
「走る距離を増やしたいけれど、脚への負担が気になる」
「故障中でも、できるだけ心肺機能を落としたくない」
「毎日走るだけではなく、別の運動も取り入れたい」
同じような悩みを持つランナーに役立つのがクロストレーニングです。
クロストレーニングとは、メインとなる競技とは異なる運動を組み合わせてトレーニングする方法です。
ランナーなら、
- サイクリング
- アクアジョギング
- エリプティカル
- 水泳
- ステアクライマー
- ボクシング
- ローイング
などがあります。
クロストレーニングを上手に使えば、ランニングによる着地負荷を増やしすぎずに心肺系へ刺激を加えたり、故障などで走れない期間に体力を維持したりできます。
※ただし、クロストレーニングはランニングを完全に置き換えるものではありません。
これは心肺機能へのトレーニング効果は別種目でもある程度得られる一方で、ランニングエコノミーや筋腱への負荷、接地への適応などは実際に走ることで得られる部分が大きいためです。
この記事では、研究を参考にしながら、
- クロストレーニングのメリット・デメリット
- ランナーにオススメの種目
- それぞれに期待できる効果
- ランニングへの取り入れ方
- 行うときの注意点
を詳しく解説します。
クロストレーニングとは?

クロストレーニングとは、普段行っているスポーツとは異なる運動をトレーニングに組み合わせる方法です。
ランナーの場合は、
ランニング+サイクリング
ランニング+水泳
ランニング+アクアジョギング
などが代表的です。
例えば、これまで週5回ランニングしていた人が、ランニング4回+サイクリング1回に変更する方法があります。
一方で、ランニング量を減らさず、ランニング5回+軽いサイクリング1回として総運動量を増やす方法もあります。
つまりクロストレーニングには、ランニングの一部を置き換える方法と、ランニングに追加する方法の2つがあります。
どちらが適しているかは、トレーニング目的や走行距離、疲労度、故障の有無によって変わります。
ランナーがクロストレーニングを取り入れるメリット

ランニングの着地負荷を増やさず心肺系へ刺激を入れられる
ランニングでは、一歩ごとに身体が地面へ接地します。
走行距離が増えるほど、筋肉や腱、骨などへの機械的負荷も繰り返されます。
一方、
- サイクリング
- アクアジョギング
- 水泳
- エリプティカル
などでは、ランニングより着地衝撃を抑えながら有酸素運動を行えます。
そのため、心肺系への刺激は増やしたいけれど、ランニングによる接地回数は増やしたくないという場合にクロストレーニングが役立ちます。
特に週間走行距離が多いランナーでは、すべての有酸素トレーニングをランニングで行う必要はありません。一部を低衝撃の運動へ置き換えることで、トレーニング全体の負荷を調整できます。
ただし、低衝撃=疲労が少ないという意味ではありません。高強度のサイクリングやステアクライマーなどでは、ランニングとは異なる形で大きな筋疲労が生じます。
心肺機能を維持・向上できる可能性がある
心臓や循環器系に対するトレーニング刺激には、運動種目が変わっても共通する部分があります。
そのため、十分な運動強度を確保すれば、ランニング以外の運動でも心肺機能へ刺激を加えられます。
クロストレーニングに関するレビューでは、ランニング、サイクリング、水泳など異なる運動間でもVO₂maxへのトレーニング効果がある程度転移する可能性が示されています。
一方で、その転移は完全ではなく、運動特異性も存在します。
2026年に発表されたランニングとサイクリングのクロストレーニングに関するシステマティックレビュー・メタ解析では7研究が解析され、トレッドミルVO₂max、自転車VO₂max、1マイル〜5000mのランニングパフォーマンスについて、ランニングとサイクリングの間に明確な差は検出されませんでした。
※ただし研究数は少なく、ランニングとサイクリングを完全に交換できることが証明されたわけではありません。

心肺機能はクロストレーニングでもある程度補える一方で、ランニング能力すべてを別種目で代替することはできないと考えるのが適切です。
走行距離を増やさず総トレーニング量を増やせる
走力を高めようとして、「もっと走らなければ」と考えるランナーは少なくありません。しかし、ランニング量を増やせば接地回数も増えます。
そこで、ランニング+クロストレーニングを利用すれば、走行距離を大きく増やさなくても有酸素運動の総量を増やせます。
例えば、
60分ランニングではなく、40分ランニング+30分サイクリングとする方法があります。
あるいは通常のランニング量は維持したまま、別日に低強度のサイクリングを追加してもよいでしょう。

心肺には余裕があるけれど、脚への負担をこれ以上増やしたくないという場合には使いやすい方法です。
走れない期間の体力維持に利用できる
故障などによって一時的にランニング量を減らさなければならない場合にも、クロストレーニングが役立つことがあります。
特に研究されているのがアクアジョギングです。
トレーニングされたランナーを対象とした研究では、6週間ディープウォーターランニングを行った群で、
- VO₂max
- 換気性作業閾値
- ランニングエコノミー
に有意な低下が認められませんでした。
レビューでも、短期間であればトレーニングされた持久系アスリートの有酸素能力維持に利用できる可能性が示されています。
つまり、走れない=心肺トレーニングが何もできないとは限りません。
※ただし、故障部位によって適した運動は異なります。
「走ると痛いから自転車なら安全」と一律に判断することはできません。
ランニングとは異なる運動刺激を加えられる
ランニングは比較的同じ動作を繰り返す運動です。
一方でクロストレーニングを行えば、
サイクリング
→ ペダリングを中心とした下肢運動
水泳
→ 上半身や体幹も大きく使う全身運動
ローイング
→ 脚・股関節・体幹・背部・上肢を使う
ボクシング
→ パンチ・体幹回旋・フットワークを組み合わせる
といった異なる刺激を加えられます。
※ただし、違う筋肉を使う=ランニングが速くなるというわけではありません。あくまで、運動のバリエーションを増やせるというメリットです。
トレーニングのマンネリを防ぎやすい
毎日ランニングだけを続けていると、精神的に飽きてしまう人もいます。
サイクリングで遠くまで出かけたり、水泳やボクシングを取り入れたりすることで、トレーニングに変化をつけられます。
長期間運動を継続するうえでは、効果が期待できることだけでなく、継続しやすいことも重要です。

自分が楽しめるクロストレーニングを見つけることも大切でしょう。
クロストレーニングのデメリット

ランニング特有の適応を完全には得られない
クロストレーニング最大の弱点は運動特異性です。
ランニングでは、
- 片脚支持
- 接地と離地
- 筋腱による弾性エネルギーの利用
- ピッチとストライドの調整
- 走速度に応じた神経筋活動
- ランニング特有の筋疲労
などが繰り返されます。

サイクリングで心肺機能が向上したとしても、ランニング動作そのものへの適応が同じように起こるとは限りません。
特に競技レベルが高くなるほど、競技特異的なランニングトレーニングの重要性は高くなります。
ランニングエコノミーへの効果は種目によって異なる
ランニングエコノミーとは、一定速度で走るときに必要となる酸素消費量などから評価される指標です。
ランニングエコノミーには、
- 神経筋機能
- 筋腱の特性
- フォーム
- 接地
- 筋力
など複数の要因が関係します。
そのため、単純に心肺機能を鍛えればランニングエコノミーまで良くなるわけではありません。
アクアジョギングによって短期間ランニングエコノミーが維持された研究はありますが、それをすべてのクロストレーニングへ当てはめることはできません。
骨や腱への荷重刺激が少なくなることがある
サイクリング、水泳、アクアジョギングなどの低衝撃運動では、ランニングより骨や腱への荷重刺激が少なくなります。
これは脚への負担を減らすという意味ではメリットです。
※しかし、長期間ほとんど走らずクロストレーニングだけを続けると、心肺機能は維持できているのに、脚がランニングの衝撃に慣れていないという状態になる可能性があります。
故障から復帰するときには特に注意が必要です。
心肺機能が保たれているからといって、いきなり以前と同じ距離を走るのではなく、ランニング量を段階的に戻しましょう。
クロストレーニングを追加しすぎると疲労が増える
ランニングをしていない日は、必ずしも休養日ではありません。
例えば、
火曜日:インターバル走
水曜日:90分サイクリング
木曜日:イージーラン
とすれば、水曜日も立派なトレーニングです。
さらに、
- ボクシング
- ステアクライマー
- 高強度ローイング
- 高強度サイクリング
などでは大きな疲労が生じます。
クロストレーニングを追加するときは、ランニング+クロストレーニングを合わせた総負荷で考えることが大切です。
慣れていない運動では別の部位を痛める可能性がある
ランニング歴が長くても、初めて行うクロストレーニングでは初心者です。
例えば、
サイクリング
→ 大腿四頭筋や膝周囲
水泳
→ 肩周囲
ローイング
→ 腰背部
ボクシング
→ 肩・ふくらはぎ・アキレス腱
ステアクライマー
→ 大腿四頭筋・殿筋群
などに慣れない負荷がかかります。

ランニングで体力があるからといって、最初から高強度で行わないようにしましょう。
ランナーにオススメのクロストレーニングランキング
ランニングとの相性、心肺系への刺激、衝撃負荷、研究の蓄積、実践しやすさなどを総合すると、次の種目が候補になります。
| 順位 | 種目 | 主な特徴 | 脚への衝撃 | オススメの使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | サイクリング | 心肺刺激・運動量を増やしやすい | 低い | イージーラン代替・追加 |
| 2位 | アクアジョギング | ランニングに近い動き・低衝撃 | 非常に低い | 故障時・復帰期 |
| 3位 | エリプティカル | ランニングに比較的近い全身運動 | 低い | イージー〜高強度 |
| 4位 | 水泳 | 全身運動・着地衝撃なし | 非常に低い | 回復日・補助運動 |
| 5位 | ステアクライマー | 心肺+下肢への強い刺激 | 中程度 | 坂道・高強度系 |
| 6位 | ボクシング | 高強度の全身運動 | 中程度 | 運動の変化・高強度系 |
| 7位 | ローイング | 心肺+全身運動 | 低い | 有酸素運動の補助 |
※順位はすべてのランナーに当てはまる絶対的なものではありません。目的によって最適な種目は変わります。
1位|サイクリング

サイクリングは、ランナーが最も取り入れやすいクロストレーニングのひとつです。
ランニングのような着地衝撃を繰り返さずに長時間の有酸素運動を行えるため、
- 心肺機能への刺激
- 有酸素運動量の追加
- ランニング量の一部代替
- 接地回数の調整
などに利用できます。
2026年のシステマティックレビュー・メタ解析では、ランニングとサイクリングを比較した7研究が解析されました。VO₂maxや1マイル〜5000mのランニングパフォーマンスについて明確な差は検出されませんでした。
つまり、心肺機能・短~中距離のランニングパフォーマンスはサイクリングでもある程度同等に鍛えることが出来る可能性があるということです。
しかし、サイクリングをすればランニングと同じ効果が得られると結論づけることはできず、あくまでも可能性があるということです。
最も使いやすいのは、イージーランの一部を置き換える方法です。
例えば、
週5回ランニング
↓
週4回ランニング+週1回サイクリング
とします。
また、30〜60分程度の低〜中強度サイクリングを通常のランニングに追加する方法もあります。

インターバル形式で高強度トレーニングを行うこともできますが、脚に疲労が残ればランニング練習へ影響します。
重要なインターバル走やロングランの直前には負荷を上げすぎないようにしましょう。
2位|アクアジョギング

アクアジョギングは、水中でランニングに近い動作を行う方法です。
特にディープウォーターランニングでは足がプールの底につかないため、接地衝撃を大きく抑えられます。
トレーニングされたランナーを対象とした研究では、6週間のディープウォーターランニングによって、
- VO₂max
- 換気性作業閾値
- ランニングエコノミー
が維持されたと報告されています。

故障などで陸上ランニングが難しい期間に心肺機能を維持するという目的では、特に有力な選択肢です。
例えば普段60分走っている場合、30分ランニング+30分アクアジョギングと一部を置き換えられます。
走れない期間なら、30〜60分程度のアクアジョギングとして利用することもあります。
ただし水中では骨や腱への荷重刺激が少なくなるため、陸上ランニングへ復帰するときは段階的に走行量を増やしましょう。
3位|エリプティカル

エリプティカルは、足をペダルに乗せたまま楕円軌道を描くように動く有酸素運動マシンです。
ランニングに比較的近い下肢の反復運動を行いつつ、着地衝撃を抑えられます。トレッドミルとエリプティカルを同程度の主観的運動強度で比較した研究では、酸素摂取量やエネルギー消費量に大きな差が認められませんでした。
ただし、ランナーを対象に長期間行ってランニングパフォーマンスがどう変化するかについては研究が十分ではありません。
低〜中強度なら、30〜60分程度の連続運動として利用できます。
高強度なら、3〜5分高強度+2〜3分軽い運動を数本行う方法もあります。
雨天や暑い日の室内トレーニングとしても利用しやすい種目です。
4位|水泳

水泳ではランニングのような着地衝撃がなく、
- 心肺系
- 上半身
- 体幹
- 下半身
を使った全身運動ができます。
脚への衝撃を減らしながら運動したい場合には使いやすいでしょう。一方で、水泳とランニングでは動作特性が大きく異なります。

クロストレーニングに関する研究でも運動特異性が指摘されているため、水泳をすれば、そのままランニングが速くなるとは考えない方がよいでしょう。
ハードなランニング翌日に、20〜45分程度の低〜中強度スイムとして取り入れる方法があります。
ただし泳ぎ慣れていない人では心肺より先に肩や腕が疲れる場合があります。水泳初心者は距離よりフォームを優先しましょう。
5位|ステアクライマー

ステアクライマーは階段を連続して上るような運動です。
心肺系だけでなく、
- 大腿四頭筋
- 殿筋群
- 下腿筋群
などにも負荷を加えられます。
階段昇降トレーニングを行った研究では、VO₂maxやランニングパフォーマンスが改善した報告があります。
※ただし研究は古く、対象者数も多くありません。
ステアクライマーは、脚を休ませるためのクロストレーニングとは考えない方がよいでしょう。
むしろ高負荷トレーニングとして、
5〜10分ウォームアップ
↓
2〜4分やや高強度
+
1〜2分軽い運動×4〜6本
↓
クールダウン
のように利用できます。
坂道トレーニングとは動作が同じではありませんが、心肺と下肢へ同時に刺激を加えたい場合の選択肢になります。
6位|ボクシング

ボクシングもクロストレーニングとして利用できます。
ボクシングでは、
- パンチ
- フットワーク
- 体幹回旋
- ミット
- サンドバッグ
などを組み合わせるため、高強度の全身運動になります。
トレーニングされたアマチュアボクサーを対象とした研究では、試合中の平均酸素摂取量がVO₂maxの約89%に達したと報告されており、ボクシングは有酸素系にも大きな負荷がかかる運動です。
期待できるのは、
- 高強度の心肺刺激
- 上半身・体幹を含む全身運動
- ランニングとは異なる運動刺激
- トレーニングのマンネリ防止
などです。
一方で、ランナーがボクシングを行うことで5000mやマラソンが速くなることを直接示した研究は現時点では乏しいため、ランニングパフォーマンス向上を断定することはできません。
クロストレーニング目的なら、
- フィットネスボクシング
- シャドーボクシング
- ミット
- サンドバッグ
などで十分です。
例えば、3分運動+1分休憩×5〜10ラウンドとすると、インターバル形式の心肺トレーニングになります。
ランニング能力向上が目的なら、頭部への打撃を伴うスパーリングを行う必要はありません。また、縄跳びや細かいフットワークでは、ふくらはぎやアキレス腱への反復負荷がかかります。
※脚を完全に休ませたい日のクロストレーニングには向かない場合があります。
7位|ローイング

ローイングマシンは、
- 脚
- 股関節
- 体幹
- 背部
- 上肢
を使う全身運動です。
ランニングのような着地衝撃がない状態で心肺系へ負荷を加えられます。
ただし、ローイングによってランニングパフォーマンスが改善するかを直接調べた研究は、サイクリングやアクアジョギングほど充実していません。
低〜中強度なら、20〜45分程度の連続運動として利用できます。
高強度なら、2〜4分高強度+2分程度の回復×4〜6本なども可能です。
初心者では腰背部に負担が集中しやすいため、強度よりフォーム習得を優先しましょう。
目的別|どのクロストレーニングを選ぶ?
クロストレーニングはランキングだけで決める必要はありません。
自分が何を目的にするかで選びましょう。
| 目的 | オススメ |
|---|---|
| 心肺機能への刺激を増やしたい | サイクリング・エリプティカル |
| 走行距離を増やさず運動量を増やしたい | サイクリング・エリプティカル |
| 故障時のランニング代替 | アクアジョギング |
| 着地衝撃を抑えたい | アクアジョギング・水泳・サイクリング |
| 高強度の刺激を入れたい | サイクリング・エリプティカル・ボクシング |
| 心肺+下半身へ刺激を入れたい | ステアクライマー |
| 全身運動をしたい | 水泳・ローイング・ボクシング |
| ランニング以外の運動も楽しみたい | サイクリング・水泳・ボクシング |
クロストレーニングは週何回行う?

クロストレーニングに、全ランナー共通の最適回数はありません。
必要な頻度は、
- ランニング経験
- 週間走行距離
- トレーニング目的
- クロストレーニングの強度
- 疲労度
- 故障の有無
によって変わります。
通常のトレーニングに新しく取り入れるなら、まずは週1回程度から始めるのが実践しやすいでしょう。慣れてきたら目的に応じて週1〜2回に増やす方法もあります。
例えば、
ランニング5回
↓
ランニング4回+クロストレーニング1回
とします。
一方で故障中などランニング量を大幅に減らしている場合は、クロストレーニングの割合を増やすこともあります。

重要なのは回数そのものではなく、ランニングとクロストレーニングを合わせた総負荷です。
クロストレーニングは何分行えばいい?

時間についても決まった正解はありません。
低〜中強度の有酸素運動なら、30〜60分程度から取り入れやすいでしょう。
ただし、ランニング60分=サイクリング60分のように、時間をそのまま置き換える必要はありません。
種目によって、
- 使用する筋肉
- 心拍反応
- 筋疲労
- 技術的な難しさ
が異なるからです。

初めて行う種目なら、20〜30分程度の短時間から始めても構いません。
クロストレーニングの強度はどう決める?

クロストレーニングでも、ランニングと同じように目的によって強度を変えます。
会話ができる程度の余裕を残します。
サイクリングや水泳などを軽く行い、翌日のランニングへ疲労を残さないことを優先します。
ある程度呼吸は増えるものの、一定時間継続できる強度で行います。
30〜60分程度継続する方法が使いやすいでしょう。
サイクリング、エリプティカル、ボクシングなどでは、数分高強度+回復を繰り返す方法もあります。
ただし高強度クロストレーニングを入れると、「ランニングのインターバル走+クロストレーニングの高強度運動」となり、ハードセッションが増えます。
重要なランニング練習を邪魔しないよう配置しましょう。
ランニングとクロストレーニングの組み合わせ例
月:休養
火:イージーラン
水:休養
木:イージーラン
金:休養
土:軽いサイクリング
日:ロングラン
クロストレーニングを新たに追加する場合は、最初から運動日数を増やしすぎないことがポイントです。
月:イージーラン
火:インターバル走
水:軽いサイクリング
木:イージーラン
金:休養
土:閾値走・テンポ走
日:ロングラン
水曜日のサイクリングは回復を妨げない強度に抑えます。
月:イージーラン
火:インターバル走
水:サイクリング
木:イージーラン
金:休養
土:テンポ走
日:ロングラン+短時間の軽いサイクリング
クロストレーニングを追加しても疲労が増えるため、ランニングの質が落ちる場合は総運動量を減らします。
月:アクアジョギング
火:短時間ランニング
水:休養
木:サイクリング
金:短時間ランニング
土:アクアジョギング
日:休養
※これはあくまで一例です。
故障時は症状や部位によって適した運動が異なるため、医療専門職から運動制限を受けている場合はその指示を優先してください。
クロストレーニングを行うときの注意点

ランニングをクロストレーニングに置き換えすぎない
マラソンや長距離走を速く走ることが目的なら、基本となるのはランニングです。
ランニングでは、
- 接地
- ピッチ
- ストライド
- 筋腱への弾性負荷
- ランニングエコノミー
- レースペースへの適応
などを実際に走りながら身につけます。
クロストレーニングはランニングを補う方法として利用しましょう。
クロストレーニングを休養扱いしない
90分サイクリングした日を、「今日は走っていないから休養日」とは考えないようにしましょう。クロストレーニングでも疲労は蓄積します。
翌日のインターバル走やロングランの質が落ちる場合は、クロストレーニングの時間や強度を減らす必要があります。
新しい運動はいきなり高強度で始めない
ランナーは心肺能力が高いため、新しいスポーツでも長時間動けてしまうことがあります。
しかし、その種目特有の筋肉や関節は慣れていない可能性があります。
最初は、短時間+低強度から始め、徐々に時間や強度を増やしましょう。
痛みがあるときは種目選びに注意する
ランニングで痛みがある場合でも、別の運動なら必ず安全とは限りません。
例えばアキレス腱に痛みがある場合、ボクシングの縄跳びやフットワークで負担が増える可能性があります。
膝の症状によってはサイクリングでも痛みが出る場合があります。
クロストレーニング中に痛みが増える場合は、その運動を無理に続けないようにしましょう。
クロストレーニングだけでマラソンは速くなる?

クロストレーニングによって心肺機能を維持・改善できる可能性はあります。
しかし、クロストレーニングだけでマラソンに必要な能力すべてを高めることは難しいと考えた方がよいでしょう。
マラソンでは、
- 長時間走る能力
- ランニングエコノミー
- 接地への耐性
- 筋腱への負荷
- レースペースへの適応
- 補給しながら走る経験
なども必要です。
クロストレーニングは、「走行距離を増やさず心肺刺激を追加したい」・「一時的にランニング量を減らしたい」ときに特に使いやすい方法です。
クロストレーニングをするとケガを予防できる?

サイクリングや水泳、アクアジョギングへ一部のランニングを置き換えれば、ランニングによる接地回数を減らせます。
そのため、機械的負荷を調整する方法のひとつにはなります。
しかし、クロストレーニングを行えばランニング障害を予防できると断定できるだけの直接的な研究は十分ではありません。
ランニング障害には、
- 過去の障害歴
- トレーニング内容
- 急激な負荷変化
- 回復
- 睡眠
- 身体特性
など複数の要因が関係します。
クロストレーニングは負荷管理の手段のひとつとして利用しましょう。
クロストレーニングと筋トレは同じ?

広い意味では筋力トレーニングもクロストレーニングに含められることがあります。
ただし、ランナーにとって筋力トレーニングには、
- 最大筋力
- 神経筋機能
- ランニングエコノミー
- 持久系パフォーマンス
などを目的とした独立した研究が多くあります。
そのため本記事では、クロストレーニング=ランニング以外の主に有酸素・持久系運動として扱いました。
筋力トレーニングは別のトレーニング要素として考え、ランニング+筋トレ+必要に応じてクロストレーニングという形で組み合わせると整理しやすいでしょう。
まとめ|クロストレーニングは目的に合わせて使い分けよう
ランナーにオススメのクロストレーニングは、
- サイクリング
- アクアジョギング
- エリプティカル
- 水泳
- ステアクライマー
- ボクシング
- ローイング
です。
その中でも、
有酸素運動量を増やしたい
→ サイクリング
走れない期間に心肺機能を維持したい
→ アクアジョギング
低衝撃でランニングに比較的近い運動をしたい
→ エリプティカル
脚への接地負荷を減らしたい
→ 水泳
心肺と下半身へ強い刺激を入れたい
→ ステアクライマー
楽しみながら高強度の全身運動をしたい
→ ボクシング
低衝撃の全身運動をしたい
→ ローイング
というように目的によって使い分けます。
クロストレーニングは、「走らなくても同じ能力が身につく方法」ではありません。
一方で、ランニングによる負荷を増やしすぎず、心肺系への刺激や総トレーニング量を調整するという点では非常に便利な方法です。

基本となるランニングを継続しながら、自分の目的や疲労状態に合わせてクロストレーニングを取り入れていきましょう。
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