ランニングを継続すると、筋肉の中では「毛細血管」が増える適応が起こります。
毛細血管とは、筋肉に酸素や栄養を届ける細い血管のことです。ランニング中は筋肉が多くの酸素を必要とするため、継続して走ることで、筋肉へ酸素を届けやすい体に変わっていきます。
毛細血管の密度はマラソンのパフォーマンスの土台となり、非常に重要な要素です。
本記事ではランニングによって毛細血管が増えることについて科学的に整理していきます。
マラソンシーズンにパフォーマンスを発揮できるように参考にしてみて下さい。
ランニングで毛細血管が増えるのは8週間程度で確認されている

ただし、毛細血管は1回走っただけですぐに増えるものではありません。研究では、8週間程度の持久系トレーニングによって、筋肉の毛細血管供給が増加したことが報告されています。そのため、毛細血管の増加は「数日で起こる変化」ではなく、「数週間〜数か月かけて進む持久力の適応」と考えるのが自然です。
毛細血管が増えると、筋肉へ酸素を届けやすくなります。酸素を使ってエネルギーを作りやすくなるため、”長く走る力”や”疲れにくさ”に関係します。

つまり、毛細血管はスピードを直接上げるというより、長く安定して走るための土台づくりに関わる要素です。
毛細血管を増やすトレーニングはジョグが大切

毛細血管を増やすために大切なのは、強い練習をたくさん行うことではなく、持久系トレーニングを継続することです。初中級ランナーであれば、まずは”息が上がりすぎないジョグ”や”イージーラン”を中心に行うことが基本になります。
会話ができるくらいのペースで一定時間走ることで、筋肉に持続的な酸素需要が生まれます。このような刺激を繰り返すことで、毛細血管やミトコンドリアなど、持久力に関わる体の仕組みが少しずつ適応していきます。
一方で、インターバル走や閾値走のような少し強度の高い練習も、血管新生に関わるシグナルに関係するとされています。ただし、毛細血管を増やす目的で「ジョグよりインターバル走の方が優れている」と断定することはできません。初中級ランナーでは、まずジョグを土台にして、慣れてきたら補助的に少し強めの練習を入れるくらいが現実的です。

ジョグで持久力の土台を作っていきましょう!
毛細血管はすぐには無くならない

また、運動を休んだ場合、毛細血管の適応はミトコンドリア酵素活性などの代謝的な適応よりも比較的落ちにくいと考えられています。つまり、数日〜1週間走れなかっただけで毛細血管が一気に失われるとは言えません。
ただし、毛細血管が完全に維持され続けるわけではありません。運動刺激が長期間なくなれば、持久力に関わる適応全体は低下していきます。そのため、毛細血管は「ディトレーニングに比較的強い適応」ではありますが、「まったく失われない適応」ではありません。
初中級ランナーにとって大切なのは、1回1回の練習で追い込みすぎることではなく、継続できる範囲で有酸素運動を積み重ねることです。ゆっくり走るジョグにも、毛細血管を増やし、持久力の土台を作る意味があります。
毛細血管を増やしたいなら、焦って強度を上げるよりも、まずは継続できるジョグを積み重ねることが基本です。
参考文献
風を切るランニング 