【こんな悩みを解決!!】

走るのが楽しくなくなった

走っているのにタイムが落ちてる
「最近走るのが楽しくなくなった」
「前よりタイムが落ちている気がする。」
そんな状態が続いていませんか?
ランニングは継続が大切なスポーツですが、頑張りすぎることで逆にパフォーマンスを落としてしまうことがあります。その代表が“オーバーワーク(オーバートレーニング)”。
特に真面目なランナーほど、「距離を増やしすぎる」「疲れていても走ってしまう」「イージーランが速くなりすぎる」「休むことが不安」といった状態になりやすく、知らないうちに疲労を溜め込んでしまうことがあります。
オーバーワークは、単なる「疲れ」とは違います。放置すると、「慢性的な疲労感」「パフォーマンス低下」「睡眠障害」「モチベーション低下」などにつながり、回復までに長い時間がかかるケースもあります。
しかし逆に言えば、早めに兆候へ気づき、適切に対策することで防げることも多いです。
本記事では「オーバーワークの兆候」「オーバーワークの対策」について科学的な視点も交えて徹底解説します。
初心者ランナーさんにも分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
オーバーワークの兆候

オーバーワークの兆候:主観的
オーバーワークの兆候を客観的なデータを基に判断することが出来ればいいですが、客観的なデータにはランニングウォッチなどの特別なデバイスが必要です。
ランニングウォッチは決して安いものではないため、持っていないランナーも多いでしょう。ランニングウォッチを持っていないランナーは主観的な指標でオーバーワークかどうかを判断してみて下さい。
朝から体がだるい
「朝、目が覚めても体がだるい」と感じた時は疲労が残っているサイン。
本来、睡眠後はある程度疲労が回復し、「朝は比較的軽い」状態になるはず。でもオーバーワークでは、夜の間に十分回復できず、“疲労を持ち越したまま朝を迎える”状態になります。
でもオーバーワークでは「負荷 > 回復」になっている。つまり、修復が追いついていません。
朝に目が覚めてもなんとなく体がだるいと感じた時は、”休む”又は”リカバリーラン”などの回復を促すメニューを行うようにしましょう。

朝、目が覚めた時は体の調子を探る良いタイミング!
体が重いと感じた時は勇気をもって休みましょう。
モチベーションが低下
「なんとなく走るモチベーションが湧かない…」ーーそれはオーバーワークが原因かもしれません。
ランニングなどの運動を継続することは非常に難しく、スポーツメーカーである”デサント”と健康機器メーカーの”タニタ”では秋にランニングを始めたランナー378人の内の68%が6ヶ月以内に挫折したことを報告しています。
モチベーションが湧かない時に義務感で走ってしまった後、ランニングをしたくなくなってしまうのかもしれません。

モチベーションが湧かない時は一日休んで翌日走るという考えでもいいかもしれません。
集中力が低下・イライラしやすい
「最近イライラする」「集中力が続かなくなった」ーー日常生活でこのようなことを自覚した時、オーバーワークかもしれません。
長期的な高負荷のトレーニングは身体だけでなく脳にも影響を与えます。
通常、「身体は交感神経(活動)」と「副交感神経(回復)」をバランス良く切り替えています。しかし、オーバーワークになってしまうと”交感神経優位が続きやすい状態”。
その結果、「脳が休めない」→「集中力低下」・「注意力低下」・「判断力低下」「 感情が不安定:イライラ・不安感・焦り」が起こりやすくなります
またランナーは”糖質不足”になりやすく、脳のエネルギーであるブドウ糖が不足すると”脳エネルギー低下”が起こることがあります。

筋肉だけでなく脳・神経の活動低下や不調も重要なオーバーワークのサインとなります。
寝つきが悪い・夜中に目が覚める
「夜なかなか眠れない」「夜中に目が覚めるようになった」ーー夜の寝つき・目が覚めてしまうようになった時、オーバーワークかもしれません。
本来身体は、「昼:交感神経(活動)」「夜」副交感神経(回復)」へ切り替わります。でもオーバーワークでは高負荷ストレスが続き、 ”交感神経優位が続きやすい状態”。つまり、身体が「ずっと戦闘モード」になっています。
その結果、「寝付き悪化」「浅い睡眠」「夜中に起きる」「朝スッキリしない」が起こりやすくなります。

夜に眠れなくなったという時は積極的に休むことを考えましょう!
同じ場所が痛む
「腰が痛むようになった」「膝が痛むようになった」ーー体のどこかに痛みが続くようになった時、オーバーワークかもしれません
ランニングは体の負担が非常に大きいスポーツです。ランニングは片足ジャンプと片足着地を交互に長時間続けているようなもの。着地時にかかる衝撃は体重の2~5倍と言われており、衝撃を吸収するために体の筋肉がクッションとして役割を果たします。
しかし、筋肉も使用していけば筋線維が損傷していきます。通常なら、栄養摂取と睡眠で筋線維は回復しますが回復が追い付かないと筋線維の回復が追い付かず体の特定箇所が痛くなってきます。

走ると腰が痛い・膝が痛いと感じた時は休むようにしましょう!
オーバーワークの兆候:客観的
オーバーワークの兆候として客観的な指標を用いることはオーバーワークに気づかなかったということを避けることができます。主観的な要素はどうしても、個人の価値観・経験・性格などがバイアスとして入ってしまうため正確性に欠けてしまいます。
できるだけランニングウォッチなどで客観的な指標を用いることが望ましいです。
安静時心拍数の上昇
オーバーワークと安静時心拍数(RHR:Resting Heart Rate) は、かなり重要な関係があります。実際、安静時心拍数は「疲労状態」・「回復状態」を把握するシンプルで実用的な指標としてよく使われます。
オーバーワークで心拍数が変化する最大の理由は「自律神経の乱れ」。
通常、回復できている状態では、 副交感神経(回復モード)がしっかり働いています。でもオーバーワークでは高負荷ストレスが続き、”交感神経優位になりやすい状態”。
つまり、身体が「常に戦闘モード」になっているため、心拍数が下がりにくくなり安静時心拍数が上昇します。

安静時心拍数は多くのランナーが疲労の指標にしています。
安静時心拍数が普段より5~10回/分高い時は疲労が溜まっているかもしれません。
同じペースで心拍数が上がる
ランナーでオーバーワークになるとよく起こるのが、「ペースは遅いのに心拍数だけ高い」という状態。これはかなり典型的な疲労サインです。
通常、コンディションが良い時は同じペースだと同じくらいの心拍数になります。さらに調子が良い時は同じ心拍数でも、より速いペースで走れる。これが適応。
オーバーワークでは交感神経優位になりやすい状態。つまり、 常に身体が興奮状態であるため少し走っただけでも、「心拍が上がりやすい」「呼吸が苦しい」「力みやすい状態」になります。
慢性疲労状態では、「炎症性サイトカイン増加」・「コルチゾール増加」も起こります。その結果、身体がストレス状態になり、心拍が高くなりやすくなります。

ペースは変わらないのに”しんどい…”という時は休みましょう!
HRV(心拍変動)の低下

ランナーにおけるオーバーワークとHRV(心拍変動)の低下は、かなり重要な関係があります。
最近ではGarmin・COROSなどでも測れるので、“疲労管理の指標”として使うランナーが増えています。
HRV(心拍変動)とは「心拍と心拍の間隔のバラつき」のこと。
実は心拍って…60 bpmでも、 完全に1秒ごとではなく実際には0.95秒・1.03秒・0.98秒みたいに微妙に変化しています。この“揺らぎ”がHRV。
基本的には「HRV高いと回復しやすい状態」・「 HRV低いとストレス・疲労状態」を示しやすいです。HRVは自律神経の影響をかなり受け、「副交感神経優位(回復)=HRV高くなりやすい」・「交感神経優位(ストレス)=HRV低くなりやすい}。

HRVと安静時心拍数を組み合わせることで疲労の指標の精度がグンと上がります。
意図せず体重が減る
オーバーワークになると「交感神経優位状態」・「慢性炎症状態」となり一時的に基礎代謝が上がります。消費カロリーが勝手に増えるため、ランナーに意図に関わらず体重が減ってしまいます。
食事制限をしているわけでもなく、体重を落とそうとしていないのに継続的に体重が減っている時は要注意です!
※注意点
人の体重は水分量で大きく左右されます。糖質エネルギーを摂取した時はグリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられますが同時に水分量も多く蓄えます。
糖質の消費が大きいランナーでは1日で体重が1~2kg変動することは多い為、1日だけで体重が1~2kg変動した時は過度に気にする必要はありません。
体調を崩すことが増えた
1.オーバーワークではコルチゾールが高い状態が続きやすい。コルチゾールは必要なものですが慢性的に高いと、免疫機能を抑制しやすくなります。
2.また、ランナーは糖質不足になりやすいですが糖質不足になると身体は、「エネルギー不足」状態になります。すると生命維持が優先され免疫が抑制されてしまいます。
3.高負荷トレーニングが続くと、身体は慢性的炎症状態になりやすい。その結果、免疫バランスが乱れ、風邪を引きやすくなることがあります。
オーバーワークの対策

イージーランを速く走り過ぎない
オーバーワークになりやすいランナーの特徴としてイージーランのペースが速すぎるということがあります。イージーランのペースが速いとイージーランの恩恵以上に疲労が蓄積しオーバーワークとなってしまいます。
イージーランの設定ペースをついつい速く走ってしまうのは初心者あるある。
ポイント練習以外はイージーランの設定ペースを守って余裕のあるペースで走りましょう!
イージーランの設定ペース指標
【年齢から適正ペース予測する方法】
1.220ー年齢=最大心拍数
2.最大心拍数×60~70%
【例】
年齢30歳:(220ー30)×60~70/100=114回/分~133回/分
【最大心拍数の測定する方法】

最大心拍数は年齢から予測することができますが、実際は人によって大きく異なるのが現実。
自身の最大心拍数を知る方法として坂道ダッシュを繰り返す方法があります。
1.2分間坂道ダッシュを繰り返して心拍数を測定
2.1分間の測定後に再度坂道ダッシュを2分間行う
坂道ダッシュを繰り返していき、心拍数が最大値から変化しなくなった値が最大心拍数です。

非常にハードで苦しいですが、今日はこれだけ頑張る!!というつもりで頑張ってみて下さい。
【心拍数ベースの注意点:心拍数に影響を与える要】
心拍数は走るペースだけでなく、「疲労や睡眠不足・ストレスなどによる身体の調子」・「走る道路の整備や勾配・「気温」などによって左右されます。そのため、走るペースは変わらないけど、心拍数が上がりやすいという時はペースを落とすことを推奨します。


VDOT Calculator:自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリ
VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。
※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。
自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。
ポイント練習は週1~2回

閾値走・インターバル走・レぺテンショントレーニング・ビルドアップ走・ロング走などのポイント練習は週1~2回が基本です。
ポイント練習は体の負担が大きいため、頻度が多いと回復が追い付かずオーバーワークとなってしまいます。ポイント練習の間は2~3日空けて高強度の運動後に体が回復するのを待ちましょう!
睡眠時間・質を大切にする

身体の回復が最も盛んに行われているタイミングは睡眠中です。
睡眠、特にノンレム睡眠(深い睡眠)は成長ホルモンが分泌され、ランニングで傷ついた筋線維の修復が促されるようになります。
睡眠不足は体の回復が不十分となり、睡眠不足でトレーニングを継続してしまうと回復がさらに追い付かずオーバーワークとなってしまいます。
「寝る一時間前はスマフォを見ない」「ランニング・お風呂は寝る2時間前に済ませる」「夕方以降はカフェインを飲まない」など睡眠の質・時間を確保する工夫をしましょう!

睡眠は回復の基本です。
睡眠の質と時間を確保出来るように生活をできるところから工夫しましょう!
栄養補給をしっかりする
体を回復させるには「失ったエネルギー」「筋線維修復の材料」の摂取が必要です。
ランナーは糖質不足になりやすく、糖質不足は「大きな疲労感」「免疫機能の抑制」などの悪影響を及ぼします。ランニングで失った糖質を補給するようにしましょう。
また、ランニングで傷ついた筋線維を修復するにはタンパク質の摂取が必要です。タンパク質が不足すると傷ついた筋線維を修復する材料が無いため、筋線維の回復が追い付きません。タンパク質は不足しやすいため意識してとるようにしましょう。
炭水化物・タンパク質は回復の基本となる栄養素ですが、これらの栄養素がきちんと働くにはビタミンと水分摂取が必要です。特にビタミンB群は糖質・タンパク質の栄養素の働きを促す効果があります。

ランニング後の回復を促すために必要な栄養素を摂取することを意識しましょう。
ランニング後に何も摂取しない…は回復が追い付かなくなる可能性があります。
休む勇気を持つ
真面目なランナーほど、トレーニングの継続性を大切にし毎日頑張ろうとしてしまいます。しかし、身体が強く適応しようとするのはトレーニング中ではなく休んでいる時!
体が適応し強くなることを期待して勇気をもって休みましょう。休むことは停滞ではありません。休むこともトレーニングの1つです。
リカバリー週を作る

時には1週間単位でトレーニング負荷を抑えることも必要。
今後のトレーニング強度を上げるためにも、1週間単位でトレーニング負荷を抑えることも時には必要です。毎週同じトレーニングでは体は慣れてしまい、成長しにくくなります。

1日単位のリカバリーだけでなく、中期的な視点でのリカバリーも大切にしましょう!
データで体調管理
「安静時心拍数」と「HRV(心拍変動)」の組み合わせは疲労の指標として非常に優秀。
「安静時心拍数が普段より5~10回/分高い」・「HRVが低い時」は交感神経が優位な状態であるため、オーバーワークになっている可能性があります。
客観的なデータで体調を管理し、オーバーワークを防ぎましょう!
生活ストレスも管理する
オーバーワークはランニングトレーニングだけが影響するわけではありません。
日常生活や仕事・人間関係のストレスなども心身の回復に影響します。日常生活でストレスが溜まりやすい環境にいる人はオーバーワークになりやすいです。
仕事や家庭、人間関係など切っても切り離せないものもありますが、自分自身で出来る範囲でストレスが溜まらない環境を作ってみましょう。
長期的な視点を持つ
人の体は良くも悪くも少しずつしか変わりません。
頑張れば頑張るほどすぐに速く走れるようになるわけではありません。むしろハードなトレーニングばっかり続けるとオーバーワークで故障やケガのリスクが上がってしまいます。
ランナーとしての能力を上げていくのは、長期的な視点(数カ月・数年単位)でみなければいけません。

焦らず、長く強く走り続けましょう!
オーバーワークになりやすいランナー
真面目で頑張り屋さんほどオーバーワークになりやすい
トレーニングは長期的に疲労を管理しながら積み上げていかなければいけません。しかし、真面目で頑張り屋さんのランナーほど自身の疲労やストレス状態を無視してトレーニングを積み上げていこうとしてしまいます。
決してガムシャラにやれば伸びるわけではないため、体や精神状態を客観視しながら時には休むことも選択肢に入れましょう!
まとめ
本記事ではランナーにおけるオーバーワークの兆候と対策を解説してきました。
【オーバーワークの兆候】
●主観的
1.朝起きた時に体が重い
2.モチベーションが下がっている
3.集中力の低下・イライラすることが増えた
4.睡眠の質が下がった
5.体に痛みが出てきた
●客観的
1.安静時心拍数が高い
2.同じペースがきつい・心拍数が高い
3.HRV(心拍変動)が低い
4.体重が落ちた
5.風邪を引きやすくなった
【オーバーワークの対策】
1.イージーランが速くなり過ぎないようにする
2.ポイント練習は週1~2回
3.睡眠の質・時間を大切にする
4.栄養摂取を大切にする
5.休む勇気を持つ
6.リカバリー週を作る
7.データや体調を管理する
8.生活ストレスを管理する
9.長期的な視点を持つ

オーバーワークの兆候に当てはまっていませんでしたか?
ランニングはガムシャラにやれば伸びるわけではありません。心身の疲労を管理しながらトレーニング負荷と回復のバランスが偏らないように気を付けましょう!
風を切るランニング 