【こんな悩みを解説!!】
1.マスク着用は高地トレーニングの効果があるのかを知りたい
高地トレーニングとは、高い場所(酸素が薄い状態)で走ることで、より体力が向上するトレーニングのことを言います。簡単に高所まで移動出来たらいいのですが、実際は簡単に高所まで移動出来ませんよね。
そこで多くの人が、「マスクを着用してランニングをしたら酸素が薄くなって高地トレーニング効果が出てくるのでは?」と一度は考えてみます。
とあるアメフトマンガでもマスクを着けてトレーニングをしていて実際に効果がありそうです!
私自身もマスクを着用して走ったら持久力が向上しそう!!ということで、昔はマスクを着用して走っていた時期がありました。しかし、本当にマスク着用のランニングは高所トレーニングの効果はあるのでしょうか?
この記事では「マスクを着用したランニングは高地トレーニングの効果があるのか」について解説します!
ぜひ参考にしてみて下さい。
結論:マスク着用は高地トレーニングの効果は無し
結論から言えば、マスク着用による高地トレーニング効果はありません!!
【よくある誤解】
「マスク=酸素不足=高地トレーニング」
マスクを着用し運動すると呼吸が苦しくなるため、酸素不足になり高地トレーニングの効果がありそうです。しかーっし!!、これは全くの別物!!マスク運動は、マスクが抵抗し呼吸がしにくくなり苦しくなるだけ…
高地トレーニングは「空気の質が変化」、マスク運動は「ストローで呼吸している状態」みたいな感じです。
マスク運動で起きるのは、「呼吸筋の負荷が増大」「二酸化炭素が少し溜まりやすい」「マスクの抵抗で呼吸が苦しく感じる」ということ。つまり、呼吸のしんどさが増えるだけです。
マスク無し・マスク・スポーツマスクをつけた状態でランニングマシンを走った研究があります。
VO2max・心拍数・血中酸素飽和度・二酸化炭素分圧(pCO2)・エネルギー消費指数(EEI)などを測定。
結果:マスク着用下では二酸化炭素分圧と不快指数のみ上昇し、VO2maxに変化はなく、運動中のパフォーマンスはやや低下したとされています。
結論:マスク運動は高地トレーニングの代替にはならない
また、マスク運動は酸素飽和度に変化が無く、最大運動能力に影響なしとされています。
結論:マスク運動は低酸素状態を作ることができていない

マスク運動は良い効果があまり期待できず、パフォーマンスも低下するため高地トレーニングのつもりならオススメしません。
花粉症対策ならやむをえないですが、不快感・パフォーマンスが下がってしまうことは覚悟しましょう。
高地トレーニングとは?
高地(標高2000m以上などでは)、空気中の酸素分圧が低くなります。つまり、吸える空気の量は一緒だが、空気中の酸素濃度が低い状態です。マスク運動では酸素濃度に変化がないため、高地トレーニングと同じ環境を再現することは出来ません。
【高地トレーニングの効果】
1.腎臓からエリスロポエチン(EPO)が分泌
2.赤血球が増える
3.ヘモグロビンの量が増える
4.酸素運搬能力が増える
※EPO:赤血球を分泌するホルモン
ヘモグロビン:赤血球に存在する酸素を運ぶ成分
結論:血液レベルで持久力が上がる
高地トレーニングが期待出来る標高は2000mから

| 標高 | 身体の変化 |
|---|---|
| ~1500m | ほぼ変化なし |
| 1500~2000m | 少し低酸素 |
| 2000~2500m | EPO分泌が増える |
| 2500以上 | 明確な高地反応 |

EPOは血中酸素飽和度が低下すると増えると言われており、標高1500m以下ではトレーニング効果が小さいと言われています。
高地トレーニングは2500mの標高で日常生活を過ごし、トレーニングは低地(標高1000m以下)で行うことが主流です。
これは「高地だけだけとスピード練習が出来ない」「強度が落ちる」ことが原因と考えられています。
高地トレーニング効果が期待できる期間は3週間
EPOは高地トレーニングを始めて数時間~1日以内で増え始めると言われています。とある研究では高地に行くと数時間でEPOが上昇し24~48時間でピークになると報告しています。
しかし、EPOが増えても赤血球が増えるには時間がかかり、赤血球がつくられるまで2~3週間必要です。

レース本番の約1ヶ月前までには高地トレーニングを済ませておきましょう!
日本の高地合宿は効果あるの?

実はここに議論があります。
日本の高地合宿所は標高1500m前後が多く、高地トレーニングの効果は弱いと言われています。高地で日常生活を過ごし、低地でトレーニングを行うというサイクルを行うにはアメリカやケニアといった海外に行く必要があります。ケニアの人がマラソンが非常に速いのはこの高地で過ごしている要因が大きいのではないかと言われているようです。
日本では標高が足りませんが低地で走るトレーニングを行うよりも、夏場は涼しく、心肺機能に刺激が入るというメリットはあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 赤血球の増加 | トレーニング強度が落ちる |
| 持久力向上 | 高山病のリスク |
| 海抜で楽になる | 回復が遅れる |
| 涼しい環境 | 脱水しやすい |
市民ランナーでは高地トレーニングの効果は限定的?
市民ランナーでも高地トレーニング効果がでる可能性がありますが条件はかなり厳しい。
【高地トレーニングの最低条件】
1.「標高2000m以上であること」
2.「3週間以上滞在すること」
3.「1日12~16時間を過ごすこと」
市民ランナーでは3週間以上滞在するのは難しい場合が多いです。また、日本の高所の合宿所では標高が足りないため海外に行く必要があります。
また、高地では酸素分圧が低いためトレーニング強度(スピードなど)が落ちたり、トレーニング後の回復が遅れることも考えられ、人によっては練習の質が下がるだけ…ということにも
しかし、それでも暑い夏場は涼しいため走行距離を伸ばしやすく、心肺にも刺激が入ります。血液的な変化は難しいかもしれませんが、時期によっては恩恵を十分に受けられます。

市民ランナーは血液の質の変化よりもトレーニング量を伸ばす(暑い時期に走行距離)、心肺に刺激を入れる目的で高地トレーニングはありだと思います。
まとめ
| 項目 | マスク運動 | 高地トレーニング |
|---|---|---|
| 酸素濃度 | 変化なし | 低下する |
| EPO | 増えない | 増える |
| 赤血球 | 増えない | 増える |
| VO2max | 変化なし~やや低下 | 向上 |
マスク運動と高地トレーニングは身体に与える影響が全く違うため、マスク運動では高地トレーニングの代替にはなりません。
高地トレーニングを行うには実際に標高2500m以上の地域で行うことが効果的です。しかし、日本の合宿所では標高1500m前後が多く、効果的な高地トレーニングを行うには海外に行く必要があります。
日本での高地トレーニングは標高が1500m前後で走るトレーニングを行うことを言っていることが多いようです。しかし、高地でのトレーニングはメリットだけでなくデメリットもあります。両者を踏まえて高地トレーニングを行う方が良いか検討する必要がありそうです。
風を切るランニング 
