ジョグ用・デイリー用・スピード用・レース用シューズの違い|練習に合わせた選び方と履き分け方

 ランニングシューズを探していると、「ジョグ用」「デイリートレーナー」「スピード練習用」「レース用」という言葉を目にします。しかし、ジョグ用とデイリー用は何が違うのか、速く走る日には必ずスピード用を履くべきなのか、迷う人も多いでしょう。

 結論からいうと、4つの分類は、シューズを使いやすい場面で整理したものです。明確な規格で区切られているわけではなく、1足で複数の役割をこなすモデルもあります。

 最初から4足そろえる必要はありません。まずは普段の練習を快適に走れる1足を選び、練習内容やレースの目標に応じて買い足していきましょう。

ジョグ・デイリー・スピード・レース用シューズの違いを一覧で比較

分類主な役割向いている場面選ぶときに重視したいこと
ジョグ用楽なペースで走り続けるゆっくりしたジョグ、疲れている日の短いラン、ゆっくりしたロング走無理なく走れる履き心地、足に合うフィット感、安定した接地感
デイリー用日々の練習を幅広くこなす普段のジョグ、距離走、ペースを少し上げる練習快適さと動きやすさのバランス、使いやすさ
スピード用速い動きをしやすくするテンポ走、インターバル走、レースペース走目標ペースでの走りやすさ、切り返し、足への収まり
レース用大会で力を発揮しやすくする5kmからマラソンまでの大会、レース前の試走レース距離・目標ペースとの相性、後半まで保てる快適さ

 この表は、各モデルに必ず当てはまる性能を示したものではありません。

たとえば

ジョグにもテンポ走にも使いやすいデイリー用シューズや、レースにもスピード練習にも使えるシューズがあります。メーカーも、同じモデルを複数の用途に案内しています。

隼人(はやと)
隼人(はやと)

シューズの分類より先に、「自分は何をするために履くのか」を決めることが大切です。

ジョグ用シューズとは?

 ジョグ用シューズは、会話ができる程度の楽な強度で走る時間に使いやすい1足です。速さよりも、自分の自然なペースで無理なく走れる感覚を重視します。

 たとえば、次のような日に出番があります。

  • 疲労が残っている日の短いジョグ
  • スピード練習の翌日に行う楽なラン
  • ペースを上げずに走るロング走
  • ランニングを始めたばかりの時期

 「ジョグ用=とにかく厚くて柔らかいシューズ」ではありません。柔らかさが心地よい人もいれば、沈み込みが大きいと足元が落ち着かない人もいます。選ぶ際はクッションの量だけで判断せず、ゆっくり走ったときに足運びが自然かどうかを確かめましょう。

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

また、ジョグ用と呼ばれるモデルでも、大会で使用して問題はありません。完走を目標にする場合は、履き慣れたシューズのほうが走りやすいこともあります。

デイリー用シューズとは?

 デイリー用シューズは、文字どおり日々のランニングで使いやすいシューズです。「デイリートレーナー」と呼ばれることもあります。

 ジョグ用との違いは、主に使い方の幅です。この記事では、ゆっくりしたランを中心に選ぶものを「ジョグ用」、ジョグから少し速い練習まで広く使うものを「デイリー用」と整理します。

 ただし、実際の製品では両者の境界ははっきりしていません。

 デイリー用は、次のような人の最初の1足に向いています。

  • これからランニングを始める人
  • 週に数回、さまざまな距離を走る人
  • まだシューズを履き分けるほど練習内容を分けていない人
  • 1足でジョグや大会まで対応したい人

 

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

 選ぶ際は、楽なペースで快適に走れることを優先しましょう。最後に少しペースを上げても走りにくくなければ、1足で対応できる練習の幅が広がります。

 ただし、「幅広く使える」と「すべての練習で最も走りやすい」は同じ意味ではありません。インターバル走を始めて、普段のシューズではテンポを上げにくいと感じたときが、スピード用を検討するタイミングです。

スピード用シューズとは?

 スピード用シューズは、普段のジョグより速いペースで走る練習に使いやすいシューズです。テンポ走、インターバル走、ビルドアップ走の速い区間、レースペース走などで役立ちます。

 スピード用と聞くと、薄底で軽いシューズを想像するかもしれません。しかし、現在はクッションを備えたモデルやプレート入りのモデルもあります。重さやプレートの有無だけで用途を決めることはできません。

 試す際には、次の点を確認しましょう。

  1. 予定している練習ペースで走りやすいか
  2. カーブやペースの変化で足元が不安定にならないか
  3. 足指、甲、かかとに強い圧迫や擦れがないか
  4. 練習の終盤まで自然に走れるか

 スピード用を履いたからといって、毎回速く走る必要はありません。一方、シューズの弾む感覚につられて予定よりペースを上げてしまうなら、練習の目的から外れてしまいます。

隼人(はやと)
隼人(はやと)

シューズは練習を助ける道具であり、練習強度を決めるものではないと考えましょう。

レース用シューズとは?

 レース用シューズは、大会で目標のペースを保ちやすいように選ぶシューズです。軽さや反発感に注目しがちですが、市民ランナーにとっては自分のレース距離を最後まで走れることも重要です。

 5kmでは気持ちよく走れても、ハーフマラソンやフルマラソンでは足に合わない場合があります。購入時は「どの距離のレースで、どのくらいのペースで使うか」まで考えましょう。

 近年のレース用には、反発性の高いフォームやプレートを組み合わせたモデルがあります。

カーボンプレート入りシューズ効果

 カーボンプレートを含むシューズを比較した研究では、平均的なランニング時のエネルギー消費の改善が報告されています。

 ただし、研究結果をそのまま個人のタイム短縮率に置き換えることはできません。シューズの構造全体や、走る人との相性も関わります。

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

レース用シューズを選ぶなら、少なくとも一度は練習で履き、目標ペースと予定する距離に近い条件で確かめておきましょう。大会当日に初めて履くのは避けたいところです。

4種類は何を基準に選べばよい?

① まず、練習の目的から選ぶ

 その日に行う練習を先に決めます。

練習内容第一候補補足
楽なジョグジョグ用・デイリー用快適に予定した強度を保てるもの
ゆっくりしたロング走ジョグ用・デイリー用後半の足当たりも確認する
ビルドアップ走デイリー用・スピード用速い区間でも扱いやすいもの
テンポ走・インターバル走スピード用ウォームアップやつなぎのジョグも無理なく走れるか確認
レースペース走スピード用・レース用大会で使うシューズの確認にもなる
大会履き慣れたデイリー用・レース用距離と目標に合うほうを選ぶ

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

同じ「ロング走」でも、楽な強度で時間をかけて走る日と、後半にレースペースを入れる日ではシューズに求めるものが変わります。距離の名前だけで決めず、練習の中身を見るのがポイントです。

② ペースの数字だけで分類しない

 「1kmを何分で走る人は、この種類」と一律には決められません。同じ5分/kmでも、ある人には楽なジョグで、別の人には速い練習です。

 目安にしたいのは、他人のタイムではなく自分にとっての強度です。

  • 楽に会話できる:ジョグ用・デイリー用を中心に検討
  • 呼吸が弾むが、一定時間は維持できる:デイリー用・スピード用を検討
  • レース本番のペースで走る:予定距離まで含めてレース用との相性を確認

 メーカーが示す推奨ペースはモデルを比較する参考になります。ただし、自分の足で走ったときの感覚まで保証する数字ではありません。

③ 足へのフィットを最優先する

 どれほど評判のよいモデルでも、足に合わなければ使いにくくなります。試着時には、つま先の余裕だけでなく、次も確認してください。

  • 足幅や甲に強い圧迫がないか
  • かかとが大きく浮かないか
  • 左右で当たり方が違わないか
  • 歩いたとき、可能なら軽く走ったときに違和感がないか
  • 長い距離で履く場合、足がむくんだときにも窮屈になりすぎないか

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

足長の数字だけでサイズを決めず、実際に走るときの靴下を履いて確かめましょう。特にレース用は、軽く立っただけの印象と、走ったときの印象が異なる場合があります。

何足そろえる?初心者から記録を狙う人まで

1足で走る場合:デイリー用を中心に選ぶ

 ランニングを始めたばかりなら、まずは普段のジョグを快適に走れるデイリー用を選ぶのが現実的です。ジョグ、少し速い練習、初めての大会まで、その1足で対応できます。

 「レースに出るならレース用が必須」というわけではありません。1足で走っているうちに、どの場面で物足りなさを感じるかが分かってきます。

2足に増やす場合:普段用+目的に合う1足

 2足目は、困っている場面に合わせて選びます。

  • ジョグが中心で、普段のシューズを休ませながら使いたい:履き心地の異なるジョグ用
  • テンポ走やインターバル走を始めた:スピード用
  • 目標とする大会が近い:レース用、または大会でも使いやすいスピード用

隼人(はやと)
隼人(はやと)

 レースを予定していても、まだ速い練習をほとんど行わないなら、先にレース用を買う必要はありません。反対に、大会で記録を狙う目的が明確なら、本番前に試す時間を確保して選びましょう。

3足以上に増やす場合:練習ごとの役割を明確にする

 ジョグ、速い練習、レースで求める感覚が違う人は、3足を使い分けると選びやすくなります。

役割使用例
ジョグ用またはデイリー用普段のジョグ、楽なロング走
スピード用テンポ走、インターバル走、レースペース走
レース用大会、事前の試走、重要なレースペース練習

 さらにジョグ用とデイリー用を分ける4足目は、走行頻度や好みがはっきりしてから検討すれば十分です。

 複数のシューズを並行して使うこととランニング障害の発生率を調べた観察研究はありますが、履き分ければ必ずケガを防げると証明されたわけではありません。

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

シューズの種類を増やすこと自体を目的にせず、練習量や体調も合わせて管理しましょう。シューズの種類による障害予防効果についても、研究には不確実性が残っています。

ハーフマラソン・フルマラソンではどう履き分ける?

 マラソンに向けた練習では、「長く走る日」と「レースペースで走る日」を区別すると選びやすくなります。

例

楽なペースで90分走るなら、ジョグ用やデイリー用で快適に走れるかが大切です。一方、ハーフマラソンの目標ペースを含む練習では、レースで使う予定のシューズを試す機会になります。

 フルマラソンでは、短時間の試走で「軽くて速い」と感じても、それだけで本番用と決めないようにしましょう。長時間走ったときの足の当たり、後半の安定感、疲れてからの走りやすさまで確認したいところです。

 

隼人(はやと)
隼人(はやと)

レース用を選ぶ基準は、店頭で最も弾んだ1足ではなく、自分の目標ペースで、予定する距離を走り切るイメージが持てる1足です。

シューズ選びでよくある失敗

「厚底ならジョグ用、薄底ならスピード用」と決める

 ソールの厚さだけでは用途は決まりません。厚みがあっても速い練習向きのモデルがあり、ジョグでも軽快に走れるモデルがあります。メーカーの用途説明を確認したうえで、自分の練習に当てはめましょう。

レース用を買って本番まで履かない

 本番で初めて長い距離を走ると、足の当たりやシューズの動き方を確認できません。購入後は短いランから試し、問題がなければレースペースを含む練習でも確かめます。

「速いシューズだから」とジョグまで速くする

 シューズを履き替えた日にペースが上がることはあります。ただし、楽に走る予定の日まで速くしてしまうと、練習の組み立てが変わります。ジョグの日は予定した強度を基準に走りましょう。

カテゴリーを先に決め、足との相性を後回しにする

 「レース用が欲しい」という理由で足に合わないモデルを選ぶ必要はありません。履き心地、用途、距離の順に照らし合わせ、納得できる1足を探してください。

よくある質問

ジョグ用とデイリー用は同じですか?

 用途が重なります。この記事では、ゆっくりしたランを中心に使うものをジョグ用、幅広い普段の練習に使うものをデイリー用としています。ただし、統一された製品規格ではなく、両方に当てはまるモデルもあります。

スピード用シューズにカーボンプレートは必要ですか?

 必須ではありません。プレートのないシューズでも、テンポ走やインターバル走を快適に行えます。プレートの有無より、練習ペースでの走りやすさと足との相性を優先しましょう。

レース用シューズでジョグをしてもよいですか?

 履いてはいけないわけではありません。レース用に慣れるため、短いジョグから試すこともできます。ただし、足元の感覚や自然に上がるペースが普段と異なる場合は、ジョグの目的に合っているか確認しましょう。

初めてのマラソンでもレース用を買うべきですか?

 必須ではありません。履き慣れたデイリー用で完走を目指す選択もあります。レース用を購入するなら、本番前に十分な試走期間を取り、目標ペースだけでなく長い時間走ったときの履き心地を確かめてください。

シューズを履き分けるとケガを予防できますか?

 履き分けと障害リスクの関連を調べた研究はありますが、何足持てば防げるという確実な結論はありません。急な練習量の増加、過去のケガ、体調なども含めて考える必要があります。シューズだけでケガを予防できると期待しすぎないことが大切です。

まとめ|まずは普段の練習に合う1足から

 ジョグ用・デイリー用・スピード用・レース用の違いは、主にどの練習で使いやすいかにあります。

  • ジョグ用: 楽なペースで無理なく走りたい日
  • デイリー用: 普段の練習を幅広くこなしたい日
  • スピード用: テンポ走やインターバル走など、速く走る日
  • レース用: 大会で目標のペースを維持したい日

隼人(はやと)
隼人(はやと)

まずは自分の普段のランニングに合うシューズを選びましょう。そのうえで、「速い練習を始めた」「大会で記録を狙いたい」といった目的ができたときに、役割の異なる1足を加えると、無理なく履き分けられます。

参考文献・参考資料

  1. Malisoux L, et al. Can parallel use of different running shoes decrease running-related injury risk? Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2015.
  2. Relph N, et al. Running shoes for preventing lower limb running injuries in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2022.
  3. Metabolic effects of carbon-plated running shoes: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Sports and Active Living.
  4. ASICS「ランニングのレベルアップに。練習内容に合わせてシューズを変えてみよう」