7・8月のランニングーーー「ペースが落ちた…」「距離が伸びない…」ということに悩んでいませんか?
でも、実はそれは自然なこと!
日本では6月中旬を過ぎると気温が高くなり、普通にジョギングをするだけでもきつさを感じるようになります。しかし、秋・冬に向けて、こんな暑い時期を上手く活用することで秋以降に飛躍的に走力を伸ばせる可能性があります。
本記事では暑い夏(7・8月)でランニングのペースが落ちる理由と暑さ対策・オススメトレーニングについて解説していきます。
「暑い夏を乗り越える秘訣を知りたい」 「暑い夏でも効率よくトレーニングがしたい!」という方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
夏場のランニングはペースが落ちるのが普通
夏場はランニングのペースは冬と比べて自然と落ちます。
仮に同じペースで走ったとしても、心拍数が普段より上がったり、きつく感じるはずです。そのため、「体力が落ちたのでは…」と焦る必要はありません。
同じようなキツさで走ろうと思うと、自然とペースは落ちることを理解しておきましょう。ここで無理にペースや距離を維持しようとすると身体に負担がかかり故障のリスクが高くなってしまいます。

暑い夏は自然とペースや距離は落ちます。心配することはなにもありません。
夏場のランニングの身体の状態

なぜ、暑い夏場はランニングのペースが落ちたり、同じペースのランニングがきつく感じるのでしょうか?
次に身体で起きている状態について整理していきます。
筋肉への血流量低下、循環血液量の減少

暑い夏は体温が上昇しやすく、身体は体温の上がり過ぎを防ごうと皮膚表面への血流量を増やして発汗量を増やします。筋肉にへの循環に加えて皮膚表面への循環量も増えるため、心臓の負担は自然と増えてしまいます。

その結果、普段と同じペースでも心拍数が上昇しやすくなります。
また、皮膚表面への血流量が増加すると、筋繊維への血流量が相対的に低下します。また、発汗により血液量の減少が引き起こされると、血液における酸素運搬能力が低下します。
同じ心拍数でも、筋肉に運ばれる血液(=酸素)が少なくなるため、筋肉での酸素を利用したエネルギー生成能力が低下することになります。

同じ心拍数でも足が重たくなりやすく、自然とペースが落ちてきます。
筋疲労が進みやすい(筋疲労の亢進)

日本のような高温多湿の環境で発汗量が自然と増えてしまいます。発汗量増加により筋肉に運ばれる血液(=酸素)が少なることは筋肉が同じペースで動いているのに、より多くの乳酸が溜まるということです。
筋肉に疲労が蓄積することで、ランニングフォームが乱れやすく無駄に力が入り余計に特定の筋肉に負担がかかってしまいます。

夏は筋疲労が進みやすくなりランニングのパフォーマンスが低下していきます。
中枢神経系機能低下
体温の上昇と脱水が進むと、中枢神経から活動する筋肉の繊維を減らす指令が出てしまいます。その結果、使う筋肉が減りランニングのペースを保つことが困難となります。
同じキツさで走ろうとしてもいつもよりペースが出ない、背景には暑さによる神経系の影響もあります。
気温の影響を少しでも避けるなら:夏のランニング暑さ対策
暑い環境だと身体への負担が大きいため自然とランニングのパフォーマンスは落ちてしまいます。そのため、パフォーマンスを出来るだけ下げないためには暑さ対策が必要です。
気温の影響を少しでも避けるための暑さ対策について3つお伝えしていきます。
暑熱順化を進める
人間の身体は、”暑さ”・”寒さ”に少しずつ適応するようにできています。20℃という気温が夏場は涼しく感じ、冬は暖かく感じるのが良い例です。
身体が厚さに慣れてくることを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいます。
【暑熱順化で起こる変化】
1.汗をかきやすくなる
2.体温調整しやすくなる
3.心拍数が安定しやすい
4.暑さに耐えやすくなる
暑熱順化が進むと水分補給をきちんと行うことで比較的パフォーマンスを維持しやすくなります。暑熱順化は一般的に1〜2週間程度で適応が進みます。ただし、暑熱順化が進んだからといって頑張り過ぎはNGです。
早朝・夜に走る
少しでも気温が高くない早朝・夜に走るのは暑さ対策の基本です。
特に早朝は、日が落ちてからしばらく時間が経過していることもあり、夏としては涼しさを感じる中で走ることができます。
「昼間や夕方のランニングが暑すぎる」場合は、早朝や夜間に走るようにスケジュールを調整してみてはどうでしょうか?
トレッドミル・ランニングマシンを活用する
暑い夏場は室内でトレッドミル;・ランニングマシンを使って走るということも一つの方法です。
室内でトレーニングは空調が効いた中で走るため、気温の影響をほぼ無視できます。
しかし、注意点として屋外のランニングとトレッドミル・ランニングマシンの違いについて知っておくことが必要です。
屋外と比べてトレッドミル・ランニングマシンは、「空気抵抗が無い」・「床が勝手に後ろに動く」という違いがあります。そのため同じペースでも屋外よりも身体の負荷が落ちたり、接地時間が伸びてもペースを維持することができます。
走るペースを同じにすることにこだわるのであれば、傾斜を付ける必要があります。屋外と負荷を変えないためには約1度の傾斜を付けることが推奨されているようです。
また、足の接地時間は短くなるようにピッチを意識して走るといいでしょう。
気温が高い時に行うトレーニングのメリットとデメリット
「暑熱順化を進める」・「早朝や夜に走る」というように暑さ対策をしても、暑さの影響を0にすることは出来ません。
暑い夏の時期でもパフォーマンスを完全に落とさないためには、ランニングトレーニングの継続は必要です。暑い夏の時期のランニングトレーニングのメリット・デメリットを理解することは効果的にランニングトレーニングを継続する上で大切です。
気温が高い時に行うトレーニングのメリット
暑い夏場体温を下げようと皮膚表面への循環量が増えるため、同じペースでも自然と心臓の負荷が増えます。また、皮膚表面への循環量が増える分、筋肉への循環量は相対的に減るため、筋肉は「酸素不足」状態になります。
暑さで心臓の負荷が上がり心肺的なきつさが先行することは、ペースダウンしても閾値付近に近づきます。ということは、速いペースによる関節への負担増を抑えながら、心肺に負荷をかけることが出来るため、ケガのリスクを抑えることができます。
また、筋肉への酸素不足状態はミトコンドリア新生だけでなく、機能向上効果も期待できます。その結果、秋・冬に閾値のペースが上がり、スピード持久力向上効果が期待できるようになります。
スプリントトレーニングなどの超高強度なランニングトレーニングは暑い夏場に適しています。レストが長い分体温が上昇しにくいため、気温の高い低いに関わらず、トレーニングをこなすことができます。気温が高いため、関節の可動域が狭くなっている心配を減らしながら、スプリントトレーニング時の怪我発症率も低下します。
気温が高い時に行うトレーニングのデメリット
気温が高いと全身・筋肉の疲労感が増大するため、トレーニング量は自然と減っていきます。元々の閾値走ペースや最大心拍数付近まで強度を上げるVO2maxインターバル走のようなトレーニングはこなすことが困難となります。
気温が高く主観的に同じようなきつさでも、筋肉への酸素摂取量は上がっていないため、目的のペースでトレーニングを実施することが難しいためです。
夏場(7月・8月)に行っておきたいオススメトレーニング
LSD(ロングスローディスタンス)
暑い夏場は冬と同じペースでも筋肉・心臓の負担が増えるため、ペースを維持することが難しくなります。夏場はペースにこだわるのではなく、普段よりペースを落としつつ、走行距離を確保出来るLSDがオススメです。
ペースは落として、走る時間を確保することで走行時間・距離を確保し持久系パフォーマンスの土台である毛細血管とミトコンドリアの生成に貢献することが期待できます。
秋・冬に向けた土台作りとして夏にLSDを取り入れてみることをオススメします。ただし、走る時間が長くなるので水分補給や塩分補給は欠かさないようにし、日中は避けるようにしましょう。
ウィンドスプリント
夏場は走るペースが自然と落ちるため、速筋線維(速く動かす筋線維)への刺激が弱くなります。速いペースを獲得・維持するには速筋線維を活用することが不可欠であるため、イージーランにウィンドスプリントを取り入れることをオススメします。
暑い時期はペースが落ちるのが自然ですが、夏の内にペースが完全に落ちて身体が慣れてしまわないように、スプリントもメニューに取り入れましょう。
レぺテンション走
暑い夏は速いペースを維持するスピード持久力トレーニングが難しくなります。1回ずつのレストを長めにとるレぺテンション走は暑さの影響をあまり受けることなく行うことが出来るトレーニングの1つです。
秋・冬はレースも多く、特に筋疲労が大きいレぺテンション走をトレーニングに取り入れる余裕が無いかもしれません。基本的にレースが無い夏は、唯一スピードトレーニングを行うべき時期と言えます。
まとめ
本記事では暑い夏(7・8月)でランニングのペースが落ちる理由と暑さ対策・オススメトレーニングについて解説してきました。
暑い時期は心臓・筋肉の負担が自然と増えるため冬と比べてペースを維持することが難しくなります。暑さの影響を少しでも和らげるには、「暑熱順化を進める」・「早朝・夜に走る」「トレッドミル・ランニングマシンを利用する」などの対策があります。
速いペースを維持することが難しい夏場は、元々の閾値走ペースや最大心拍数まで上昇させるVO2maxインターバル走はこなすことが困難です。代わりにペースを落としながら走行時間・距離を確保するLSDやスピードを維持・向上するためのウィンドスプリント・レぺテンション走がオススメです。

暑い夏場のトレーニングが秋・冬の土台を作ります。
トレーニングを効果的に行い秋・冬によりよいパフォーマンスを発揮しましょう!
今日が一番若い日です。後悔の無いようにトレーニングに励みましょう。

風を切るランニング 