力が完全に同じように向上する
とは考えない方がよいでしょう。
マラソンを走るためには、
- ランニングフォーム
- 着地への適応
- ランニング特有の筋活動
- 長時間走ることへの適応
も必要です。
そのためエアロバイクは、ランニングを完全に置き換えるものではなく、ランニングを補助するクロストレーニングとして利用するのが基本です。
エリプティカルも利用できる
ジムによってはエリプティカルが設置されています。
エリプティカルは、ペダルに足を乗せたまま楕円状に動かす有酸素運動です。ランニングのような上下方向への着地衝撃を繰り返さずに運動できます。
ランニング以外の方法で心肺系へ刺激を入れたい場合の選択肢になります。

ただしエリプティカルについても、マラソン特有の能力を鍛える中心的なトレーニングというより、補助的なクロストレーニングとして考えます。
ローイングマシンもクロストレーニングになる
ローイングマシンはボートを漕ぐ動作を再現するマシンです。
脚だけではなく、
- 股関節
- 体幹
- 上肢
も使いながら有酸素運動を行います。

全身を使った有酸素運動を行えることがメリットですが、ランニングとの動作特異性は低くなります。
マラソンパフォーマンスを高める目的であれば、ランニングを中心にしながら補助的に利用する方がよいでしょう。
ジムならトレーニングの選択肢を増やせる
スポーツジムを利用する最大の特徴は、ひとつの運動だけを行う場所ではないことです。
例えば、
ランニングマシン
+
筋力トレーニング
だけでも利用できます。
ほかにも、
ランニングマシン
+
エアロバイク
筋力トレーニング
+
エリプティカル
など、目的に応じて組み合わせられます。
ただし、トレーニングの種類を増やせば増やすほど効果が高くなるわけではありません。
マラソンの主役はあくまでランニングです。補助トレーニングを増やしすぎて、重要なランニング練習ができなくなるのであれば本末転倒です。
スポーツジムを利用するデメリット

スポーツジムにはメリットだけではありません。
スポーツジムでは月額料金が必要になります。
ほとんど利用しないのであれば、自宅トレーニングや屋外ランニングの方が費用を抑えられます。
ジムまで往復30分かかる場合、
トレーニング60分
+
移動30分
で合計90分必要です。
忙しい人では、この移動時間がトレーニング継続の負担になることがあります。

ジムを選ぶときは設備だけではなく、通いやすさも重要です。
マラソン大会は基本的に屋外で行われます。
屋外には、
- 風
- 坂道
- カーブ
- 路面の変化
- 気温
- 日差し
- 雨
などがあります。

ランニングマシンだけでは、これらの環境への適応を十分に経験できません。
ランニングマシンでは機械がベルト速度を一定に保ってくれます。
一方、屋外では自分自身でスピードを調整します。
マラソンでは、
「前半に速くなりすぎない」
「坂道でペースを調整する」
「疲れても一定の努力度を保つ」
といった自己ペース調整も重要です。

そのためランニングマシンだけではなく、屋外で自分自身のペース感覚を身につける練習も行いましょう。
筋力トレーニングをやりすぎるとランニングに影響する

筋力トレーニングは有効ですが、量を増やしすぎるとランニング練習に影響する可能性があります。
特に筋トレ初心者では、
- 強い筋肉痛
- 筋力低下
- 脚の重さ
- 疲労
が残ることがあります。
重要なインターバル走やロングランの直前に強い筋肉痛が残れば、予定していたランニングの質が低下する可能性があります。

したがって、「ジムに行ったから全部やる」のではなく、ランニングトレーニングとの組み合わせを考えることが重要です。
マラソンランナーはジムをどう使えばいい?
ジムだけでマラソントレーニングを完結させる必要はありません。
基本的には、
屋外ランニング
+
必要に応じてスポーツジム
という組み合わせがおすすめです。
例えば週4回運動するランナーなら、
月:休養
火:屋外ランニング
水:筋力トレーニング
木:休養
金:ランニングマシンまたは屋外ランニング
土:休養・軽いエアロバイク
日:ロングラン
といった組み合わせもできます。
雨の日だけランニングマシンを利用するのもあり
必ずしもスポーツジムをトレーニングの中心にする必要はありません。

24時間ジムや都度利用できる施設であれば、このような使い方もしやすいでしょう。
こんなランナーはスポーツジムを利用しやすい

次のような人は、スポーツジムを利用するメリットが大きくなります。
雨、雪、猛暑などによって練習が中断しやすい場合は、ランニングマシンが役立ちます。
自宅で扱える重量には限界があります。
バーベルやダンベルを使い、段階的に高負荷筋トレを行いたいランナーにはジムが向いています。
ランニングマシンの傾斜機能を利用すれば、平坦な地域でも上り坂を想定したランニングを行えます。
ただし実際の下り坂は再現できないマシンが多いため、坂道レースへ出場する場合は屋外練習も必要です。
エアロバイク、エリプティカル、ローイングなどを使えるため、ランニング以外の有酸素運動を取り入れやすくなります。
無理にスポーツジムへ通わなくてもいい人

一方、次のような人は無理にジムへ入会しなくてもよいでしょう。
- 屋外で安定してランニングできる
- 自宅で必要な筋トレができる
- ジムへの移動時間が長い
- 月に数回しか利用しない
- クロストレーニングを必要としていない
スポーツジムへ通うこと自体が、マラソンパフォーマンスを高めるわけではありません。

重要なのは、自分に必要なトレーニングを継続できる環境を作ることです。
スポーツジムを選ぶときに確認したいポイント

マラソントレーニング目的でジムを選ぶ場合は、次のポイントを確認しましょう。
混雑時間帯にランニングマシンを使えないジムでは、予定していた練習ができない場合があります。
施設によっては、「1回30分まで」など利用時間が決められている場合があります。
ロングランを行いたい場合には特に確認しましょう。
坂道トレーニングに利用したい場合は、どの程度まで傾斜を上げられるか確認します。
高負荷筋トレを行いたい場合は、
- パワーラック
- バーベル
- プレート
- ダンベル
などがあるか確認しましょう。
クロストレーニングを行いたい人は、有酸素マシンの種類も確認します。
設備が充実していても、通うこと自体が負担になると継続しにくくなります。
トレーニングでは継続が重要なため、通いやすさも大切です。
ジムだけでフルマラソンの練習はできる?

ランニングマシンを使えば、ジム内でもかなりのランニングトレーニングを行えます。
しかし、マラソン大会への参加を考えるのであれば、屋外ランニングも取り入れることをおすすめします。
屋外では、
- 自分でペースを作る
- 路面の変化に対応する
- 坂道を走る
- 風を受ける
- 給水する
- 補給食を食べる
- 実際に使うシューズで長時間走る
といった経験ができます。

特に大会が近づいたら、実際のレース環境に近い条件でも走っておきましょう。
エアロバイクだけでマラソントレーニングはできる?
エアロバイクでも心肺機能に刺激を与えることはできます。しかしランニングとサイクリングは異なる運動です。
そのため、マラソンを目標にするのであれば、エアロバイクを中心ではなく、
ランニングを中心
+
必要に応じてエアロバイク
という考え方が基本になります。
ランナーは筋トレを週何回すればいい?
筋力トレーニングの適切な頻度は、ランニング量やトレーニング経験によって変わります。
研究では週2〜3回程度の筋力トレーニングが採用されることもありますが、すべてのランナーが同じ回数を行う必要はありません。
ランニングを中心にしている人では、まず週1〜2回程度から取り入れ、筋肉痛やランニングへの影響を確認する方法があります。
重要なのは回数を増やすことではなく、継続しながら適切な負荷をかけることです。
ランニングマシンと屋外ランニングはどちらがいい?

どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
屋外ランニングには、
- 実際のレース環境へ適応できる
- 自分でペースを作れる
- 路面や坂道へ対応できる
というメリットがあります。
ランニングマシンには、
- 天候に左右されにくい
- ペースを管理しやすい
- 傾斜を設定できる
というメリットがあります。
それぞれの特徴を理解して使い分けるのがおすすめです。
まとめ|スポーツジムは必須ではないがトレーニングの選択肢を増やせる
マラソントレーニングにスポーツジムは必須ではありません。
マラソンの基本となるのは、実際に走るトレーニングです。
一方、スポーツジムには、
- 天候に左右されずランニングできる
- ランニングマシンで速度や傾斜を設定できる
- 高負荷の筋力トレーニングを行える
- エアロバイクでクロストレーニングできる
- エリプティカルやローイングなどを利用できる
といったメリットがあります。
特に、バーベルやダンベルを利用して自宅では設定しにくい高負荷の筋力トレーニングを行えることは、スポーツジムならではのメリットです。
ただし、ジムに通えば速くなるわけではありません。

大切なのは、ランニングを中心にしながら、自分に必要な設備だけを利用することです。
屋外ランニング
+
ランニングマシン
+
必要な筋力トレーニング
+
必要に応じたクロストレーニング
というように、自分の生活環境や目標に合わせて使い分けていきましょう。
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