マラソンの記録を伸ばすためには走り込みが重要ですが、「走れば走るほど速くなる」とは限りません。走行距離を増やしすぎると、膝や足首、アキレス腱などへの負担が蓄積し、故障につながることもあります。
そこで近年、多くの市民ランナーやトップアスリートが取り入れているのがエアロバイクを活用したクロストレーニングです。
エアロバイクはランニングに比べて関節への衝撃が少なく、それでいて心肺機能をしっかり鍛えられるのが大きな特徴です。疲労が強い日や雨の日でもトレーニングを継続しやすく、総運動量を増やしたいランナーにも適しています。
一方で、エアロバイクだけではランニング特有の筋力やフォームは鍛えにくく、使い方を間違えると本来の目的から外れてしまうこともあります。
この記事では、「エアロバイクを取り入れるメリット」・「ランナーが知っておきたい注意点」・「エアロバイクを取り入れている感想」について、マラソンランナー目線で分かりやすく解説します。
元ロードーレーサー・現ランナーとしてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
エアロバイクを取り入れるメリット

心肺機能を維持・向上できる

エアロバイクを取り入れる最大とも言えるメリットは心肺に負荷をかけることが出来る点です。エアロバイクはランニングと比べて着地の衝撃が無い為、筋肉や関節の負担をある程度抑えながら心肺に大きな負荷をかけるトレーニングができます。
ランニングだと2~3時間も走れば筋肉や関節が痛くなってきて限界を感じてきます。心肺機能より先に筋肉などの組織に限界がきてしまいます。しかし、自転車は補給をすれば数時間でも漕ぐことが出来ます。
つまり、長い時間をかけて心肺に負荷をかけることで有酸素持久力を高める効果が期待できるということ。
また、インターバル走などで心肺に負荷をかける時は筋肉や関節にも負荷がかかります。高強度の頻度が多いと腰・膝を痛めたり、シンスプリントなどのトラブルを抱えてしまうことも珍しくありません。エアロバイクはそういった関節・筋肉のダメージをある程度抑えながら心肺に最大の負荷をかけることが出来るため非常にオススメです。
着地衝撃がなく関節を守りやすい

ランニングは足の着地の度に体重の約2~3倍の衝撃が繰り返し加わります。着地の衝撃が強いため、腰・膝・足首などの関節やシンスプリントなどのトラブルを経験するランナーは少なくありません。
一方、エアロバイクは足の着地衝撃がないため、膝・足首・足底へのダメージが少なくなります。
そのため「シンスプリント」・「ランナー膝」・「足底筋膜炎」・「アキレス腱炎」などの予防や回復期に有効です。

ランナー特有の故障中はエアロバイクを取り入れて心肺機能を強化してもいいかもしれませんね。
トレーニング量を増やしやすい
ランニングは走行距離を増やしすぎると故障リスクが高まります。そのため走行距離やペース・走るコースなどは慎重に吟味してオーバーワークに気を付けなければいけません。
しかしエアロバイクなら「ランニングよりも関節や筋肉の負担が少ない」ため、総運動時間を増やしやすくなります。
クロストレーニングとして負荷を分散し故障を予防
ランニングだけを継続していると身体の特定箇所に負担が集中し、故障のリスクに繋がります。身体にかかる負担は体格・走り方・走るコースなどによって変わってくるため、個々で異なりますがランニングだけを継続すると故障に繋がるリスクが高くなることは変わりません。
エアロバイクをマラソンのトレーニングとして組み入れることで負荷を分散し故障のリスクを抑えることができます。結果として、競技者として長くパフォーマンスを発揮することに繋がります。
雨の日にできる
雨の日も変わらずランニングを続けるランナーの方もいらっしゃいます。
しかし、個人的に雨天のランニングは「ランニングシューズの寿命を縮める」・「身体が冷えて風邪を引くリスクが高まる」・「マンホールや側溝などに滑って転倒する」・「車から見えにくく事故のリスクが上がる」などのリスクがあるためオススメしません。
とはいっても、心肺に負荷をかけて心肺機能を高める予定だった日に雨で中止になってしまうとトレーニングプランが崩れてしまいます。
そんな時にエアロバイクを使用すれば雨の日でも心肺に負荷をかけて心肺機能を向上させることができます。雨の日でもエアロバイクを活用すれば心肺に負荷をかけてスピード持久力を高めることが期待できます。
エアロバイクを取り入れる時の注意点

ランニングの筋力は完全には維持できない
エアロバイクは心肺に負荷をかけてパフォーマンス向上に繋がることが期待できます。しかし、エアロバイクの最大の注意点は、ランニング特有の「片足着地衝撃に耐える」・「片足支持でバランスをとる」・「アキレス腱のバネを利用する」・「腕振りを活かす」などが鍛えることが出来ないということ。
そのため、エアロバイクで心肺機能は鍛えることができても、走力そのものは徐々に低下する可能性があります。
ふくらはぎや足底への刺激が少ない

ランニングのパフォーマンスは心肺機能を鍛えて効率よく酸素を送り届けるだけでなく、いかにエネルギーを消費せずに走ることが出来るのかが重要です。
つまり、消費を抑えながら走るランニングエコノミーはパフォーマンスに直結するため非常に重要。
ランニングエコノミーを高めるには”ヒラメ筋・腓腹筋といったふくらはぎ”と”アキレス腱”のバネによる「反発力」がポイント。エアロバイクではふくらはぎの筋肉負荷が少ないため、”反発力”による「ランニングエコノミー」の維持には限界があります。

ロードレーサーからランナーに切り替えた時に、心肺機能が高かったのでスピード持久力は高かった方ですがアキレス腱を痛めた経験があります。
ランニング特有のふくらはぎ・アキレス腱を使った反発力を行っていなかった故の故障だと思います。自転車ではふくらはぎ・アキレス腱による衝撃吸収・反発は鍛えられにくいということですね…
ポジション次第で股関節が硬くなる

ランニングは足の根本から前後に動くため股関節は大きく屈伸します。しかし、エアロバイクは前傾姿勢を保ちペダルを漕ぐ運動です。
つまりエアロバイクは股関節から足が後ろにいかないため、股関節の前面にある「腸腰筋」・「大腿直筋」が硬くなりやすくなります。
エアロバイクをトレーニングとして取り入れる場合、終わった後に股関節前面のストレッチもセットにしましょう。
ランニングフォームの練習にはならない
ランニングで速く走るには心肺機能と筋肉を鍛えるだけではりません。個人に合ったより効率的なランニングフォームを身に付けることも非常に重要です。
つまり、ランニング特有の「姿勢」「接地」「ピッチ」「腕振り」はエアロバイクでは鍛えられません。そのため、ランナーはエアロバイクをトレーニングの主軸とするのではなく、補助的な役割として使用することが望ましいです。
特にレースが近い時期はランニングを主役としてトレーニングするようにしましょう。
ペダルを踏むのではなく足を引き付けることを意識

マラソンのような長距離走のパフォーマンスを最大限発揮するには、足で地面を蹴るのではなく”足を前に引き戻す意識”が重要と言われています。
足を前に引き戻すことで腸腰筋を上手く活用し、長くパフォーマンスを発揮することができます。
エアロバイクでもペダルを踏むことを意識するのではなく、ペダルを引き付けることを意識することで腸腰筋を使うことができます。ランニングにおける足を前に引き戻す動きにも似ていることから意識してみるとランニングに活かせるかもしれません。
エアロバイクを取り入れてみた感想
元ロードレーサー・現役ランナーからエアロバイクをトレーニングに組み入れた感想です。
フルマラソンはエネルギー切れと組織破壊による身体の重さ・だるさに耐えながらペースを維持することが求められます。しかし、5・10km・ハーフマラソンランニングは息苦しさ・心臓の苦しさに耐えながらペースを維持します。
エアロバイクの心肺機能を高めるトレーニングは、5・10km・ハーフマラソンランニングの息苦しさ・心臓の苦しさに耐えながらペースを維持するスピード持久力向上に大きな恩恵があると思います。
ランニングでは故障を防ぐために、ポイント練習の距離や頻度に制限が必要です。しかし、エアロバイクはランニングよりも関節・筋肉の負担を抑えながら心肺機能を鍛えることができます。
そのため、ランニングのポイント練習を週1回増やす代わりに、エアロバイクで心肺機能を鍛えるトレーニングを週1回追加するのも有りだと思っています。
個人的にエアロバイクを取り入れることで走っている時の息苦しさ・心臓の苦しさがマシになります。スピードの維持や最後の粘り強さに直結するエアロバイクはランナーのクロストレーニングとしてオススメしたいトレーニングの1つですね。
まとめ
本記事はマラソントレーニングにおいて「エアロバイクを取り入れるメリット」・「ランナーが知っておきたい注意点」・「エアロバイクを取り入れている感想」についてお伝えしてきました。
エアロバイクはランニングと比べて筋肉や関節の負担を抑えながら心肺に負荷をかけて心肺機能を高めることができます。心肺機能を高めることでスピード持久力を高める効果が期待できます。5km・10km・ハーフマラソンのような距離ではスピード持久力が求められますので、エアロバイクを取り入れるメリットがありそうです。
しかし、その反面ランニング特有の「反発力によるランニングエコノミーの向上」や「ピッチ・接地・腕振りなどランニングフォームの改善」などが出来ないため、エアロバイクばかりしていると走力が落ちてしまう可能性があります。
エアロバイクはトレーニングの一部だけとし、ランニングを主軸としたトレーニングが必要であると考えられます。

今日が一番若い日です。エアロバイクトレーニングの恩恵を最も受けることが出来るのが今日です。
エアロバイクをトレーニングに取り入れて心肺機能を高めて、ランニングのパフォーマンスを上げていきましょう!
風を切るランニング 