ランニングの体重管理にBMIは使える?マラソンの記録向上につなげる考え方

マナブ
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「体重を落とせば、マラソンはもっと速くなるのでは?」
「ランナーは、どのくらいのBMIを目指せばよい?」

 自己ベストを目指すと、練習だけでなく体重も気になるものです。しかし、体重が減ったことと、マラソンを速く走れるようになったことは同じではありません。

 記録向上のための体重管理では、BMIを参考にしながら、練習の質と回復を保てているかを確認することが大切です。

 この記事では、成人の市民ランナーに向けて、BMIの使い方、体重とマラソン記録の関係、食事と練習を両立する方法を解説します。

ランニングの体重管理にBMIは使える?

 BMIは、身長に対して体重がどのくらいあるかを表す指標です。計算が簡単で、自分の体格を把握する入口として使えます。

BMIと体型は異なる

 ただし、BMIでは脂肪と筋肉を区別できません。同じBMIでも、体脂肪量や筋肉量は異なります。

 そのため、ランナーは次の3点を合わせて見ましょう。

  • BMI:身長に対する体重の目安
  • 体重の推移:同じ条件で測った数値がどう変化しているか
  • 走りと体調:練習をこなせるか、疲労が回復するか

走(かける)
走(かける)

BMIは「今の体格を確認する数字」として使い、目標タイムに必要な体重を決める数字としては扱わないことが基本です。

BMIの計算方法と体重の目安

BMIは、次の式で計算できます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 身長170cm、体重65kgの場合は、65÷1.70÷1.70=約22.5です。

 日本肥満学会の成人の分類は、次のとおりです。

BMI分類
18.5未満低体重
18.5以上25未満普通体重
25以上肥満

 

走(かける)
走(かける)

これは体格を評価する分類であり、マラソンで最も速く走れる範囲を示したものではありません。また、普通体重の範囲内であれば、どのような食事や減量でも問題ないという意味ではありません。

 身長170cmで、各BMIに相当する体重を計算すると、次のようになります。

BMI相当する体重
18.5約53.5kg
20約57.8kg
22約63.6kg
25約72.3kg

この表は計算例です。

BMI20や22を、すべてのランナーの目標にするものではありません。

体重を落とすとマラソンは速くなる?

体脂肪と記録には関連があるが、減量の効果とは別

体脂肪率とマラソン記録

 男性の市民ランナー126人を対象とした研究では、体脂肪率と練習指標を組み合わせて、マラソン記録との関連が検討されています。

 ただし、この研究は、同じランナーを減量させてタイムの変化を確かめた介入研究ではありません。

 もともとの走力、練習量、練習ペースなども記録に関わります。

走(かける)
走(かける)

したがって、体脂肪率と記録の関連から「自分も体重を落とせば、その分だけ速くなる」とは判断できません。男性ランナーの結果を、女性やすべての年代にそのまま当てはめることもできません。

体重が減っても、練習の質が落ちる場合がある

 食事を減らしすぎて、ペース走を続けられない、ロング走の後半で力が出ない、疲れが抜けない状態になれば、記録向上のための練習が難しくなります。

研究4

 運動量に対するエネルギー摂取の不足が問題となり、健康や競技パフォーマンスに悪影響を及ぼす状態は、REDs(スポーツにおける相対的エネルギー不足)として整理されています。男女ともに起こり得ます。

 

走(かける)
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減量の評価は、「何kg減ったか」に加えて「必要な練習を継続できているか」で行いましょう。

「1kg減ると何分速くなる」とは決められない

 今回確認した文献からは、市民ランナー全員に使える「減量1kgあたりのタイム短縮量」は示せません。

 脂肪が減る場合と、筋肉や水分が減る場合では意味が異なります。

走(かける)
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練習状況や気象条件も変わるため、体重だけで自己ベストを予測するのは避けましょう。

ランナーの適正体重はどう考える?

 記録向上を目指す場合は、**「練習を積めて、回復できて、レースに向けて調子を上げられる体重」**という視点が役立ちます。これは、医学的な適正体重の定義ではなく、競技のための管理の考え方です。

 体重と一緒に、次の項目を記録してみましょう。

確認する項目見るポイント
ジョグ同程度の条件で、きつさが増えていないか
ペース走設定ペースと時間を無理なくこなせるか
ロング走後半の失速や、翌日以降の疲れが増えていないか
回復睡眠、食欲、日常の元気が保たれているか
継続性体調不良や痛みで練習を中断することが増えていないか

 暑さ、坂道、睡眠不足などでも走りは変わります。1回の練習結果だけで体重の良し悪しを判断せず、数週間の傾向を見ましょう。

 

走(かける)
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過去に自己ベストを出したときの体重も参考にはなりますが、その数字を必ず再現する必要はありません。当時の練習、補給、年齢、体調も合わせて振り返ることが大切です。

減量・維持・減量を控える場合の考え方

 BMIだけで、減量の必要性を決めないようにしましょう。

現在の状況体重管理の方向性
体重が安定し、練習と回復も良好維持しながら練習を積むことを優先
体重が増え続け、間食や飲酒などの習慣にも変化がある食生活と活動量を振り返り、調整の必要性を検討
BMIが高いが筋肉量も多いBMIだけで減量せず、体組成や健康状態も確認
BMI18.5未満、意図しない体重減少、不調がある自己判断でさらに減量せず、医師や管理栄養士に相談

 体脂肪率が気になる場合も、一律の「ランナーの理想値」を目標にする必要はありません。家庭用体組成計の数値は、水分状態などで変動するため、小さな変化を過大評価しないようにします。

 

走(かける)
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すでに練習を順調に積めているなら、まずは体重を保ったまま、持久力やレースペースへの対応力を高める選択もできます。

記録向上につなげる体重管理の5つのポイント

 以下は、研究やスポーツ栄養の考え方を踏まえた、市民ランナー向けの実践提案です。個人に最適な減量量や食事量を処方するものではありません。

1.体重は同じ条件で測り、週単位で見る

 測る場合は、朝の起床後・排尿後・朝食前など、条件をそろえます。

 1日ごとの増減に合わせて食事や練習を変えず、週平均などで傾向を確認しましょう。毎日の測定が負担になる場合は、測定頻度を減らして構いません。

 

走(かける)
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ランニング直後の体重減少には発汗による水分損失が含まれるため、その数字を「脂肪が減った成果」として評価しないことも大切です。

2.ポイント練習前後の食事と補給を確保する

 ペース走やロング走など、記録向上に必要な練習を行う日は、食事と補給を確保します。

研究5

 スポーツ栄養の共同声明では、食事や水分の種類・量・タイミングを、練習や競技の状況に合わせることが重視されています。

走(かける)
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 「体重を落としたいから」と、練習前の食事、ロング走中の補給、練習後の食事を一律に削る方法は避けましょう。

3.まず練習以外の食習慣を振り返る

 減量が必要だと判断した場合も、主食や食事全体を大幅に減らす前に、次の習慣を確認します。

  • 空腹でなくても食べている間食
  • 習慣的な飲酒と一緒に食べるつまみ
  • 普段の飲み物から摂っているエネルギー
  • 練習後に毎回、必要以上に食べる習慣

走(かける)
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間食は、練習前後の補食として役立つ場合もあります。食べる時間と目的を見て、調整する部分を選びましょう。

4.短期間の減量を目指さない

減量速度と徐脂肪量

 アスリート24人を対象とした研究では、減量の速度によって、除脂肪量や筋力の変化が異なることが報告されています。

 ただし、これは筋力トレーニングを併用した研究で、マラソン記録を評価したものではありません。研究の減量ペースを、そのまま市民ランナーに推奨することはできません。

 

走(かける)
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実践では「大会までに必ず○kg」と期限を優先せず、走りや回復が悪化したら、食事制限を緩めて見直しましょう。

5.食事制限と練習量の増加を同時に大きく行わない

研究4

 走行距離を増やしながら食事も大幅に減らすと、運動量に対するエネルギー不足を招きやすくなります。

 

走(かける)
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まず普段の練習と食生活を記録し、変える内容を絞ります。減量のためだけにロング走や高強度練習を追加するより、現在の練習を継続できる状態を整えましょう。

練習日・休養日・レース前でどう管理する?

 体重管理のために、毎日同じ食事量にする必要はありません。練習量や回復の必要性に合わせて考えます。

状況食事と体重管理の考え方
軽いジョグの日基本の食事を保ち、走ったからと毎回大きく上乗せしない
ペース走・インターバル走の日練習前後のエネルギー補給を確保
ロング走の日練習前・中・後の補給を計画
休養日回復に必要な食事を保ち、不要な追加分を調整
レース直前新たな減量より、疲労回復とエネルギー補給を優先

 休養日も、前日の練習から回復する日です。「走らないから主食を抜く」と固定せず、練習の流れや食欲も見て調整します。

走(かける)
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レース直前の体重は、食事、水分、グリコーゲンの貯蔵などでも変わります。糖質を増やした際の体重増加を、すぐ体脂肪の増加と判断して食事を削らないようにしましょう。

体重が減らない・増えたときに確認すること

 体重が動かないからといって、ランニングの効果が出ていないとは限りません。

 まず、測定条件、食生活、練習量、体調の変化を確認します。女性では月経周期に伴う変動も考慮します。

 特に、次の組み合わせを見てください。

体重と走りの変化見直す方向
体重は変わらないが、走力が上がっている体重減少を急がず、練習を継続
体重が減り、走りも回復も良好さらに減量を進める必要があるか再検討
体重が減り、走りや回復が悪化食事不足と練習負荷を見直す
体重が増え、疲労や不調も続く体重だけを原因とせず、食事・睡眠・負荷を確認

 

走(かける)
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急な増減を、脂肪の変化だけで説明しないことが大切です。

減量を中断して相談したいサイン

 体重管理中に、次の状態が続く場合は、さらに食事を減らす前に見直しましょう。

  • 疲労が抜けず、練習の質が落ちている
  • 体調不良やケガを繰り返す
  • 月経が不規則になった、止まった
  • 意図しない体重減少が続く
  • 食事や体重への不安が強く、生活に影響している

 これらだけでREDsと診断することはできませんが、エネルギー不足などを確認するきっかけになります。

 

走(かける)
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BMIが普通体重でも、食事量が練習量に見合っているとは限りません。不調が続く場合は、医師やスポーツ栄養に詳しい管理栄養士へ相談してください。

よくある質問

ランナーはBMI22を目指した方がよい?

BMI22を、マラソンで最も速く走れる値と考える根拠はありません。筋肉量や練習状況が異なるため、BMIだけで目標体重を決めないようにしましょう。

サブ3・サブ4に必要なBMIはある?

今回確認した文献からは、サブ3・サブ4の達成に必要な共通のBMIは示せません。BMIを参加条件や達成条件のように扱わず、走力と練習の積み重ねを評価しましょう。

走った後に1kg減ったら、減量に成功した?

発汗による水分損失などが含まれるため、脂肪が1kg減ったという意味ではありません。走行直後の数字と、日常の体重の推移は分けて考えます。

体重が減っているのに速くならないのはなぜ?

体重以外に、練習内容、疲労、補給、睡眠、気象条件などが関わります。減量を続ける前に、練習をこなせているか、回復できているかを確認しましょう。

レース直前にあと少し減量してもよい?

記録向上を目指すなら、新たな食事制限より、回復とレースに必要な補給を優先する方針をおすすめします。目標体重に合わせるために、食事や水分を無理に減らさないようにしましょう。

まとめ

 ランニングの体重管理でBMIは役立ちますが、マラソンの記録を決める数字ではありません。

目指したいのは、体重を減らし続けることではなく、必要な練習を積み、十分に回復し、レースで力を発揮できる状態です。

走(かける)
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体重の推移と一緒に、ペース走、ロング走、疲労、睡眠、食欲を振り返り、自分の走りに役立つ管理を続けましょう。

参考文献

  1. 日本肥満学会.肥満と肥満症について.公式サイト
  2. CDC. BMI Frequently Asked Questions. 公式サイト
  3. Tanda G, Knechtle B. Marathon performance in relation to body fat percentage and training indices in recreational male runners. Open Access J Sports Med. 2013;4:141–149.
  4. Mountjoy M, et al. 2023 International Olympic Committee’s (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs). Br J Sports Med. 2023;57:1073–1097.
  5. Thomas DT, Erdman KA, Burke LM. American College of Sports Medicine Joint Position Statement. Nutrition and Athletic Performance. Med Sci Sports Exerc. 2016;48:543–568.
  6. Garthe I, et al. Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011;21:97–104.