ランニング前後のおすすめストレッチ|目的・やり方・注意点を理学療法士が解説

 ランニング前後には、同じストレッチを行えばよいわけではありません。

 走る前の主な目的は、身体を徐々に動かしてランニングへ移行することです。軽いウォーキングやジョギングで身体を温めてから、関節を動かしながら筋肉を伸ばす動的ストレッチを行います。

 一方、走った後は歩いて呼吸を整え、筋肉をゆっくり伸ばす静的ストレッチを行う方法が一般的です。ただし、運動後のストレッチだけで疲労回復を早めたり、筋肉痛を防いだりできるとは限りません。

 この記事では、ランニング前後におすすめのストレッチを部位別に紹介し、目的、時間・回数、よくある失敗、注意点を研究結果に基づいて解説します。

この記事の結論

  • 走る前は、3~5分のウォーキングや軽いジョギングの後に動的ストレッチを行う
  • 走った後は、3~5分歩いて呼吸を整え、静的ストレッチを痛くない範囲で行う
  • 走る直前に、1部位を長時間伸ばし続ける静的ストレッチは避ける
  • ストレッチは柔軟性の改善に役立つが、すべてのケガや筋肉痛を防ぐ方法ではない
  • 痛み、腫れ、しびれがある部位を無理に伸ばさない

目次

ランニング前後ではストレッチの目的が異なる

 ランニング前後の基本的な違いは次のとおりです。

タイミング主な目的適した方法実施時間の目安
ランニング前身体を徐々に温め、走る動作へ移行する軽い有酸素運動+動的ストレッチ合計5~10分程度
ランニング後呼吸を整え、使った筋肉をゆっくり動かすウォーキング+静的ストレッチ合計5~10分程度
柔軟性改善が主目的関節可動域を改善する静的ストレッチを継続する1部位合計60秒程度から調整
研究1

 ウォームアップに関するシステマティックレビューでは、対象となった評価項目の79%で身体パフォーマンスの改善が報告されました。 ただし、ウォームアップはストレッチだけを指すものではありません。軽い有酸素運動、動的ストレッチ、ランニングドリルなどを組み合わせた準備全体として考える必要があります。

研究2

 2025年の国際的な専門家によるコンセンサスでは、ストレッチは短期・長期の関節可動域を改善する一方、万能なケガ予防法ではなく、運動直後の回復を高める方法とも言い切れないとまとめられています。

動的ストレッチと静的ストレッチの違い

動的ストレッチとは

 動的ストレッチは、脚や腕をコントロールして動かしながら、筋肉と関節の動く範囲を徐々に広げる方法です。

 たとえば、脚を前後に振るレッグスイングや、前へ進みながら行うウォーキングランジが該当します。ランニングに近い動きを使えるため、走る前の準備に取り入れやすい方法です。

研究3・4

 距離ランナーを対象とした研究では、動的ストレッチによってランニングパフォーマンスが改善した例があります。

 ただし、対象者が少ない研究が多く、実施時間や種目も統一されていません。「行えば必ず速くなる」とまではいえません。

静的ストレッチとは

研究2・5

 静的ストレッチは、筋肉が伸びる姿勢で一定時間止まる方法です。柔軟性や関節可動域を改善する手段として利用できます。

研究5・6

 一方、走る直前に1つの筋群を60秒以上伸ばし続けると、筋力やパワーが一時的に低下する可能性があります。60秒未満の短い静的ストレッチによる影響は小さく、その後に動的なウォームアップを行えば影響が目立たなくなる可能性があります。

 

走(かける)
走(かける)

したがって、静的ストレッチが走る前に全面的に禁止されるわけではありません。動かしにくい部位がある場合は短時間にとどめ、その後に動的ストレッチや軽い流しを行う方法が現実的です。

ランニング前にストレッチを行う目的

関節を動かせる範囲を一時的に広げる

研究2・5

 動的・静的のいずれのストレッチでも、直後の関節可動域が広がる可能性があります。

 足首や股関節が動かしにくい人にとって、必要な範囲を動かしやすくする準備になります。

 ただし、ランニングに必要な可動域は人によって異なります。

研究7

 柔らかいほどランニングエコノミーがよくなるとは限らないため、必要以上に可動域を広げる必要はありません。

走る動きへ段階的に移行する

 安静状態から急に走り始めるよりも、ウォーキング、軽いジョギング、動的ストレッチ、流しの順に強度を上げる方が、身体と感覚をランニングへ移行させやすくなります。

 特にインターバル走、坂道ダッシュ、レースでは、ジョギングだけで終わらせず、実際の走動作に近い動きを入れることが大切です。

当日の動きにくさを確認する

 左右差や痛み、いつもより強い張りを確認できることもウォームアップの役割です。

 動的ストレッチで痛みが増す場合は、ストレッチ不足ではなく、練習内容を下げるべきサインかもしれません。可動域を無理に広げて予定どおり走ることを優先しないでください。

ランニング前におすすめの動的ストレッチ7選

 最初に3~5分歩くか、ゆっくりジョギングしてから行います。各種目は左右8~10回を1セットから始め、反動を強くつけず、動く範囲を少しずつ広げましょう。

1.足首のニー・トゥ・ウォール

主に動かす部位:足首、ふくらはぎ

  1. 壁の前に立ち、片足を前へ出す
  2. 前足のかかとを床につけたまま、膝をつま先方向へ動かす
  3. 膝を戻し、一定のリズムで繰り返す
  4. 左右8~10回ずつ行う

 

走(かける)
走(かける)

膝が内側へ入らないように、膝と第2趾付近の向きをそろえます。かかとが浮く直前までで十分です。

2.前後のレッグスイング

主に動かす部位:股関節前面、臀部、ハムストリングス

  1. 壁や手すりに片手を添える
  2. 体幹を大きく反らさず、片脚を前後に振る
  3. 小さな振り幅から始め、徐々に広げる
  4. 左右8~10回ずつ行う

 

走(かける)
走(かける)

脚を高く上げる競争ではありません。骨盤が大きく回らず、滑らかに動かせる範囲にとどめます。

3.左右のレッグスイング

主に動かす部位:股関節内側・外側、臀部

  1. 壁に向かって立ち、両手を添える
  2. 片脚を身体の前で左右に振る
  3. 上半身を正面に保ち、股関節から動かす
  4. 左右8~10回ずつ行う

走(かける)
走(かける)

支持脚の膝を軽く曲げると安定します。勢いで腰をねじらないようにしましょう。

4.ウォーキングランジ

主に動かす部位:股関節前面、臀部、大腿部

  1. 立った姿勢から片足を前へ踏み出す
  2. 前脚へ体重を移し、両膝を軽く曲げる
  3. 後ろ足で床を押して前へ進む
  4. 左右交互に6~10歩行う

走(かける)
走(かける)

前脚の膝が内側へ入らない範囲で行います。深く沈みすぎず、まずは短い歩幅から始めてください。

5.ランジ+体幹回旋

主に動かす部位:股関節前面、臀部、胸椎周囲

  1. 片足を前へ出してランジ姿勢になる
  2. 背すじを伸ばし、前脚側へ上半身をゆっくり回す
  3. 正面へ戻って立ち上がる
  4. 左右5~8回ずつ行う

走(かける)
走(かける)

腰だけを無理にひねらず、胸から回るイメージで行います。バランスが不安定な人は、その場で行いましょう。

6.ハムストリングス・スイープ

主に動かす部位:ハムストリングス、ふくらはぎ

  1. 片足を半歩前へ出し、つま先を上げる
  2. 前脚の膝を軽く伸ばし、お尻を後ろへ引く
  3. 両手で地面をすくうように前から上へ動かす
  4. 左右交互に6~10歩行う

走(かける)
走(かける)

背中を丸めて手を床へ近づけるのではなく、股関節から上半身を倒します。膝は伸ばし切らなくても構いません。

7.ヒール・トゥ・バット

主に動かす部位:大腿四頭筋、股関節前面

  1. その場で足踏みをする
  2. 片方のかかとをお尻へ近づける
  3. 左右交互にリズミカルに繰り返す
  4. 左右10回ずつ行う

走(かける)
走(かける)

腰を反らさず、膝を前へ突き出しすぎないようにします。慣れたら小さく前進しながら行っても構いません。

ランニング前の5~10分ルーティン

ゆっくり走る日の例

  1. ウォーキングまたは軽いジョギング:3分
  2. 足首のニー・トゥ・ウォール:左右8回
  3. 前後・左右のレッグスイング:左右各8回
  4. ウォーキングランジ:左右6歩
  5. ゆっくり走り始め、最初の5分で通常ペースへ上げる

インターバル走・レース前の例

  1. 軽いジョギング:5~10分
  2. 動的ストレッチ:4~6種目
  3. スキップや腿上げなどのランニングドリル:各20~30m
  4. 流し:50~100mを2~4本
  5. 呼吸が整ってから本練習またはレースへ入る

走(かける)
走(かける)

気温が低い日、早朝、身体が動きにくい日は、ストレッチの反動を強くするのではなく、ウォーキングやジョギングの時間を長くします。

ランニング後にストレッチを行う目的

使った筋肉をゆっくり伸ばす

研究2

 静的ストレッチは、一時的または継続的な関節可動域の改善に役立ちます。

  走った後に「張っている」「動かしにくい」と感じる部位を把握し、無理のない範囲で動かす時間として利用できます。

興奮した状態から落ち着く時間を作る

 呼吸を止めずにゆっくりストレッチを行うと、練習終了の区切りを作りやすくなります。心地よさやリラックス感など、本人が感じる主観的な利点もストレッチを続ける理由になります。

 ただし、「乳酸を流す」「筋肉の損傷を修復する」といった説明は単純化しすぎです。

研究8

 クールダウンやストレッチが、翌日のパフォーマンスや多くの回復指標を大幅に改善する根拠は限られています。

筋肉痛や疲労回復への効果は限定的

研究9

 2025年に発表された15研究・465人を含むメタ解析では、運動後のストレッチ単独は、ストレッチを行わない場合と比べて筋肉痛、筋力、パフォーマンス、柔軟性、痛みの閾値を有意に改善しませんでした。

研究10

 過去のコクランレビューでも、運動前後のストレッチによる筋肉痛の軽減は、100点尺度で数点程度と臨床的に小さい結果でした。

 

走(かける)
走(かける)

運動後のストレッチは「やってはいけない」のではありません。心地よく、習慣として続けやすい人は取り入れて構いませんが、睡眠、栄養、水分補給、練習負荷の調整の代わりにはなりません。

ランニング後におすすめの静的ストレッチ7選

 走り終えた直後は急に座り込まず、まず3~5分歩いて呼吸を整えます。その後、各種目を20~30秒×左右1~2セット、痛みのない範囲で行いましょう。

 柔軟性の改善を主目的とする場合は、1つの筋群につき合計60秒程度を目安にし、週2~3日以上継続します。

研究11

 一般成人に対するACSMの指針では、10~30秒の保持を2~4回行い、1筋群につき合計60秒とする方法が示されています。

1.腓腹筋のストレッチ

主に伸ばす部位:ふくらはぎ上部

  1. 壁に両手をつき、脚を前後に開く
  2. 後ろ脚の膝を伸ばし、かかとを床につける
  3. つま先を正面へ向け、前脚へ体重を移す
  4. ふくらはぎが伸びる位置で20~30秒保つ

 

走(かける)
走(かける)

後ろ足のつま先が外を向いたり、土踏まずが大きくつぶれたりしないようにします。

2.ヒラメ筋のストレッチ

主に伸ばす部位:ふくらはぎ下部

  1. 壁に手をつき、片足を少し後ろへ引く
  2. 後ろ足のかかとを床につけたまま膝を曲げる
  3. すねを前へ傾ける
  4. アキレス腱周辺からふくらはぎ下部が伸びる位置で20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

かかとが浮かない範囲で行います。アキレス腱に鋭い痛みがある場合は中止してください。

3.大腿四頭筋のストレッチ

主に伸ばす部位:太ももの前側

  1. 壁や椅子へ片手を添える
  2. 反対の手で同じ側の足首または足の甲を持つ
  3. 両膝を近づけ、お尻を軽く締める
  4. 腰を反らさず20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

足首へ手が届かない場合は、ストラップやタオルを足首にかけます。膝を強く曲げて痛みが出る場合は行いません。

4.腸腰筋・大腿直筋のストレッチ

主に伸ばす部位:股関節の前側

  1. 片膝立ちになる
  2. 骨盤を軽く後ろへ傾け、お尻を締める
  3. 腰を反らさず、身体全体を少し前へ移す
  4. 後ろ脚の股関節前面が伸びる位置で20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

身体を大きく前へ倒すより、骨盤の位置を整えることがポイントです。膝の下にはマットや折ったタオルを敷きます。

5.ハムストリングスのストレッチ

主に伸ばす部位:太ももの後ろ側

  1. 椅子に浅く座り、片脚を前へ伸ばす
  2. かかとを床につけ、つま先を上げる
  3. 背すじを保ったまま、股関節から上半身を前へ倒す
  4. 太ももの後ろ側が伸びる位置で20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

背中を丸めて顔を膝へ近づける必要はありません。膝の裏に痛みやしびれが出るほど伸ばさないでください。

6.臀部のストレッチ

主に伸ばす部位:大臀筋、股関節後面

  1. 仰向けになり、両膝を曲げる
  2. 片足首を反対側の太ももへ乗せる
  3. 下側の太ももを両手で抱え、胸へ近づける
  4. お尻が伸びる位置で20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

膝を手で強く押さえつけません。股関節や膝に痛みが出る場合は中止します。

7.内転筋のストレッチ

主に伸ばす部位:太ももの内側

  1. 脚を左右へ広げて立つ
  2. 片側の膝を曲げ、お尻を後ろへ引く
  3. 反対側の膝を軽く伸ばす
  4. 伸ばした脚の内側が伸びる位置で20~30秒保つ

走(かける)
走(かける)

膝とつま先の向きをそろえます。滑りやすい床では行わず、壁や椅子を支えに使いましょう。

ランニング後の5~10分ルーティン

 すべての種目を毎回行う必要はありません。練習で使った部位や動かしにくい部位から3~5種目を選びます。

  1. ウォーキング:3~5分
  2. 腓腹筋:左右20~30秒
  3. ヒラメ筋:左右20~30秒
  4. 大腿四頭筋または腸腰筋:左右20~30秒
  5. ハムストリングス:左右20~30秒
  6. 臀部:左右20~30秒

走(かける)
走(かける)

暑い日は、ストレッチより先に日陰や涼しい場所へ移動し、水分補給と体温管理を優先します。めまい、吐き気、寒気、意識がぼんやりする状態でストレッチを続けないでください。

目的別のストレッチの選び方

目的・状況おすすめの方法ポイント
軽いジョギング前3分歩く+動的ストレッチ3種目最初の5分もゆっくり走る
インターバル走・レース前ジョグ+動的ストレッチ+ドリル+流し徐々に本番強度へ近づける
ランニング後歩いてから静的ストレッチ3~5種目20~30秒、痛くない範囲
柔軟性を高めたい静的ストレッチを別時間にも行う1筋群合計60秒程度から継続
朝や寒い日のランニング前歩行・ジョグを長めにする冷えた状態で強く伸ばさない
特定部位に痛みがある原因評価を優先する痛みを我慢して伸ばさない

ストレッチはランニングのケガを予防できる?

 ストレッチだけですべてのランニング障害を予防できるとはいえません。

研究12・13

 スポーツ障害予防を検討したメタ解析では、ストレッチ単独による障害予防効果は明確ではなく、筋力トレーニングや複数の運動を組み合わせたプログラムの方が有効でした。

 ストレッチは、必要な可動域を確保したり、動きにくさへ気づいたりする手段の1つです。ケガを減らすには、次の要素も合わせて考えます。

  • 週間走行距離や高強度練習を急に増やさない
  • 筋力トレーニングを継続する
  • 睡眠と栄養を確保する
  • 痛みに応じて練習量を調整する
  • シューズだけで問題を解決しようとしない

 

走(かける)
走(かける)

「ストレッチをしたから、痛くても走ってよい」と判断しないことが大切です。

ランニング前後のストレッチでよくある失敗

走る直前に静的ストレッチを長く行う

研究5・6

 1部位を60秒以上強く伸ばし、そのままダッシュやインターバル走へ入ると、筋力やパワーが一時的に下がる可能性があります。

 静的ストレッチが必要な場合は短時間にし、その後に動的ストレッチや流しを追加します。

身体が冷えた状態で反動を強くつける

 可動域を広げようとして、最初から脚を大きく振る必要はありません。まず歩くか軽く走り、小さな動きから始めます。

痛いほど伸ばす

 ストレッチは「痛いほど効く」わけではありません。軽い張りや心地よい伸びを感じる程度にし、鋭い痛み、しびれ、関節痛が出る手前で止めます。

呼吸を止める

 力んで呼吸を止めると、リラックスして姿勢を保ちにくくなります。静的ストレッチでは自然な呼吸を続けます。

毎回すべての種目を行う

 種目を増やしすぎると、走る時間や睡眠時間を圧迫します。動的ストレッチは当日の練習に必要な3~5種目、運動後は張りを感じる3~5種目を選べば十分です。

ストレッチを治療の代わりにする

 痛みの原因には、筋肉だけでなく腱、骨、関節、神経などが関係することがあります。痛みが続く部位を繰り返し強く伸ばすと悪化する可能性があります。

ランニング前後に使うストレッチ用品の種類と選び方

 特別な用品がなくてもストレッチはできます。購入する場合は、種目数よりも安全性と使いやすさを優先しましょう。

ストレッチマット

 床で臀部や股関節を伸ばすとき、膝や背中への当たりを和らげます。

選び方

  • 汗をかいても滑りにくい素材
  • 膝をついたときに痛くない厚さ
  • 身体が収まる長さ
  • 水拭きできる素材

 厚すぎて沈み込むマットは、立位種目でバランスを崩しやすい点に注意します。立位のストレッチは硬く滑りにくい床で行いましょう。

ストレッチストラップ

 足首や足裏へ手が届きにくい人が、無理に背中を丸めず姿勢を保つために使えます。タオルでも代用できます。

選び方

  • 両手で余裕をもって持てる長さ
  • 握りやすいループ付き
  • 手へ食い込みにくい幅
  • 長さを段階的に調整できるもの

 ストラップを強く引いて可動域を無理に広げないでください。

ミニバンド

 ミニバンドは筋肉を伸ばす用品というより、臀部などを動かす活性化エクササイズに使う用品です。サイドステップや股関節外転運動をウォームアップへ追加できます。

選び方

  • 弱・中・強など負荷を選べるセット
  • 脚へ食い込みにくい幅広タイプ
  • 使用中に丸まりにくい素材
  • 劣化や亀裂を確認しやすいもの

 強すぎるバンドでフォームが崩れる場合は、負荷を下げます。

フォームローラー

 フォームローラーは、厳密にはストレッチではなくセルフマッサージ用品です。

研究14・15

 短期的に関節可動域を広げ、筋肉痛の感覚を軽減する可能性がありますが、長期的な柔軟性やパフォーマンスを確実に高めるとはいえません。

選び方

  • 初心者は凹凸が少ない標準的な硬さ
  • 太ももや臀部に使いやすい30cm前後の長さ
  • 体重をかけても変形しにくい素材
  • 清掃しやすい表面

 骨の突出部、関節、腫れている部位、鋭い痛みがある部位へ強く当てないでください。硬いほど効果が高いわけではありません。

ストレッチを中止した方がよい症状

 次のような場合はストレッチを中止し、ランニングの継続も見直します。

  • 鋭い痛みや、動作のたびに増える痛みがある
  • 腫れ、熱感、皮下出血がある
  • しびれ、感覚低下、力の入りにくさがある
  • 関節が不安定、引っかかる、動かせない
  • 足へ体重をかけられない
  • 転倒や捻挫の直後である
  • 数日間負荷を下げても症状が改善しない

 

走(かける)
走(かける)

強い外傷、急激な腫れ、変形、歩行困難がある場合は早めに医療機関へ相談してください。軽い症状でも、繰り返す痛みや悪化する痛みは、理学療法士やスポーツ整形外科などの専門家による評価を検討します。

ランニング前後のストレッチに関するよくある質問

ランニング前に静的ストレッチをしてはいけませんか?

研究5・6

 全面的に禁止する必要はありません。1筋群60秒未満の短い静的ストレッチによるパフォーマンスへの影響は小さいとされています。

 動かしにくい部位に短く行い、その後に動的ストレッチや軽い流しを追加しましょう。

ランニング後のストレッチで筋肉痛を防げますか?

研究9・10

 筋肉痛を明確に防ぐ効果は期待しにくいと考えられます。

 心地よさや柔軟性の維持を目的に行い、筋肉痛対策は練習負荷、睡眠、食事なども含めて考えてください。

ストレッチは毎日行ってもよいですか?

 痛みがなく、強度と量が適切であれば毎日行えます。

研究11

 ただし、柔軟性を高めるために毎回強く伸ばす必要はありません。まず週2~3日、1筋群合計60秒程度から始め、反応を見て調整します。

ストレッチは走る何分前に行えばよいですか?

 独立したストレッチ時間を決めるより、ウォームアップの流れに組み込みます。走る5~10分前から、軽い有酸素運動、動的ストレッチ、必要に応じてドリルや流しを行い、そのまま走り始める方法が実践的です。

身体が硬いとランニングでケガをしやすいですか?

 身体の硬さだけでケガのリスクは判断できません。必要な可動域が不足している場合は改善が役立つ可能性がありますが、柔らかいほど安全とは限りません。走行距離の増やし方、筋力、過去のケガ、睡眠なども影響します。

痛い部位をストレッチすれば治りますか?

 原因によっては悪化する可能性があります。張る感覚と痛みは区別し、鋭い痛み、腫れ、しびれがある場合は伸ばさないでください。数日間続く、走るほど悪化する、日常生活にも影響する場合は専門家へ相談します。

まとめ

 ランニング前後では、ストレッチの方法と目的を分けて考えます。

 走る前は、軽いウォーキングやジョギングで身体を温めた後、足首、股関節、太ももを動かす動的ストレッチを行います。インターバル走やレース前は、ランニングドリルや流しを加えて、段階的に走る強度へ近づけましょう。

 走った後は、まず歩いて呼吸を整え、ふくらはぎ、大腿四頭筋、股関節、ハムストリングス、臀部などを20~30秒ずつ、痛くない範囲で伸ばします。

 

走(かける)
走(かける)

ストレッチは関節可動域を改善する手段ですが、万能なケガ予防法でも、確実な疲労回復法でもありません。筋力トレーニング、練習負荷の調整、睡眠、栄養と組み合わせ、自分の身体と当日の練習に必要な種目を選ぶことが大切です。

参考文献

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免責事項:本記事は一般的な健康・運動情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的とするものではありません。痛みや体調不良がある場合は、医療機関や専門家へ相談してください。