ランナーはAIでトレーニングメニューを作れる?使い方・依頼文・注意点を解説

マナブ
マナブ

「自分に合う練習メニューが分からない」

「仕事に合わせて練習日を組み替えたい」

 そんなランナーにとって、AIはトレーニングを考える相談相手になります。目標や現在の練習状況を伝えれば、週間メニューのたたき台や、時間が取れない日の代替案を作成できます。

 ただし、整った表で提示されたメニューが、そのまま自分に適しているとは限りません。

走(かける)
走(かける)

AIには計画の整理を手伝ってもらい、実際の練習は自分の体調や実績に合わせて調整する。 この使い方が基本です。

 この記事では、市民ランナーがAIでトレーニングメニューを作る方法と、提案を受け取った後の確認ポイントを解説します。

ランナーはAIでトレーニングメニューを作れる?

 文章でやり取りする生成AIには、目標レース、最近の走行距離、練習できる曜日などを伝えて、メニュー案を依頼できます。

 例えば、次のような使い方です。

  • 週3回・週4回など、生活に合わせた週間計画を作る
  • ジョグ、長めのラン、速い練習の目的を整理する
  • 雨や残業で走れない日の代替案を考える
  • 練習記録をまとめ、翌週に見直す点を洗い出す
  • メニューに出てくる用語を説明してもらう

 ここで区別したいのが、「メニューを作れること」と「そのメニューの効果や安全性が確認されていること」は別という点です。

 ランニングメニューを扱った2024年の研究でも、入力情報を増やすと専門家の評価は改善しましたが、最も詳しい情報から作った計画にも改善点が残りました。

走(かける)
走(かける)

AIは、練習計画のたたき台づくりに使える。ただし、提案内容の確認が必要です。

研究では、AIのランニングメニューはどう評価された?

入力する情報が詳しいほど、専門家の評価が改善した研究

 Dükingらは2024年、情報の詳しさを変えてChatGPTに6週間のランニング計画を3種類作成させ、コーチ10人が22項目を5段階で評価しました。

 実際のランナーに練習を行わせた介入研究ではないため、PICOに準じて整理すると次のようになります。

項目内容
P:対象架空のランナーを想定した計画。評価者はコーチ10人
I:評価する条件詳しい情報を入力して作成した6週間の計画
C:比較入力情報が少ない条件で作成した計画
O:評価項目22項目についての専門家評価
主な結果情報が詳しい計画ほど評価が改善。ただし、最も評価の高い計画も最適とは評価されなかった

 この研究が示したのは、入力情報と、作成されたメニューの評価との関係です。AIメニューによるタイムの短縮や、ケガの減少を示したわけではありません。

 また、2026年のマラソン計画に関する記述的研究では、複数のAIが基本的な練習要素を提示した一方、走行距離の記載不足やペース設定の不整合なども報告されました。

 こちらも実際のトレーニング効果を検証した試験ではありません。

走(かける)
走(かける)

研究時点のモデルや質問条件に依存する結果を、すべてのAIにそのまま当てはめることはできません。 それでも、出力を確認する必要性を考える材料になります。

AIに伝えたい、ランナーの基本情報

 「ハーフマラソンで速くなりたい」だけでは、現在の走力や生活に合う計画を判断する材料が足りません。

 最初に、次の情報を整理しましょう。

伝える情報記入する内容の例
目標ハーフ完走、10kmの自己ベスト更新など
レースまでの期間大会日、残りの週数
現在の走力最近の大会記録、記録した時期・条件
直近の練習過去4週間の週間距離・時間・頻度
普段の強度会話できるジョグのペースや、きつさ
最長のラン最近、無理なく走れた距離・時間
練習できる日曜日、1回に使える時間
回復状況睡眠、疲労感、仕事の負担
痛み・制限現在の症状、過去のケガ、専門家からの指示
他の運動筋トレ、自転車、スポーツなど

 

走(かける)
走(かける)

目標タイムだけでなく、今、どの程度の練習を無理なく続けられているかを伝えるのがポイントです。

なお、自宅の正確な位置、氏名、勤務先など、計画作成に不要な個人情報まで入力する必要はありません。

コピーして使える|AIへのトレーニングメニュー依頼文

 以下の空欄を埋めて使ってみてください。

ランニングのトレーニングメニューのたたき台を作ってください。

【目標】
・目標の距離とタイム:
・大会日:
・今回優先したいこと:

【現在の状態】
・ランニング歴:
・最近の大会記録と時期:
・過去4週間の週間走行距離:
・過去4週間の練習回数:
・普段のジョグのペースと体感:
・最近の最長ラン:
・現在の痛みや疲労:
・睡眠や仕事の負担:
・筋トレや自転車など、他の運動:

【生活上の条件】
・走れる曜日:
・平日に使える時間:
・休日に使える時間:
・休養日にしたい曜日:

【作成時のお願い】
1. 不足する情報があれば、推測せず先に質問してください。
2. まず1週間分を、現在の練習量を基準に提案してください。
3. 各練習の目的、時間または距離、強度を示してください。
4. ウォームアップ、クールダウン、休養も含めてください。
5. 各日の合計と週間合計を一致させてください。
6. 疲労が強い場合の軽減案も示してください。
7. 目標の達成可能性が判断できなければ、その旨を説明してください。
8. 研究を挙げる場合は、実在を確認できる出典を示してください。

 「最高のコーチとして考えて」と役割を与えるだけでは、必要な情報は補えません。具体的な条件と、出力してほしい項目を伝えましょう。

 なお、この依頼文は使いやすさを考えた例です。効果や安全性が検証された専用プロンプトではありません。

AIが作ったトレーニングメニューで確認したい5つのこと

1.現在の練習量から急に負担が増えていないか

 週間距離だけでなく、練習日数、1回の最長距離、速い練習の回数も確認します。

例

週3回のジョグを続けている人に、週6回・インターバル・長距離走をまとめて提案された場合、そのまま採用する前に見直したいところです。

走(かける)
走(かける)

「距離だけ増やしたつもりでも、頻度と強度も増えていた」という計画になっていないか確認しましょう。

2.目標タイムだけでペースを決めていないか

 目標に必要なレースペースと、現在の走力に合う練習ペースは区別します。

 AIが設定したジョグが毎回きついなら、次のように再相談できます。

走(かける)
走(かける)

このジョグのペースでは会話が難しくなります。現在の実力に合うように、ペースと強度の設定を見直してください。

 数字の指定だけでなく、呼吸や体感の目安も説明してもらいましょう。

3.負担の大きい練習が続いていないか

 インターバルの翌日に速いペース走、その翌日に長距離走というように、負担が集中していないか確認します。

 筋トレや自転車も行う場合は、その予定も合わせて伝えます。ランニングだけの表では、運動全体の負担を把握できないためです。

4.距離・時間・ペースの計算が合っているか

 各日の合計、週間合計、練習に必要な時間を確認しましょう。

例

「60分以内」という条件に対し、アップ15分・メイン40分・ダウン15分なら合計70分です。

走(かける)
走(かける)

インターバルも、疾走部分だけでなく、つなぎのジョグや前後の運動を含めて確認します。AIに再計算させることはできますが、最終的な数字は自分でも確認しましょう。

5.疲れた日の変更方法があるか

 予定どおりに走れない日も想定しておきます。

  • 時間がない場合は、どこを短縮するか
  • 疲労が強い場合は、どの練習を軽くするか
  • 休んだ場合は、残りの予定をどう組み替えるか

走(かける)
走(かける)

こうした代替案まであると、メニューを生活に合わせやすくなります。休んだ練習をすべて翌日に詰め込む必要はありません。

AIには、実際に走った結果も伝えよう

 最初に立てた計画だけでなく、その後の記録を整理する用途にもAIを使えます。

 次のように、予定と実績の両方を伝えてみましょう。

今週の練習を振り返り、来週の計画で見直す点を整理してください。

・予定した練習:
・実際に行った練習:
・各練習のきつさ:
・翌日に残った疲労:
・痛みの有無:
・睡眠と仕事の状況:
・来週走れる日:

距離を増やす前提にせず、維持・軽減も含めて提案してください。
分からない点は推測せず質問してください。

 

走(かける)
走(かける)

心拍数やHRVなどの記録があれば補足できます。ただし、数字だけで結論を出させず、体感や睡眠、測定条件も合わせて伝えましょう。

 この振り返りは、判断材料を整理するための使い方です。AIによる疲労の診断や、走ってよいという保証にはなりません。

AIでメニューを作るときによくある失敗

よくある失敗見直し方
目標タイムだけを入力する現在の走力と直近の練習も伝える
最初の回答をそのまま採用する負担、強度、合計、生活との相性を確認する
毎回違う質問で計画を作り直す採用した計画と実績を示して修正する
休んだ練習を後日に詰め込む週間全体を組み直してもらう
詳しい文章だから正しいと感じる具体的な数値と根拠を確認する
痛みがあってもAIの許可で走る症状の判断は医療専門職に相談する

 AIに「この計画の問題点を挙げて」と頼む方法もあります。ただし、同じAIによる再点検だけで正しさが保証されるわけではありません。

ランナーとAIのトレーニングメニューでよくある質問

初心者でもAIを使ってよいですか?

計画の整理や用語の理解に使えます。ただし、初心者ほど提案された負担が適切か判断しにくい場合があります。
「走れる曜日」だけでなく、「現在どれくらい歩ける・走れるか」も伝え、必要に応じて指導者に確認してもらいましょう。

AIのメニューだけで自己ベストを更新できますか?

個人の自己ベスト更新を保証することはできません。今回紹介したランニング研究も、AIメニューによる記録向上を直接示したものではありません。

有料のAIなら、正確なメニューになりますか?

有料であることだけでは、ランニングメニューの適切さは判断できません。使用するモデル、入力情報、設定条件、出力内容を確認する必要があります。

12週間など、長期計画をまとめて作ってもよいですか?

全体の流れを把握する用途には使えます。ただし、先の予定を固定しすぎず、短い期間ごとに実績と体調を確認して修正する方法が実用的です。

ケガからの復帰メニューも作ってもらえますか?

医師や理学療法士から示された運動範囲を、週間予定に整理する補助には使えます。ただし、AIにケガの診断や復帰の可否を決めさせる使い方は避けましょう。

まとめ|AIの提案を、自分に合う練習へ調整しよう

 AIは、ランナーがトレーニングメニューを考える際の相談相手になります。

 活用するポイントは、次の4つです。

  • 目標だけでなく、現在の走力・練習量・生活条件を伝える
  • 提案された負担、ペース、計算、休養を確認する
  • 実際に走った結果を伝え、計画を修正する
  • 判断が難しい練習や症状は、指導者・医療専門職に確認する

走(かける)
走(かける)

大切なのは、見栄えのよいメニューを完成させることより、無理なく実行できる計画に整えることです。

AIの整理力を使いながら、自分の身体の反応を確かめていきましょう。

参考文献

※研究紹介と、実用上の使い方の提案を分けて記載しています。依頼文や確認手順そのものの効果を検証した記事ではありません。