自宅でできるランナー向けトレーニング|走力アップを目指す自重筋トレ・プライオメトリクス

マナブ
マナブ

「ランニングのパフォーマンスを高めたいけれど、ジムへ通う時間がない」

「自宅でできるトレーニングでも、走力アップにつながる?」

 このように考えている市民ランナーは多いのではないでしょうか。

 走力アップの基本は、実際に走るトレーニングです。

 自宅で筋トレやランニングドリルを行っても、それだけでマラソンや長距離走に必要な持久力が完成するわけではありません。

一方、自宅トレーニングには、

  • ランニング中に身体を支える筋力を高める
  • 地面へ素早く力を加える能力を鍛える
  • 筋肉や腱のばねのような働きを刺激する
  • ランニング前の動作準備を行う

といった役割があります。

ただし、自重筋トレ、ジャンプトレーニング、Aスキップなどのランニングドリルでは、目的と期待できる効果が異なります。

本記事では、自宅でできるトレーニングを、

  1. 自重筋力トレーニング
  2. プライオメトリックトレーニング
  3. ランニングドリル

の3つに分けて解説します。

目次

自宅トレーニングだけで走力は上がる?

 自宅で行うトレーニングは、ランニングパフォーマンスの向上を支える方法のひとつです。

筋力トレーニングをランニングへ追加した研究では、ランニングエコノミーやタイムトライアル成績などが改善した報告があります。

※ランニングエコノミーとは、一定の速度で走るときに必要なエネルギー量を示す指標です。同じペースを少ないエネルギーで走れるほど、効率がよいと考えられます。

 筋力トレーニングやプライオメトリックトレーニングによって期待されるのは、

  • 地面へ力を加える能力の向上
  • 着地時に身体を支える筋力の向上
  • 素早く力を発揮する能力の向上
  • 筋肉や腱がエネルギーを受け止めて返す能力の向上

などです。

 ただし、研究で比較的多く効果が報告されているのは、高負荷筋力トレーニングや、適切に設計されたプライオメトリックトレーニングです。

 自重スクワットを何十回も繰り返したり、Aスキップを少し行ったりするだけで、同じ効果が得られるとは限りません。

 自宅トレーニングは、ランニングの代わりではありません。

基本的な考え方は、

ランニング

自重筋力トレーニング

必要に応じたプライオメトリックトレーニング

補助的なランニングドリル

です。

自宅トレーニングは3種類に分けて考える

 自宅でできるランナー向けトレーニングは、目的によって分けると分かりやすくなります。

①筋力を高める

  • ブルガリアンスクワット
  • 椅子を使った片脚スクワット
  • リバースランジ
  • 片脚ヒップリフト
  • 片脚カーフレイズ
  • サイドプランク

②素早く力を発揮する

  • ポゴジャンプ
  • スクワットジャンプ
  • スケータージャンプ
  • スプリットジャンプ
  • 片脚ホップ

③ランニング前の動作を準備する

  • Aマーチ
  • Aスキップ
  • 振幅を抑えたもも上げ
  • 必要に応じてBスキップ

このうち、筋力トレーニングとプライオメトリックトレーニングには、ランニングパフォーマンスに関する比較的多くの研究があります。

 一方、Aスキップやもも上げなど、個別のランニングドリルが市民ランナーのレースタイムやランニングエコノミーを直接改善するかについては、明確な研究が十分ではありません。

自宅でできる自重筋力トレーニング

1.ブルガリアンスクワット

 ブルガリアンスクワットは、後ろ足を椅子やソファへ乗せ、前脚を中心に身体を上下させるトレーニングです。

主に、

  • 大腿四頭筋
  • 大殿筋
  • ハムストリングス
  • 内転筋群

を鍛えられます。

走(かける)
走(かける)

ランニングでは、左右の脚で交互に身体を支えます。そのため、両脚で行うスクワットだけでなく、片脚に近い状態で行う種目も取り入れる価値があります。

 

 ブルガリアンスクワットは前脚の足裏全体で身体を支え、膝とつま先の向きが大きくずれないようにします。

回数の目安:左右8〜15回×2〜3セット

簡単にできる場合は、3秒ほどかけて身体を下ろし、低い位置で1秒止めると負荷を高められます。

2.椅子を使った片脚スクワット

 片脚で椅子へゆっくり座り、再び立ち上がるトレーニングです。

 片脚で身体を支える筋力に加えて、骨盤や膝を安定させる能力も必要になります。最初は高めの椅子を使い、難しい場合は反対側の足を床へ軽くつけても構いません。

 勢いよく座るのではなく、最後まで身体をコントロールします。

回数の目安:左右5〜10回×2〜3セット

 膝が内側へ大きく入ったり、骨盤が左右へ傾いたりする場合は、椅子を高くして難易度を下げましょう。

3.リバースランジ

 立った姿勢から片脚を後方へ引き、両膝を曲げて身体を下ろします。

 前方へ踏み出すランジよりも、動作をコントロールしやすく、自宅でも取り入れやすい種目です。

 前脚の足裏で床を押し、元の位置へ戻ります。

回数の目安:左右8〜12回×2〜3セット

 上半身を過度に反らさず、身体が左右へ大きく揺れないようにしましょう。

4.シングルヒップリフト

 仰向けで片膝を曲げ、反対側の脚を床から浮かせた状態で骨盤を持ち上げます。主に大殿筋とハムストリングスを鍛えるトレーニングです。

 腰を強く反らせて高く上げるのではなく、股関節を伸ばして骨盤を持ち上げます。

回数の目安:左右10〜15回×2〜3セット

 負荷が軽い場合は、骨盤を上げた位置で2〜3秒止めましょう。

5.片脚カーフレイズ

 片脚で立ち、かかとを上げ下げします。

 ふくらはぎの筋肉は、着地時に身体を支え、足関節を通して地面へ力を伝える役割があります。壁や椅子へ指先を軽く触れ、バランスを取っても構いません。

回数の目安:左右12〜25回×2〜3セット

勢いを使わず、

  • かかとを十分に上げる
  • 上で1秒止める
  • ゆっくり下ろす

ことを意識します。

 高回数でも余裕がある場合は、段差を使って動作範囲を広げたり、下ろす動作を遅くしたりして負荷を調整します。

6.サイドプランク

 横向きになり、前腕と足で身体を支えます。

 ランニング中には、片脚で着地するたびに体幹や骨盤へ左右方向の力が加わります。

 主に腹斜筋群や股関節周囲など、身体が横方向へ崩れるのを支える筋肉を使います。

 

 ただし、サイドプランクを行うだけで、ランニングフォームや走力が直接改善するとは限りません。

 体幹を支える基礎トレーニングとして利用しましょう。

時間の目安:左右20〜40秒×2〜3セット

長く耐えることよりも、頭から足までの姿勢を保つことを優先します。

自重トレーニングの負荷を高める方法

 自重トレーニングでは、回数を増やすだけでは負荷が不足しやすくなります。

両脚から片脚へ進める

例えば、スクワットは次のように進められます。

両脚スクワット

スプリットスクワット

ブルガリアンスクワット

椅子を使った片脚スクワット

片脚にかかる負荷が増えるため、重りを使わなくても難易度を高められます。

ゆっくり下ろす

 身体を下ろす局面を3〜5秒かけて行うと、筋肉が力を発揮する時間が長くなります。

 ブルガリアンスクワット、片脚スクワット、カーフレイズなどで利用しやすい方法です。

きつい位置で止める

 スクワットの低い位置や、カーフレイズでかかとを上げた位置で1〜3秒止めます。

 反動を使いにくくなり、少ない回数でも負荷を高められます。

動作範囲を広げる

 浅い動作が簡単になったら、フォームを維持できる範囲で少しずつ深くします。ただし、深く動かすこと自体が目的ではありません。

 痛みが出る範囲や、姿勢を大きく崩す範囲まで行う必要はありません。

自宅でできるプライオメトリックトレーニング

プライオメトリックトレーニングとは?

 プライオメトリックトレーニングとは、着地によって筋肉や腱が引き伸ばされた直後に、素早く力を発揮するトレーニングです。

 この働きは、伸張―短縮サイクルと呼ばれます。

 ランニングでも、着地のたびに筋肉や腱が力を受け止め、その直後に身体を前方へ進める力を発揮します。

 プライオメトリックトレーニングによって期待されるのは、

  • 素早く力を発揮する能力の向上
  • 接地から踏み切りまでの動作改善
  • 筋肉や腱のばねのような働きの向上
  • ランニングエコノミーの改善

などです。

ランナーを対象とした研究では、プライオメトリックトレーニングを通常のランニングへ追加することで、ランニングエコノミーや一部の走パフォーマンスが改善した報告があります。

※ただし、ジャンプを行えば必ず速くなるわけではありません。

 種目、頻度、トレーニング経験、普段のランニング内容などによって効果は異なります。

1.ポゴジャンプ

 膝を大きく曲げず、足首を中心に小さく連続して跳びます。

 高く跳ぶことよりも、地面へ長く沈み込まず、リズミカルに弾むことを意識します。

回数の目安:10〜20回×2〜3セット

 着地音が大きくなったり、接地するたびに深く沈んだりする場合は、回数を減らしましょう。

2.スクワットジャンプ

 軽くしゃがんだ姿勢から、両脚で上方へジャンプします。

 初心者は、着地後に一度止まり、姿勢を整えてから次のジャンプを行います。

回数の目安:5〜8回×2〜3セット

 疲れてジャンプの高さや着地の安定性が低下する前に終了しましょう。

3.スケータージャンプ

 片脚で横方向へジャンプし、反対側の脚で着地します。

 片脚で身体を支える能力や、左右方向の動きを制御する能力を刺激できます。

回数の目安:左右5〜10回×2〜3セット

 最初は小さな幅で行い、着地後に2〜3秒止まります。安定してきたら、連続動作へ進めます。

4.スプリットジャンプ

 脚を前後に開いた姿勢からジャンプし、空中で前後の脚を入れ替えます。

 片脚で床を押す力や、左右の脚を素早く切り替える能力を刺激できます。

回数の目安:左右5〜8回×2〜3セット

 ジャンプの高さよりも、左右へふらつかず、安定して着地することを優先します。

5.片脚ホップ

 片脚で小さく連続ジャンプします。

 両脚のポゴジャンプよりも、ふくらはぎ、アキレス腱、足部への負担が高くなります。

回数の目安:左右5〜10回×2セット

 片脚カーフレイズや両脚ポゴジャンプを安定して行えるようになってから取り入れましょう。

プライオメトリックトレーニングはどの順番で始める?

 初心者は、両脚で行う小さなジャンプから始めます。

第1段階

  • 小さな両脚ジャンプ
  • ポゴジャンプ
  • 1回ずつ止まるスクワットジャンプ

第2段階

  • 連続スクワットジャンプ
  • スケータージャンプ
  • スプリットジャンプ

第3段階

  • 片脚ホップ
  • 連続スケータージャンプ
  • バウンディング

 難しい種目を行うことよりも、

  • 着地音が大きくならない
  • 膝が内側へ大きく入らない
  • 接地するたびに姿勢が崩れない
  • ジャンプの高さや速さを保てる

ことを優先します。

Aスキップ・Bスキップ・もも上げは必要?

 Aスキップやもも上げは、多くのランニング指導で使われるドリルです。

 しかし、筋力トレーニングやプライオメトリックトレーニングと同じように扱うのは適切ではありません。

これらは主に、

  • ランニング前に身体を温める
  • 動作のリズムを確認する
  • 上半身と下半身を連動させる
  • 脚を切り替える感覚を確認する

ためのランニングドリルです。

 ランニングドリル単独で、

  • VO₂maxが向上する
  • ランニングエコノミーが改善する
  • レースタイムが短縮する
  • ケガを予防できる

と断定できる根拠は十分ではありません。

したがって、走力アップの中心ではなく、ウォーミングアップや動作確認として補助的に使います。

Aマーチ

 Aマーチは、立った姿勢で片脚ずつ膝を上げながら歩くドリルです。

 Aスキップより動作がゆっくりなため、姿勢や脚の位置を確認しやすいという特徴があります。

意識するのは、

  • 上半身を大きく後ろへ反らさない
  • 支持脚で身体を高く保つ
  • 膝を必要以上に上げない
  • 足を身体の前へ投げ出さない

ことです。

目安:左右10歩×2セット

Aスキップ

 Aスキップは、軽く弾みながら片脚ずつ膝を上げるドリルです。

 動作のリズムや、脚の切り替えを確認する目的で利用できます。

 ただし、膝を高く上げることが目的になると、

  • 身体が後ろへ反る
  • 上下動が大きくなる
  • 足が身体より前へ出る
  • 実際のランニングから離れた動作になる

ことがあります。

 膝の高さではなく、身体を高く保ち、脚を素早く切り替えることを意識します。

目安:10〜20秒×2セット

もも上げ

 その場で行うもも上げは、心拍数を上げたり、股関節周囲を動かしたりするウォーミングアップとして利用できます。

ただし、膝を胸へ近づけるような大きなもも上げは、長距離走の動きと一致するとは限りません。

膝を高く上げることよりも、

  • 足を身体の真下付近へ下ろす
  • 上半身を大きく反らさない
  • 接地を長くしすぎない
  • 小さく素早く動く

ことを優先します。

目安:10〜15秒×2セット

Bスキップ

 Bスキップは、膝を上げた後に下腿を前方へ伸ばし、脚を振り下ろすドリルです。

 短距離走の動作練習として使われることがあります。

一方、市民ランナーが自己流で行うと、

  • 足先を前方へ投げ出す
  • 膝を伸ばして着地する
  • 身体より前へ接地する
  • オーバーストライドを強める

といった動作になりやすい種目です。

 Bスキップ自体が悪いわけではありませんが、技術的に難しく、長距離走への直接的な効果も明確ではありません。

 市民ランナーが必ず行う必要はなく、自宅トレーニングの中心からは外してよいでしょう。取り入れる場合は、動作を確認できる指導者のもとで行う方が安全です。

ランニングドリルでフォームは改善する?

 ランニングドリルによって、一時的に動作のリズムや姿勢を意識しやすくなる可能性はあります。

 しかし、ドリルが上手にできることと、実際のランニングフォームが改善することは同じではありません。また、見た目が整ったフォームが、必ずしも本人にとって最も効率的なフォームとは限りません。

 慣れないフォームへ急に変更すると、一時的にエネルギー消費が増える可能性もあります。

ドリルを行うときは、

  1. ドリルを短時間行う
  2. その後に短い流しやランニングを行う
  3. ドリルの感覚が実際の走りにつながるか確認する

という流れが適しています。

 ドリルだけを長時間繰り返す必要はありません。

自宅トレーニングは週何回行う?

 市民ランナーは、まず自重筋力トレーニングを週2回程度から始めると取り入れやすいでしょう。

 プライオメトリックトレーニングは週1回から始めます。身体が慣れ、翌日のランニングに強い影響が出なければ、週1〜2回へ増やせます。

 ランニングドリルは、ランニング前のウォーミングアップとして週1〜3回程度、短時間行います。

ただし、適切な頻度は、

  • ランニングの頻度
  • 筋トレ経験
  • 走行距離
  • スピード練習の回数
  • 疲労の残り方
  • レースまでの期間

によって変わります。

 すべてを毎週同じ量だけ行う必要はありません。

自宅でできる週2回のトレーニング例

1日目:筋力を重視

ウォーミングアップ

  • 足踏み:30秒
  • Aマーチ:左右10歩
  • Aスキップ:10〜15秒×2セット

筋力トレーニング

  1. ブルガリアンスクワット
    左右8〜12回×3セット
  2. 片脚ヒップリフト
    左右10〜15回×2〜3セット
  3. 片脚カーフレイズ
    左右12〜20回×3セット
  4. サイドプランク
    左右20〜30秒×2セット

2日目:プライオメトリクスを重視

ウォーミングアップ

  • スクワット:10回
  • カーフレイズ:10回
  • 振幅を抑えたもも上げ:10秒×2セット

プライオメトリックトレーニング

  1. ポゴジャンプ
    10〜20回×2セット
  2. スクワットジャンプ
    5〜8回×2セット
  3. スケータージャンプ
    左右5〜8回×2セット

筋力トレーニング

  1. リバースランジ
    左右8〜12回×2セット
  2. 片脚カーフレイズ
    左右12〜20回×2セット

※トレーニング初心者は、ジャンプ種目を1〜2種類に減らして構いません。

筋トレ・ジャンプ・ドリルはどの順番で行う?

同じ日に行う場合は、次の順番が基本です。

  1. 軽いウォーミングアップ
  2. ランニングドリル
  3. プライオメトリックトレーニング
  4. ランニングまたは筋力トレーニング

 ランニングドリルやジャンプ種目は、疲労が少なく、動作の質を保てるタイミングで行います。

※ただし、インターバル走やテンポ走など、重要なランニングの前にジャンプを多く行うと、走りの質が低下する可能性があります。

重要なランニングを優先する場合は、

  • ドリルは少量にする
  • ジャンプを別日に行う
  • イージーランの日に組み合わせる

などの調整が必要です。

自重トレーニングの限界

 自重トレーニングは、筋トレ初心者や、自宅でトレーニングを始めたいランナーに適しています。

 一方、筋力が高まるにつれて、同じ自重種目では負荷が不足しやすくなります。

特に、

  • ブルガリアンスクワットを高回数行っても余裕がある
  • 片脚カーフレイズを何十回も安定して行える
  • 動作を遅くしても負荷を感じにくい

場合は、自重だけで筋力を伸ばし続けることが難しくなります。

 高負荷筋力トレーニングには、ランニングエコノミーや走パフォーマンスを改善した研究が比較的多くあります。

 自重で十分な負荷を作れなくなった場合は、将来的にダンベルやバーベルを使う方法も選択肢になります。

自宅トレーニングを行うときの注意点

限界まで追い込みすぎない

 毎回すべてのセットを限界まで行うと、筋肉痛や疲労によってランニングの質が低下する可能性があります。

 セット終了時に、あと1〜3回程度できそうな余裕を残す方法が実践しやすいでしょう。

ジャンプの回数を増やしすぎない

 プライオメトリックトレーニングは、少ない回数でも負荷が高くなります。

 ジャンプの高さ、接地の短さ、着地の安定性が低下する前に終了します。

硬い床や滑りやすい床を避ける

 滑りやすいフローリングや、周囲に家具が多い場所では、転倒や衝突のリスクがあります。

 ジャンプを行うスペースと床面を確認してください。

痛みがある状態でジャンプしない

 足底、アキレス腱、ふくらはぎ、すね、膝などに痛みがある場合は、無理にジャンプを行わないでください。

 ランニングそのものにも着地の負荷があるため、ジャンプだけを切り離して考えず、1週間全体の負荷を調整します。

筋トレやドリルだけで速くなろうとしない

長距離走のパフォーマンスには、

  • VO₂max
  • 乳酸閾値
  • ランニングエコノミー
  • 長時間走り続ける能力
  • ペース配分
  • 補給
  • 暑さや坂道への適応

など、複数の要素が関係します。

自宅トレーニングは、その一部を支える方法です。

自宅トレーニングに関するよくある質問

スクワットだけでも効果はある?

 スクワットは基本的な下半身トレーニングですが、両脚の自重スクワットだけでは負荷が不足しやすくなります。

慣れてきたら、

  • スプリットスクワット
  • ブルガリアンスクワット
  • 椅子を使った片脚スクワット

などへ進めましょう。

Aスキップは毎回行うべき?

 必ず行う必要はありません。

 Aスキップは、ウォーミングアップや動作のリズム確認として利用できます。ドリルが苦手だったり、行うとフォームが崩れたりする場合は、Aマーチや軽い流しで代用できます。

もも上げを行うとストライドは伸びる?

 もも上げだけでストライドが伸びるとは言えません。

ストライドは、

  • 走速度
  • 筋力
  • 接地時の力発揮
  • ピッチ
  • 身長や脚長
  • 疲労
  • ランニング経験

などによって変化します。

 膝を意図的に高く上げても、効率よく前へ進めるとは限りません。

Bスキップは行わなくてもよい?

 市民ランナーが必ず行う必要はありません。

 Bスキップは技術的に難しく、足を前へ投げ出す動作になりやすいため、記事内でも優先度の低い発展的ドリルとして扱うのが妥当です。

自宅トレーニングでケガを予防できる?

 筋力や身体を支える能力を高めることは重要です。

 しかし、特定の筋トレやドリルを行えば、ランニング障害を確実に予防できるとは言えません。

 ランニング障害には、

  • 急激な走行距離の増加
  • 高強度練習の増加
  • 回復不足
  • 睡眠
  • 過去のケガ
  • 身体的特徴
  • 路面や環境

など、多くの要因が関係します。

自宅トレーニングは、身体づくりの一要素として考えましょう。

まとめ

 自宅で行うトレーニングでも、方法を工夫すれば、ランニングパフォーマンスを支える身体能力を鍛えられます。

 自宅トレーニングは、目的によって次の3つに分けて考えます。

筋力を高める

  • ブルガリアンスクワット
  • 片脚スクワット
  • リバースランジ
  • 片脚ヒップリフト
  • 片脚カーフレイズ
  • サイドプランク

素早く力を発揮する

  • ポゴジャンプ
  • スクワットジャンプ
  • スケータージャンプ
  • スプリットジャンプ
  • 片脚ホップ

動作を準備する

  • Aマーチ
  • Aスキップ
  • 振幅を抑えたもも上げ

 Aスキップやもも上げは、ウォーミングアップや動作確認として利用できます。

ただし、ドリル単独で走力やランニングエコノミーが大きく向上すると考える根拠は十分ではありません。

また、Bスキップは技術的に難しく、市民ランナーが必ず行う必要はありません。

 

走(かける)
走(かける)

走力アップの基本は、実際に走るトレーニングです。

ランニングを中心に、自重筋力トレーニングとプライオメトリックトレーニングを組み合わせ、ランニングドリルは補助的に使うという考え方が現実的です。

参考文献

  1. Blagrove RC, Howatson G, Hayes PR. Effects of Strength Training on the Physiological Determinants of Middle- and Long-Distance Running Performance: A Systematic Review. Sports Medicine. 2018.
  2. Berryman N, Mujika I, Arvisais D, et al. Strength Training for Middle- and Long-Distance Performance: A Meta-Analysis. International Journal of Sports Physiology and Performance. 2018.
  3. Balsalobre-Fernández C, Santos-Concejero J, Grivas GV. Effects of Strength Training on Running Economy in Highly Trained Runners: A Systematic Review With Meta-Analysis of Controlled Trials. Journal of Strength and Conditioning Research. 2016.
  4. Saunders PU, Telford RD, Pyne DB, et al. Short-Term Plyometric Training Improves Running Economy in Highly Trained Middle and Long Distance Runners. Journal of Strength and Conditioning Research. 2006.
  5. American College of Sports Medicine. Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2009.

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