ペース走(Mペース)の効果・適正ペース・距離・オススメのタイミング

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本記事のオススメ対象者は以下のような人です。

1.マラソンが速くなりたい人

2.トレーニングを自分で考えたい人

3.長距離のコーチを目指している人

 マラソントレーニングの1つである「マラソンペース」。

 マラソンペースは「レース本番を想定したペースで走るトレーニング」を指し、レース前には欠かせないトレーニングの1つです。

 本番で想定されるレースペースで走ることでレースの雰囲気に飲まれずにペース配分を調整したり、補給食の摂取や水分補給といった実践トレーニングができます。

 レース本番では会場の雰囲気や周囲のランナーのペースに惑わされてしまい、最初にオーバーペースになってしまうことは珍しくありません。

 また、レース本番で補給食の種類や摂取タイミング・水分補給の摂取方法を誤ってしまい、失速や胃腸トラブルが生じることも珍しくありません。

 実践トレーニングであるマラソンペースをこなしておくことで、レース本番でも惑わされずパフォーマンスを発揮することに繋がります。

 本記事ではそんな「マラソンペース」について分かりやすく解説していきます。

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初心者にもわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい!

マラソンペースとは

 マラソンペースとは実践のレースペースで走るトレーニングを指します。

 ”マラソン”や”長距離走”を目指すランナーにとってマラソンペースは「マラソンの練習試合」となる存在です。

 特に初めてマラソンに参加する久しぶりにマラソンに参加するランナーにオススメのトレーニングであり、本番前にはこなしておきたいトレーニングです。レース前にレースと同じペースのトレーニングをこなすことで様々な恩恵があります。

 次にマラソンペースで走る効果について整理していきます。

マラソンペースの効果

マラソンペースの効果:毛細血管とミトコンドリアの生成

 マラソンペースをこなすことによる身体の変化に関して、「ダニエルズのランニングフォーミュラー」では、イージーランと大きく違いは無いと言われています。

 マラソンペースでも同様に”毛細血管”と”ミトコンドリア”の生成効果が大きいです。また、マラソンペースでも心臓の収縮力は最大まで達すると言われているため、心筋強化の効果も期待できます。

 毛細血管・ミトコンドリアの生成により脂質や糖質のエネルギー生成効率が向上し、ペースを維持しやすくなります。

 特にフルマラソンのようなペースでは、毛細血管・ミトコンドリアの生成は脂質代謝能力を上げ、脂肪酸と酸素をエネルギー生成に利用しやすくなります。

 脂質代謝能力を上げることで糖質エネルギーを温存しやすくなり、最後までペースを維持しやすくなります。

マラソンペースの効果:レースペースを身に付ける

 マラソンペースをこなす恩恵が大きいポイントはレースと同じペース感覚を身に付けることが出来るという点です。

 レース本番では会場の盛り上がった雰囲気やスタート時にいる周囲のたくさんのランナーにペースを乱されてしまい、最初にオーバーペースになってしまうことは珍しくありません。また、レース本番に向けて身体の調子を合わせているため、レース時には絶好調になっていることも最初に飛ばしてしまう原因に…

 マラソンペースで実践と同じペース感覚を身体で覚えておくことは最初にオーバーペースになってしまうことを防ぐことが期待できます。序盤のオーバーペースは後半の失速に繋がり、最初に速めに走るポジティブスプリット戦略はあまりオススメされていません。

 初心者さんは特に最後まで同じペースで走るイーブンペース戦略がオススメされており、レースを想定した「ちょうどよいペース」の感覚を身に付けることで完走・記録更新に繋がります。

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マラソンペースの積み重ねがレース本番の安定に繋がるわけです。

マラソンペースの効果:レース本番で精神的なゆとりが生まれる

 マラソンペースをこなすことでレース本番に向けて自信がついてきます。

 本番を想定したペースで距離をこなしたことが無いと、レースで本番の長い距離に対する心理的なハードル・不安がどうしても出てしまいます。この心理的なハードル・不安は、レース本番で余計な力みを生み出したり、胃腸トラブルに繋がってしまうこともあります。

 

 一度マラソンペースで長い距離(20~30km程度)をこなすことで、「長い距離を実践ペースで走ることができた」という自信に繋がります。このこなすことが出来たという自信は、レース本番で精神的なゆとりを生み出します。

 精神的なゆとりはレース前日の緊張を和らげて、”良質な睡眠の確保”することに繋がります。また、レース当日は「レース中の余計な力みの取り除く」・「胃腸トラブルのリスクを下げる」ことが期待できます。

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マラソンペースを事前にこなすことは体調不良リスクを下げたり、レース本番でパフォーマンスを発揮することに繋がります。

マラソンペース効果:補給食・水分補給のコツを掴む

補給食の選定

 フルマラソンの距離になると最後まで走り切るにはエネルギーが足りないため、途中の補給が欠かせません。補給といっても様々であり、フルマラソンの途中のエイドで補給することもあります。

 しかし、記録にこだわるランナーは途中でエイドに寄っている時間はないため、補給食を事前に用意しておき走りながら摂取することが求められます。

 補給食といっても種類は様々であり、形状は固形物や半固形のジェル、味も様々であり、マラソン本番で摂取する補給食はなんでもよいわけではありません。自分の身体に合わないものを摂取してしまうと当日の胃腸トラブルに繋がってしまうリスクがあります。

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自分の身体と相性が良い補給食・好みの味のものを把握して用意しておくことが当日のトラブルリスクを下げます。

 

補給食の摂取

 走りながら補給をするというのは、実は難しい行為です。走っている時は身体が上下に揺れているため、ちょっとしたミスで補給食が気管に入ろうとしてしまい、むせてしまうこともあります。

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一度に口に含む補給食の量、飲み込むタイミングなどを事前に練習して、気管に入ることを防ぐ練習が必要です。

補給食の摂取タイミングを把握する

 実は補給食によってレース前・序盤・中盤以降と摂取が推奨されているタイミングが違ってきます。そのためレースでパフォーマンスを発揮するには補給食の知識が必要不可欠です。

 また、知識だけでなく、自身のパフォーマンスを最も維持出来る補給食の摂取タイミングを知っておくことも、レース本番に備えた準備として必要です。

 レース前にはスポーツ羊羹を摂取する、8km走ったらメダリストを補給するなど、色々試行錯誤していき、最も調子が出る補給食の摂取タイミングを把握していきましょう。

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自分に合う補給食の選定と摂取タイミング・摂取のコツを身に付けて、自分だけの戦略を作っていく過程はオリジナル性が生まれ楽しくなってきます。

水分補給の練習

 走りながら水分補給をするには練習が必要です。走っている時は上下に揺れているため、水分を摂取するのが非常に難しく、練習しておかないと走っている時にむせてしまいます。

 「一度に口に含む量」・「飲み込むタイミング」を練習で試行錯誤していくことは、レース中のスムーズな水分補給に繋がります。

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マラソン中に欠かすことができない水分補給。

意外と見落としがちですが、補給の練習は非常に大切!

補給の練習を怠ったことで補給に失敗しペースを乱すランナーも少なくありません。

マラソンペースの適正ペース

心拍数ベース

 マラソンペースを心拍数で管理するとマラソン本番の適正ペースでコントロールしやすくなります。心拍数からペースを設定するには最大心拍数が必要です。最大心拍数は測定することでより正確に心拍数ベースでペースを設定することが出来ますが、年齢から予測する方法もあります。

マラソンペースの目安:最大心拍数×80~85%

最大心拍数を測定する方法

 自身の最大心拍数を測定方法として坂道ダッシュを繰り返す方法がオススメです。

1.2分間坂道ダッシュを繰り返して心拍数を測定

2.1分間の測定後に再度坂道ダッシュを2分間行う

 坂道ダッシュを繰り返していき、心拍数が最大値から変化しなくなった値が最大心拍数です。

年齢から適正ペース予測する方法

1.220ー年齢=最大心拍数

2.最大心拍数×80~85%

【例】年齢30歳:(220ー30)×80~85/100=152回/分~161回/分

心拍数は走るペースだけでなく、「疲労や睡眠不足・ストレスなどによる身体の調子」・「走る道路の整備や勾配・気温」などによって左右されます。そのため、走るペースは変わらないけど、心拍数が上がりやすいという時はペースを落とすことを推奨します。

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心拍数ベースでペースを管理する場合、ランニングウォッチが必要です。安いモデルでも十分なので、まだ持っていないという方はランニングウォッチの購入を検討してみて下さい。

自己ベストベース

VDOT Calculator:自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリ

 VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

 自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

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ベストベースでペースを管理するにはスマフォとアプリが必要です。オススメのアプリはStrava(ストラバ)です。ぜひ活用してみて下さい。

しかし、走っている時にスマフォを注視するわけにはいきません。心拍数ベースと合わせてペース管理する場合、ランニングウォッチを付けることをオススメします。

マラソンペース走の適正距離

マラソンペース走の「適正距離」は、走力よりもフルマラソンまでの時期・週間走行距離・目的で変わります。目安はこんな感じです。

レベルマラソンペースで走る距離
初心者・初マラソン5〜10km
サブ4前後8〜15km
サブ3.5前後10〜18km
サブ3前後12〜24km
上級者16〜30km
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ただし、30kmすべてをマラソンペースで走る練習は負担がかなり大きいです。市民ランナーなら、最長でも20〜25km程度に収めるケースが多く、30km走をする場合は前半をゆっくり走り、後半だけマラソンペースにする方が安全です。

目的別のおすすめ距離

① マラソンペースに慣れる

5〜10km

序盤の導入向きです。フォーム、呼吸、リズムを確認しながら、「このペースなら余裕がある」と感じられる強度で行います。

② ペース維持能力を高める

10〜16km

マラソンペース走の中心となる距離です。多くの市民ランナーにとって、効果と疲労のバランスが取りやすい範囲です。

③ レース後半を想定する

16〜24km

本番の4〜8週間前に行う実戦的な練習です。頻繁に行う必要はなく、2〜3週間に1回程度でも十分です。

④ ロング走の後半だけマラソンペース

例:30km走のうち、最後の8〜15kmをマラソンペース

前半15〜20km:マラソンペースより30〜60秒/km遅く

後半8〜15km:マラソンペース

これなら、レース後半に近い疲労状態でペースを維持する練習ができます。

週間走行距離から考える目安

1回のマラソンペース区間は、だいたい週間走行距離の20〜30%程度が無難です。

例:

週40km → 8〜12km

週60km → 12〜18km

週80km → 16〜24km

ウォームアップとクールダウンは、この距離とは別にそれぞれ1〜3kmほど入れます。

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週間走行距離の目安にしてオーバーワークを防ぎましょう!!

やりすぎのサインは、”翌日まで強い筋肉痛が残る”・”フォームが崩れる”・”設定ペースを維持するために息がかなり上がる”、”数日間ほかの練習に影響する”場合などです。

本来のマラソンペースは、練習中には「やや楽〜少しきつい」程度で、10km時点ではまだ余裕がある強度です。毎回限界まで走る練習ではありません。

マラソンペースを行うタイミング

本番までの時期

レース12〜16週間前

まずは短めに導入します。

マラソンペース区間:5〜10km

目的:設定ペースの感覚を覚える

頻度:2週間に1回程度

この時期は、マラソンペース走よりもイージーランやロング走で土台を作ることが優先です。

レース6〜12週間前

マラソンペースを最も取り入れやすい時期です。

マラソンペース区間:8〜16km

頻度:1〜2週間に1回

目的:一定ペースを楽に維持する能力を高める

この時期はロング走の後半にマラソンペースを入れる方法も有効です。

例:「20kmイージー+最後の5kmをマラソンペース」・「25km走の後半10kmをマラソンペース」など

レース3〜6週間前

最も実戦的な練習を行う時期です。

マラソンペース区間:12〜24km

頻度:1〜2回程度

目的:本番のペース・補給・シューズを確認する

長いマラソンペース走は負担が大きいため、毎週行う必要はありません。

レース2週間前以降

距離を減らして疲労を抜きます。

2週間前:8〜12km程度

レース週:3〜6km程度の短い刺激

本番直前に20km以上のマラソンペース走を行うと、疲労が残る可能性があります。この時期になるとマラソンペースをこなすより疲労を取り除いていくことが優先されていきます。

週の中で行うタイミング

基本的には、十分に回復した状態の日に行います。

おすすめは以下の2つのどちらかです。

1.週末のロング走として行う

最も一般的なタイミングです。

前半はイージーペースで、後半だけマラソンペース

翌日は休養または短いイージーランで疲労を取り除きます。

後半にマラソンペースを持ってくることでレース後半を想定した練習になります。

2.平日のポイント練習として行う

トレーニング時間が限られている場合に向いています。

例:

ウォームアップ2km

マラソンペース8〜12km

クールダウン2km

この場合、前後の日はイージーランか休養にします。

避けたいタイミング

次の状態では、マラソンペース走を無理に行わない方がよいです。

1.前日のポイント練習やロング走の疲労が残っている

2.睡眠不足

3.暑さや湿度が強い

4.脚に痛みや張りがある

5.レース直後

6.連日の高強度練習になっている

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マラソンペース走は閾値走ほど速くありませんが、距離が長いため、全体としては負担の大きい練習です。オーバーワークにならないように気を付けましょう。

マラソンペースの配置例

曜日内容
休養
イージーラン
閾値走やインターバル
イージーラン
休養または短いジョグ
マラソンペース走・ロング走
リカバリーラン
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マラソンペース走とインターバルなどの強度練習は、2〜3日空けると疲労管理しやすくなります。

まとめ

本記事はマラソンペースについて解説してきました。

マラソンペースとは実践のレースペースで走るトレーニングを指します。

 ”マラソン”や”長距離走”を目指すランナーにとってマラソンペースは「マラソンの練習試合」となる存在です。

 マラソンペースで得られる身体的効果は毛細血管とミトコンドリアの生成とイージーランと大きく変わりはないと「ダニエルズのランニングフォーミュラー」で言われています。しかし、身体的な変化よりもレース本番と同じペースで走ることは精神的なゆとりやペース感覚を身に付けるなど実践前には欠かせないトレーニングです。

 マラソンペースは最大心拍数の80~85%程度の強度が目安となります。坂道ダッシュで最大心拍数を測定するか年齢から予測し、ペースを把握しましょう。

 ペース管理にはランニングウォッチが必要不可欠です。高いモデルは必要ないので、心拍数とペースを把握することが出来るモデルを装着しましょう。

 マラソンペースの適正距離をレベル別でみていくと以下が目安となります。

レベルマラソンペースで走る距離
初心者・初マラソン5〜10km
サブ4前後8〜15km
サブ3.5前後10〜18km
サブ3前後12〜24km
上級者16〜30km

レベルだけでなく、レース前の時期や週間走行距離も関わってきますので、オーバーワークだけには気を付けましょう。

 マラソンペースは本番の3~4か月前から徐々に取り入れることをオススメします。レースまでの日数などから距離を調整していきましょう。

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マラソンペースはレースを想定したトレーニングです。

マラソンペースをしっかりこなすことで、安定したレース展開を作ることができます。

本番でパフォーマンスをしっかり発揮出来るように、マラソンペースをきっちり行っていきましょう。

参考文献

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Henritze J, Weltman A, Schurrer RL, Barlow K. Effects of training at and above the lactate threshold on the lactate threshold and maximal oxygen uptake. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology. 1985;54(1):84–88.

Keith SP, Jacobs I, McLellan TM. Adaptations to training at the individual anaerobic threshold. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology. 1992;65(4):316–323.

Esteve-Lanao J, Foster C, Seiler S, Lucia A. Impact of training intensity distribution on performance in endurance athletes. Journal of Strength and Conditioning Research. 2007;21(3):943–949.

Stöggl T, Sperlich B. Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training. Frontiers in Physiology. 2014;5:33.

Jones AM, Carter H. The effect of endurance training on parameters of aerobic fitness. Sports Medicine. 2000;29(6):373–386.

Hoppeler H, et al. Endurance training in humans: aerobic capacity and structure of skeletal muscle. Journal of Applied Physiology. 1985;59(2):320–327.

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