【トレーニング理論】閾値走の効果・ペース・距離、テンポ走との違いとは

マラソントレーニングは、単に走って距離を稼ぐだけでなく、より強く、より速いランナーになるために、さまざまな種類のペース・トレーニング理論を理解することが重要です。

この記事ではイージーラン・ペース走より速いペースである閾値(いきち)走について解説していきます。

マラソンを始めたばかりの初心者ランナーから経験豊富なランナーにかけて、トレーニングプログラムを構築する上で役に立つと思います。

ぜひ参考にしてみて下さい!!

閾値走とは、速く走っていますがある程度の時間(20~60分程度)は維持出来るというペースです。

走るペースを上げて身体のストレスを上げていくと、筋肉内のグリコーゲンを消費してエネルギーを生成するようになります。グリコーゲンを消費してエネルギーを生成する際に身体には乳酸が生まれます。乳酸が溜まると筋肉は疲弊し徐々に動かなくなっていきます。

高強度の運動で生じる乳酸もエネルギー生成として利用出来ますが、効率が悪いという特徴があります。そのため、運動の強度が上がっていくと、乳酸が処理出来ずに身体へ蓄積し、やがて疲労で動けなくなります。

閾値走は身体に乳酸が生じるものの、ギリギリ乳酸をエネルギー生成として処理が出来るペースで走るため、きついですが運動を維持出来るというわけです。

イージーランニング・ペース走は比較的楽にペースを維持できますが、閾値走はある程度の熟練のランナーでも終わるのが待ち遠しいペースです。

ランニングのペースを上げて行くと血液中の乳酸濃度が高くなります。

グリコーゲンの分解で生じた乳酸をエネルギーとして利用するペースを、乳酸が生じるペースが上回り始めるペースで走ることを閾値走といいます。

閾値走の目的は、血中の乳酸を処理する能力を上げることと言われています。つまり、速いペースを維持出来る能力が上がるということです。

また、長距離ランナーを対象に練習内容とパフォーマンスを分析したでは、走行距離が最もパフォーマンスと関連が強いと報告されています。閾値走はきついですが速いペースを維持出来るため、単位時間当たりの走行距離を稼ぎやすいというメリットがあります。

閾値走はVO2maxの80~86%(熟練のランナーなら88~92%)と言われています。

閾値走の目安は20~60分ペースを維持出来るのかどうかということであり、もしペースを維持できないのであれば速すぎるのでペースを落とす必要があります。

実際には、多くのランナーは閾値走として20分間維持出来るペースで走っている様子です。

しかし、注意点として経験を積んだランナーでも正確に閾値走のペースで最初から最後まで走ることは難しいようです。そのため、一部の指導者・ランナーが閾値走と呼んでいる練習とは徐々にペースを上げて、後半に閾値走に達するという練習を行っており、本当の閾値走は一部のようです。

閾値走の頻度は基本的に週1回コンディションの良い時で週2回の頻度で行うことが推奨されています。

閾値走は疲労が溜まる強度であるため、あまり高頻度・長い距離で行うとコンディションの低下やケガに繋がる恐れがあるため、やりすぎないようにしないといけません。

閾値走とテンポ走は持久力とランニングパフォーマンスを向上させるという共通の目標があるため混同されがちですが、運動強度と目的は異なります。

閾値走は乳酸閾値に近いペースで走り、身体が乳酸をより効率的に処理できるようにすることが目的です。

それに対して、テンポ走は快適なハードペースで走り、より速いペースを長時間維持する能力を高めることが目的です。

閾値走の方がテンポ走よりややペースが速く閾値走の方がキツイと感じます。

閾値走とテンポ走のペースの厳密な分け方は難しいため、以下のアプリでマラソンペース~閾値走の間とみてもいいかもしれません。

自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリとして「VDOT Calculator」というものがあります。VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

しかし、あくまでも自身の能力に対する目安であり、その日のコンディションや気温・走る道などによって左右されますので注意して下さい。

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