
「走っている時間をもっと楽しみたい」
「音楽以外にも、ランニング中に聴けるものはある?」
ランニングのお供には、好きな音楽、ラジオやポッドキャスト、オーディオブックなど、さまざまな選択肢があります。
選ぶときの軸は、その日の練習目的と、走る場所の安全性です。 気分を上げたい日、ゆっくり長く走りたい日、呼吸やフォームを確かめたい日では、合うものも変わります。
この記事では、ランニング中に何を聴くか迷ったときの選び方と、研究で分かっている音楽の効果、安全に楽しむポイントを紹介します。
ランニング中は何を聴く?まずは目的で選ぼう

次の表は、日々のランニングで試すための使い分けの提案です。音声コンテンツ同士の優劣が研究で確定しているわけではありません。
| 目的・場面 | 選択肢 | 選ぶポイント |
|---|---|---|
| 気分よく走り始めたい | 好きな音楽 | 自然と聴きたくなる曲を選ぶ |
| ゆっくり走る時間を楽しみたい | ラジオ・ポッドキャスト | 聞き逃しても困らない内容にする |
| 物語や知識を楽しみたい | オーディオブック | 耳だけで理解しやすい作品にする |
| 呼吸・接地・ペースを確認したい | 何も聴かない | 身体の感覚と周囲に注意を向ける |
| 交通量が多い・道が不慣れ | 再生を止める | 安全確認を優先する |
「毎回、何かを聴かなければいけない」と考える必要はありません。走り始めは何も聴かず、安全な区間だけ音声を楽しむ方法もあります。
音楽|気分やリズムに合わせて選ぶ

最初は、自分が好きな曲から
選曲に迷ったら、普段から好きな曲を集めてみましょう。
邦楽、洋楽、ロック、ポップス、映画音楽など、ジャンルを一つに絞る必要はありません。「ランニング向け」と紹介されていても、自分に合わない曲を無理に聴く必要はないでしょう。
ただし、気分が高まったときも、その日の予定ペースは守りたいところです。イージーランの日は、曲の盛り上がりに合わせて加速せず、呼吸やきつさをときどき確認しましょう。
曲のBPMとランニングのピッチは別の指標

BPMは音楽の1分間の拍数、ランニングのピッチは1分間の歩数です。
数値が同じでも、すべてのランナーが曲に足運びを合わせる必要はありません。音楽に合わせようとして、無理に歩幅や足の回転を変えることは避けましょう。

選曲は「正しいBPM探し」より、予定した強度で自然に走れるかを基準にすると実践しやすくなります。
研究では、運動中の音楽にどんな効果がある?

Terryらのメタ解析は、139研究、計3,599人のデータをまとめ、運動・スポーツ中の音楽の効果を検討しています。
PICOで整理すると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| P:対象 | 運動・スポーツ課題に参加した人 |
| I:介入 | 音楽を聴く条件 |
| C:比較 | 音楽を聴かない条件など |
| O:評価 | 気分、運動パフォーマンス、主観的運動強度、心拍数など |
全体として、気分、運動パフォーマンス、主観的運動強度には好ましい効果が示されました。一方、心拍数には有意な効果が認められませんでした。
ただし、さまざまな運動課題をまとめた結果です。「音楽を聴けばフルマラソンが必ず速くなる」「長期的なトレーニング効果が高まる」とは、この結果だけでは判断できません。

音楽は、走る時間を楽しむための補助として活用しましょう。
ポッドキャスト・ラジオ|会話や話題を楽しむ

音楽以外を試したい人には、会話やトークを楽しむ方法があります。
例えば、次のような内容が候補になります。
- 趣味や日常の雑談
- スポーツやランニングの話
- 旅行・歴史・文化の話
- ニュースの解説
- 好きな人のインタビュー

最初は、聞き逃しても話についていきやすい番組を選ぶと試しやすいでしょう。これは使い方の提案であり、ポッドキャストで走力が向上するという意味ではありません。
話の続きが気になっても、交差点や混雑した道では再生を止めましょう。
また、ランニング番組で紹介された練習を、その場ですぐ追加する必要はありません。自分の走力や疲労、週間計画に合うかは、走り終えてから考えましょう。
オーディオブック|物語や学びを楽しむ

オーディオブックは、本の朗読を耳で楽しむ方法です。
小説、エッセイ、対談形式の本など、図や表を見なくても内容を追いやすい作品から試してみましょう。専門書や登場人物の多い作品など、集中を要する内容は、走りながらでは理解しにくい場合もあります。
「覚えなければ」と気負わず、分からなかった部分は後で聞き直すくらいの使い方がおすすめです。

ランニング時間を学習に使うことは選択肢の一つですが、毎回を勉強の時間にする必要はありません。
何も聴かないランニングにもよさがある
音声を使わず、呼吸や足音、周囲の景色を楽しむ日をつくってみましょう。
例えば、次のような場面です。
- 楽なペースを自分の感覚で確かめたい
- フォームや接地を意識したい
- レースに向けてペース感覚を練習したい
- 自然の音や景色を楽しみたい
- 音声を聴くこと自体が負担に感じる

ただし、何も聴かなければ必ずフォームや集中力が改善する、ということではありません。自分が走りやすいかどうかを確かめながら使い分けましょう。
練習別|ランニング中に聴くものの使い分け

以下は、練習目的を優先するための実践例です。
| 練習 | 使い方の例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| イージーラン | 好きな音楽や気軽なトーク | 楽な強度を保てているか |
| ロング走 | 音楽・トーク・無音を区間で切り替える | 補給や給水を忘れていないか |
| ペース走 | 音楽を使うなら予定ペースを優先する | 曲につられて加速していないか |
| インターバル走 | 音声を使う場合も計時や合図を優先する | 本数・休息・周囲を確認できるか |
| 初めて走るコース | まず音声を止めて道を確認する | 分岐・交通・足元を把握できるか |
音声コンテンツを聴き終えるために、予定より距離を延ばす必要はありません。練習時間に合わせて再生を止め、続きは次回の楽しみにしましょう。
ランニング中に聴くときの安全対策

1.コースによっては、イヤホンを使わない
英国陸上競技連盟の安全ガイドも、選んだコースでイヤホンの使用がリスクを増やさないか検討するよう勧めています。

車や自転車の通行が多い場所、見通しの悪い交差点、人が多い道では、音声を止める・イヤホンを外す判断をしましょう。
2.骨伝導・オープンイヤーでも、安全確認は必要
耳をふさがない機器でも、音声に意識が向くことを前提に使いましょう。周囲の音が聞こえることと、危険を認識して対応できることは同じではありません。

片耳だけの使用や外音取り込み機能も、安全を保証するものとして扱わず、立ち止まって目視するなどの確認を優先しましょう。
3.音量を上げすぎず、耳を休ませる
WHOは、聴覚保護のため、音量を機器の最大音量の60%以下に抑えること、聴取時間を減らして休憩を取ることなどを勧めています。
ただし、音量表示と実際の音の大きさは機器によって異なります。「60%以下なら必ず安全」という保証ではありません。

屋外で騒音に負けないよう音量を上げ続けるのではなく、聞き取りにくい区間では再生を止めましょう。周囲の音を把握したいランニングでは、遮音性だけで機器を選ばないことも大切です。
4.操作は安全な場所で止まってから
選曲、番組検索、音量調整に手間取る場合は、人の通行を妨げない安全な場所に止まって操作しましょう。
出発前に再生リストを用意し、通知を整理しておくと、走行中の操作を減らせます。
5.大会では、その大会のルールを確認する
イヤホンの使用可否や条件は、参加する大会の最新の競技規則・参加案内で確認しましょう。骨伝導タイプでも、使用できるとは限りません。
使える場合も、係員の指示や周囲のランナーへの注意を優先します。
ランニング中に聴くものでよくある失敗

| よくある失敗 | 見直し方 |
|---|---|
| 好きな曲でペースを上げすぎる | 呼吸や予定ペースを確認する |
| 内容に夢中になり、道や足元の確認が減る | 再生を止め、安全確認を優先する |
| 車の音で聞こえず、音量を上げ続ける | その区間は聴くのをやめる |
| 続きを聴くために予定より長く走る | 練習時間で区切り、続きを次回に回す |
| 毎回、役立つ情報を学ぼうとして疲れる | 気軽な内容や何も聴かない日も選ぶ |
よくある質問

ランニング中は、音楽とポッドキャストのどちらがよい?
ランニングに合う音楽は何BPM?
英語の音声を聴きながら走ってもよい?
初心者もイヤホンを使ってよい?
音楽なしでも練習効果はある?
まとめ|聴くものは、その日の目的と走る環境で選ぼう
ランニング中に聴くものには、音楽、ラジオ・ポッドキャスト、オーディオブックなどがあります。何も聴かずに走ることも、よい選択肢です。
- 気分を上げたい日は、好きな音楽
- 話を楽しみたい日は、ラジオやポッドキャスト
- 物語や学びを楽しみたい日は、オーディオブック
- 身体の感覚や周囲を確認したい日は、何も聴かない

「何を聴けば速くなるか」だけで選ばず、安全に、予定した練習を気持ちよく続けられるかを基準にしてみましょう。
風を切るランニング 
