マラソンの完走証を見て、「グロスタイムとネットタイム、どちらが自分の記録なの?」「ネットでは4時間を切ったけれど、サブ4と言ってよい?」と迷ったことはありませんか。
グロスタイムは号砲からフィニッシュまで、ネットタイムは自分がスタートラインを通過してからフィニッシュまでの時間です。
違うのは、時間を測り始めるタイミング。どちらか一方が間違いというわけではありません。ただし、公認記録・大会の順位・個人の目標では、確認すべき点が異なります。
この記事では、2つのタイムの違いと、レース前後に役立つ使い分けを解説します。
マラソンのグロスタイムとネットタイムを比較

| 比較する項目 | グロスタイム | ネットタイム |
|---|---|---|
| 計測の始まり | スタートの号砲 | 自分がスタートラインを通過した時点 |
| 計測の終わり | フィニッシュ | フィニッシュ |
| 号砲後、スタートラインまでの時間 | 含む | 含まない |
| 個人の走りを振り返るとき | スタート待ちの影響を含めて確認 | スタート後の所要時間を確認 |
| 日本陸連の公認記録 | 公認の要件を満たした場合に対象 | 公認記録にはならない |
| 順位・表彰などへの使用 | 大会・部門の規定による | 大会・部門の規定による |
日本陸連の2026年の規定では、公認道路競走競技会で公認記録となるのはグロスタイムとされています。ただし、グロスタイムが出れば誰でも公認記録になるわけではなく、陸連登録などの条件があります。

号砲からならグロス、自分がスタートラインを通過してからならネットです。
具体例|スタートまで5分かかったら記録はどうなる?

次のケースで考えてみましょう。以下の時刻・タイムは説明用の架空の例です。
| 出来事 | 時刻 |
|---|---|
| スタートの号砲 | 9時00分00秒 |
| 自分がスタートラインを通過 | 9時05分00秒 |
| フィニッシュ | 13時03分00秒 |
この場合、グロスタイムは4時間03分00秒、ネットタイムは3時間58分00秒です。
2つの差である5分間は、号砲から自分がスタートラインを通過するまでにかかった時間です。
グロスタイム = ネットタイム + 号砲からスタートライン通過までの時間
なお、ネットタイムでも、スタートライン通過後の混雑、給水、トイレ、立ち止まった時間などは含まれます。「ネットタイム=走って動いていた時間だけ」ではありません。
自己ベストやサブ4は、どちらのタイムで考える?

個人の目標は、タイムの種類を添えると分かりやすい
個人の目標としてネットタイムでの4時間切りを目指すなら、「ネットでサブ4達成」と表現すると、何を達成したかが明確になります。
先ほどの例なら、次のように記録できます。
- グロス:4時間03分00秒
- ネット:3時間58分00秒
- 目標の結果:ネットでサブ4達成
一方、グロスタイムでのサブ4を目指していた場合は、その目標には届いていません。

「サブ4と言ってよいか」だけを考えるより、グロス・ネットのどちらで達成したかを添えると、誤解なく伝えられます。
過去のグロスタイムと今回のネットタイムをそのまま比較すると、スタート待ちの差が混ざります。練習の成果を振り返るなら、ネット同士、グロス同士で比べましょう。

両方を残しておくと、「ネットは更新したが、グロスは更新できなかった」といった振り返りもできます。
ただし、コースの起伏や天候なども違うため、タイムの変化だけで走力の変化を断定しないことも大切です。
公認記録・大会の公式記録・順位は分けて確認しよう

日本陸連の公認道路競走競技会では、公認記録の対象となるのはグロスタイムです。登録者として出場するには、エントリー時と競技会実施時の双方で登録会員であることなどの条件が示されています。

公認記録を必要とする大会に申し込む場合は、タイムの数字だけでなく、対象大会・登録状況・記録の有効期間・必要書類も確認しましょう。
「日本陸連の公認記録」と「大会が定める順位・表彰のルール」は、分けて読む必要があります。
例えば神戸マラソン2025では、総合などはグロスタイム、年代別はネットタイムによって順位を決定すると案内されていました。また、同大会の年代別チャレンジ枠では、標準タイムにネットタイムも有効とされていました。
このように、ネットタイムが公認記録にならなくても、大会独自の順位や参加資格に使われることがあります。

他大会の扱いをそのまま当てはめず、出場する年度の大会要項・募集要項を確認してください。
ウェーブスタートのグロスタイムは、いつから測る?

ウェーブスタートは、参加者を複数のグループに分け、時間差でスタートする方式です。
日本陸連の規定では、ウェーブごとにグロスタイムとネットタイムを計測するとされています。
例
第1ウェーブが9時、第2ウェーブが9時15分の大会で、第2ウェーブのランナーのグロスタイムを9時15分から計測する規定なら、9時からの15分間がスタートロスになるわけではありません。
神戸マラソン2025でも、グロスタイムはウェーブごとの号砲を基点に計測すると案内されていました。

自分のウェーブの号砲時刻と、大会の計測方法を確認しておきましょう。
関門・制限時間は、ネットタイムだけで判断しない

ネットタイムで目標以内でも、関門や競技終了時刻に間に合うとは限りません。
例
9時に号砲、競技終了が15時という架空の大会で、自分がスタートラインを通過したのが9時10分だった場合、フィニッシュまでに使える時間は5時間50分です。通過した時刻から6時間使えるわけではありません。
実際に2026板橋Cityマラソンでは、制限時間は号砲から7時間と案内されていました。
また、ウェーブごとにグロスタイムを測る大会でも、終了時刻がウェーブごとに延びるとは限りません。神戸マラソン2025では、全ランナーの終了時刻は共通とされていました。
レース前に確認したいのは、次の4点です。
- 自分のスタート時刻
- 各関門の場所と閉鎖時刻
- フィニッシュの制限時刻
- 関門までに使える時間と、給水・トイレを含めた余裕

関門対策では、時計の経過時間に加えて「今、何時か」も確認できるようにしておくと整理しやすくなります。
ランニングウォッチは、いつスタートボタンを押す?

自分のスタート後のペースを把握したい場合は、スタートラインを通過するときに計測を開始する方法が分かりやすいでしょう。
グロスでの目標も管理したい場合は、号砲からライン通過までの差を控え、その時間を加えて考えます。関門時刻は、別途、時刻表示でも確認しましょう。
大会のタイムに近い経過時間を確認したいなら、オートポーズをオフにする方法があります。
停止中に時計の計測が止まる設定だと、大会では計測され続けている時間が、自分の時計では除かれてしまうためです。表示項目も「移動時間」なのか「経過時間」なのか、事前に確認しておきましょう。

時計はペース管理の補助に使い、最終的な記録は主催者が発表する結果で確認してください。
グロスで目標達成を狙うときの考え方

グロスで4時間を切るには、スタートライン通過までの時間も含めて4時間未満に収める必要があります。
仮にスタートロスが5分なら、ネットタイムは3時間55分未満が必要です。単純計算の目安は次のとおりです。
| グロスの目標 | 仮のスタートロス | 必要なネットタイム |
|---|---|---|
| 4時間未満 | 0分 | 4時間未満 |
| 4時間未満 | 3分 | 3時間57分未満 |
| 4時間未満 | 5分 | 3時間55分未満 |
| 4時間未満 | 10分 | 3時間50分未満 |
ただし、スタートロスを取り戻すために、序盤だけ無理にペースを上げる計画は避けましょう。まずは必要なネットタイムが、現在の走力で現実的かを考えることが大切です。

指定ブロックで整列し、申告タイムは正確に入力してください。前方へ割り込んだり、混雑の中で急に進路を変えたりせず、周囲の流れに合わせて走り始めましょう。
グロスタイム・ネットタイムでよくある失敗

| よくある失敗 | 見直すポイント |
|---|---|
| ネットなら制限時間以内なので大丈夫と思う | 関門・終了時刻を確認する |
| 過去のグロスと今回のネットで自己ベストを判断する | 同じ種類のタイムで比較する |
| サブ4のペーサーについていけば、必ずグロスで達成できると思う | ペーサーの目標がグロス基準かネット基準かを確認する |
| 時計の停止時間を除いた記録を大会タイムだと思う | オートポーズと表示項目を確認する |
| 参加資格のタイムを自己判断で提出する | 募集要項の記録条件に従う |
| スタートロスを序盤で一気に取り戻そうとする | 走力に合う目標とペース配分を考える |
ペーサーの基準も一律ではありません。東京マラソン2026では、設定タイムによってグロス基準とネット基準のペースセッターが案内されていました。
よくある質問

ネットタイムのほうが遅くなることはありますか?
ネットタイムなら、混雑の影響はなくなりますか?
記録証にネットタイムしかなければ、公認記録として使えますか?
SNSやブログには、どちらを書けばよいですか?
まとめ
マラソンのグロスタイムとネットタイムは、計測を始めるタイミングが異なります。
- グロスタイム:号砲からフィニッシュまで
- ネットタイム:自分がスタートラインを通過してからフィニッシュまで
- 自己ベストやサブ4:どちらの基準かを添えて記録する
- 公認記録・順位・参加資格:それぞれの規定を確認する
- 関門・制限時間:ネットタイムだけで判断せず、閉鎖・終了時刻を確認する

レース前に「今回はネットで目標を狙うのか、グロスで狙うのか」を決め、完走後は両方を残しておきましょう。
記録の意味を理解しておくと、目標設定も結果の振り返りも分かりやすくなります。
参考資料
※規則・大会情報は2026年10月31日確認。大会例は記載年度の案内に基づきます。参加時は出場する年度の最新案内をご確認ください。
- 日本陸上競技連盟「公認道路競走競技会における記録の取り扱いについて」(2026年ルールブック)
- 神戸マラソン2025「よくある質問」
- 2026板橋Cityマラソン「よくあるご質問」
- 東京マラソン2026「マラソンペースセッター」(年度更新によりリンク先が変更される場合があります)
風を切るランニング 