ランニングは20分でも脂肪燃焼する?消費カロリーと効果的な走り方を解説

 「脂肪を燃焼するには、20分以上走らなければならない」と聞いたことがある人も多いでしょう。

 しかし、脂肪は運動開始から20分たたないと使われないわけではありません。身体は走り始めた直後から糖質と脂質の両方をエネルギーとして利用しています。

 20分のランニングでも消費エネルギーを増やせるため、継続すれば体脂肪の減少に役立つ可能性があります。ただし、体脂肪を減らすには運動中の脂肪燃焼率だけでなく、1日・1週間を通したエネルギー収支も重要です。

 この記事では、20分から脂肪燃焼するという説の真偽、消費カロリー、効果的な強度、毎日走る場合の注意点、ウォーキングとの違い、食事との組み合わせ方を解説します。

目次

ランニングは20分でも脂肪燃焼する

 結論からいうと、20分のランニングでも脂肪は燃焼します。

 身体は運動に必要なエネルギーを、主に次の栄養素から作り出しています。

  • 糖質
  • 脂質
  • 少量のタンパク質

 走り始めた直後から糖質と脂質の両方が利用されており、20分を境に脂質の利用が突然始まるわけではありません。

 運動中に糖質と脂質がどのくらい使われるかは、運動時間だけでなく、強度、トレーニング経験、食事、性別、体組成などによって変化します。運動中の脂質代謝に関するレビューでも、脂質と糖質の利用割合は運動時間や強度など複数の要因に左右されると説明されています。

 

楓(かえで)
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そのため、「20分未満のランニングは脂肪燃焼に意味がない」と考える必要はありません。

「脂肪燃焼は20分から」といわれる理由

 長時間の有酸素運動では、運動を続けるにつれて脂質から供給されるエネルギーの割合が増えることがあります。

 これが簡略化され、

最初の20分は糖質だけが使われ、20分を過ぎると脂肪が燃え始める

という説明になったと考えられます。

 実際には、エネルギー源が糖質から脂質へ完全に切り替わるわけではありません。糖質と脂質は同時に使われ、運動条件に応じてそれぞれの割合が変化します。

 また、運動時間が長くなれば総消費カロリーも増えやすくなります。20分以上の運動が推奨されることがあるのは、「20分までは脂肪が使われないから」ではなく、運動量を確保しやすいことも理由の一つです。

10分を2回に分けてもよい

 運動は必ず20分連続で行わなければならないわけではありません。

 現在の身体活動ガイドラインでは、短時間の運動も週間の身体活動量として積み重ねられます。まとまった時間を確保できない場合は、朝と夕方に10分ずつ走ったり歩いたりしても構いません。

 大切なのは、1回の時間だけでなく、日常生活を含めた総運動量を増やすことです。

運動中の脂肪燃焼と体脂肪の減少は同じではない

 「運動中に脂質が多く使われること」「身体に蓄えられた体脂肪が減ること」は、分けて考える必要があります。

 運動中の脂質利用量が多くても、運動後に消費量を上回るエネルギーを食事から取れば、体脂肪は減りにくくなります。

 反対に、高強度運動では脂質の利用割合が低下し、糖質の割合が増える傾向がありますが、運動全体の消費カロリーは多くなる可能性があります。

 体脂肪の変化には、主に次の要素が関係します。

  • ランニングによる消費エネルギー
  • 日常生活での活動量
  • 食事から取るエネルギー
  • 運動後の食欲や間食
  • 筋肉量
  • 睡眠やストレス
  • 運動の継続期間
楓(かえで)
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したがって、脂肪燃焼率が最も高くなるペースだけにこだわる必要はありません。無理なく続けられる強度で運動量を確保し、食事も調整する方が実践的です。

 

20分ランニングの消費カロリー

 ランニングの消費カロリーは、体重、速度、走行距離、傾斜、路面、ランニングエコノミーなどによって変わります。

 運動強度を示すMETsを利用すると、消費カロリーの目安を次の式で計算できます。

消費カロリー(kcal)=METs×3.5×体重(kg)÷200×運動時間(分)

 2024 Adult Compendium of Physical Activitiesでは、一般的なジョギングは7.5METs、時速8km前後のランニングは8.5METsとされています。

一般的なジョギングを20分行った場合

 7.5METsで20分間走ったと仮定した消費カロリーの目安です。

体重20分間の消費カロリー
50kg約131kcal
60kg約158kcal
70kg約184kcal
80kg約210kcal

体重60kgの人が20分走った場合

速度・運動内容METs消費カロリー
ゆっくりしたジョギング6.5約137kcal
一般的なジョギング7.5約158kcal
時速8km前後8.5約179kcal
時速9.7km前後9.3約195kcal
時速12km前後11.8約248kcal

 これらはあくまで推定値です。スマートウォッチの表示も体重や心拍数などから計算した推定値であり、正確な測定値ではありません。

 

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 また、速く走れば1分あたりの消費カロリーは増えますが、疲労によって継続できる時間や頻度が減る可能性があります。

 脂肪を減らす目的では、1回の消費量だけでなく、無理なく続けられるかも確認しましょう。

20分ランニングを続けるとどのくらい効果がある?

 体重60kgの人が一般的なペースで20分走り、1回約158kcalを消費すると仮定します。

頻度週間の推定消費カロリー
週3回約474kcal
週5回約790kcal
週7回約1,106kcal

 実際の体重減少量は、この数値から単純に予測できません。

 ランニングを始めると食欲が増えたり、それ以外の時間に身体を動かす量が減ったりすることがあります。体内の水分量やグリコーゲン量によっても、短期的な体重は変動します。

研究

 一方、2024年に発表された116件のランダム化比較試験を統合した研究では、過体重または肥満の成人において、有酸素運動の週間時間が増えるほど、体重、腹囲、体脂肪が減少する傾向が示されました。   

 特に週150分以上で、腹囲や体脂肪に意味のある変化が期待されると報告されています。

 20分ランニングを週5回行うと合計100分、毎日行うと140分です。20分は短く見えますが、継続すれば一定の運動量を確保できます。

 ただし、研究結果は集団の平均であり、20分走れば決まった量の体脂肪が減るという意味ではありません。

脂肪燃焼に適したランニングの強度

 運動中の脂質酸化量が最大になる強度は「FATmax」と呼ばれます。

 脂質から供給されるエネルギーの「割合」は低強度で高くなりやすい一方、低すぎる強度では総消費カロリーが少なくなります。強度を上げると消費エネルギーは増えますが、糖質の利用割合も増加します。

研究

 脂質酸化量が最大になる強度には大きな個人差があります。肥満者を対象としたシステマティックレビューでは、FATmaxはおおむね最大心拍数の57~66%付近と報告されていますが、体脂肪率、年齢、体力、測定方法などによって変動します。

 一般のランナーが正確なFATmaxを把握するには呼気ガス分析が必要です。そのため、日常のランニングでは次の目安が実践しやすいでしょう。

会話できるペースを目安にする

 脂肪燃焼と継続のしやすさを両立するなら、短い会話ができる程度のジョギングから始めます。

  • 呼吸は増えるが、短い文章なら話せる
  • 主観的運動強度は10段階で3~4程度
  • 20分走り終えても少し余裕がある
  • 翌日に強い疲労を残さない

 

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呼吸が激しく、ほとんど話せない場合は、脂肪燃焼に意味がないわけではありません。ただし、毎回その強度で走ると疲労が蓄積し、練習を続けにくくなる可能性があります。

心拍数だけで厳密に決めなくてもよい

 最大心拍数を「220-年齢」で推定する方法がありますが、実際の最大心拍数には個人差があります。

 また、気温、疲労、睡眠、カフェイン、脱水などでも心拍数は変化します。脂肪燃焼ゾーンの数値に無理に合わせるより、呼吸や疲労感も合わせて判断してください。

20分ランニングはウォーキングより脂肪燃焼に効果的?

 同じ20分で比較すると、一般的にはランニングの方がウォーキングより多くのカロリーを消費します。

 体重60kgの人が20分運動した場合の推定値は次のとおりです。

運動METs消費カロリー
普通のウォーキング3.8約80kcal
速歩4.8約101kcal
一般的なジョギング7.5約158kcal
時速8km前後のランニング8.5約179kcal

 ウォーキングのMETsは2024 Adult Compendiumを使用しています。

 また、1,600mのウォーキングとランニングを比較した研究では、ランニングの方が多くのエネルギーを消費しました。

 ただし、ウォーキングには次のメリットがあります。

  • ランニングより衝撃が小さい
  • 初心者でも長時間続けやすい
  • 疲労を残しにくい
  • 毎日の生活に取り入れやすい
  • 体重が重い人や運動習慣のない人でも始めやすい

 20分走ると膝や足が痛む場合は、60分のウォーキングや、ランニングとウォーキングの組み合わせの方が結果的に多くの運動量を確保できることがあります。

 

楓(かえで)
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「ランニングとウォーキングのどちらが優れているか」ではなく、安全に継続できる方法を選ぶことが重要です。

ランニングとウォーキングを組み合わせてもよい

 20分間走り続けるのが難しい初心者は、歩きを挟んでも構いません。

例えば、次の方法があります。

  1. 5分間ウォーミングアップとして歩く
  2. 2分走る
  3. 1分歩く
  4. 2~3を5回繰り返す
  5. 最後にゆっくり歩く

 

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慣れてきたら「走る時間を3分、歩く時間を1分」のように、少しずつランニングの割合を増やします。途中で歩いても、それまでの脂肪燃焼効果がリセットされるわけではありません。

20分のランニングは毎日行ってもよい?

 20分程度であっても、体調や走力に問題がなければ毎日走れる人はいます。

 しかし、脂肪を燃焼させるために毎日走る必要はありません。初心者や運動を再開したばかりの人が急に毎日走ると、疲労や痛みが蓄積する可能性があります。

 ランニング障害は膝、下腿、足首、足部などに多くみられ、初心者は経験のあるランナーより単位時間当たりのケガが多いと報告されています。

初心者は週3回程度から始める

 最初は次のような組み合わせが取り入れやすいでしょう。

曜日運動内容
20分ランニング
ウォーキングまたは休養
20分ランニング
休養または筋トレ
20分ランニング
ウォーキング
休養

 2~4週間継続して痛みや強い疲労がなければ、走る回数や時間を少しずつ増やします。

毎日走りたい場合は強度を変える

 毎日身体を動かしたい場合でも、すべての日を同じランニングにする必要はありません。

  • ゆっくり走る日
  • ランニングとウォーキングを組み合わせる日
  • ウォーキングだけの日
  • 筋力トレーニングを行う日
  • 完全に休む日

 このように負荷を分散した方が継続しやすくなります。

ランニングを中止した方がよい状態

 次のような状態では、無理に走らないでください。

  • 走るほど関節や骨の痛みが強くなる
  • 歩いているときにも痛む
  • 足を引きずる
  • 腫れや熱感がある
  • 強い息苦しさや胸痛がある
  • めまいや失神しそうな感覚がある
  • 発熱や強い倦怠感がある

 

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症状が強い場合や休んでも改善しない場合は、医療機関へ相談しましょう。

脂肪燃焼を目的とした20分ランニングのやり方

1.最初の3~5分はゆっくり走る

 走り始めから急にペースを上げず、ウォーキングまたは非常にゆっくりしたジョギングから始めます。

 身体が温まって呼吸が整ったら、少しずつ普段のペースへ移行します。

2.10~15分は会話できるペースを維持する

 息が上がりすぎない強度で走ります。

 脂質の利用割合だけを高めようとして極端に遅くする必要はありません。フォームを保ちやすく、翌日も運動できる強度を選びましょう。

3.最後の2~3分はペースを落とす

 急に止まらず、ジョギングからウォーキングへ移行します。

 毎回スピードを上げて終わる必要はありません。脂肪を減らす目的では、1回の追い込みより継続できることを優先します。

20分ランニングと食事を組み合わせる方法

 ランニングだけで体脂肪を減らそうとすると、必要な運動量が多くなる場合があります。

 体脂肪を減らす基本は、長期的に「摂取エネルギーより消費エネルギーがやや多い状態」を作ることです。ただし、食事を極端に減らすと、疲労、筋肉量の低下、練習の質の低下、強い空腹などにつながります。

ランニング後のご褒美に注意する

 20分のランニングによる消費カロリーは、体重60kgの場合で150~200kcal前後が目安です。

 次のような飲食物を追加すると、運動で消費した分を超える場合があります。

  • 甘いカフェドリンク
  • 菓子パン
  • アルコール
  • 大盛りの食事
  • スナック菓子
  • スポーツドリンク
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20分程度の軽いランニングであれば、毎回エネルギージェルやスポーツドリンクを取る必要は基本的にありません。通常の水分補給と食事で対応できます。

 

食事はタンパク質と野菜を確保する

 体脂肪を減らしながら筋肉を維持するには、食事量だけでなく内容も重要です。

 1回の食事を次のように組み合わせます。

  • ご飯、パン、麺などの主食
  • 肉、魚、卵、大豆、乳製品などのタンパク質源
  • 野菜、海藻、きのこ類
  • 必要に応じて果物
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主食を完全に抜く必要はありません。糖質を極端に制限すると、ランニング中に力が出にくくなったり、後で強い空腹が起きたりする可能性があります。

減らしやすいものから調整する

 最初から食事全体を大きく減らすのではなく、次の項目を見直します。

  • 砂糖入り飲料を水やお茶に替える
  • 何となく食べている間食を減らす
  • 揚げ物の頻度を調整する
  • アルコールの量と回数を減らす
  • ドレッシングやマヨネーズの量を確認する
  • 大盛りを普通盛りにする

 体重を毎日の数値だけで判断せず、1~2週間程度の平均で確認してください。

空腹状態で走る必要はない

 空腹で走ると、運動中に脂質が使われる割合が高くなることがあります。しかし、それだけで長期的な体脂肪減少が大きくなるとは限りません。

 空腹ランニングで力が出ない、めまいがする、運動後に食べ過ぎる場合は、無理に続ける必要はありません。

 走る前に空腹が強い場合は、バナナ、少量のパン、ヨーグルトなど、消化しやすい食品を少量取る方法があります。

体脂肪を減らすなら筋トレも取り入れる

 ランニングと食事制限だけでは、体脂肪と一緒に筋肉量も減る可能性があります。

 週2回程度、次のような筋力トレーニングを取り入れるとよいでしょう。

  • スクワット
  • ランジ
  • カーフレイズ
  • ヒップリフト
  • プッシュアップ
  • ローイング系の運動

 筋トレそのものの消費カロリーだけを目的にするのではなく、減量中の筋肉と身体機能を維持する手段として考えます。

WHO

 WHOは成人に対し、週150~300分の中強度有酸素運動、または週75~150分の高強度有酸素運動に加えて、週2日以上の筋力トレーニングを推奨しています。

 

楓(かえで)
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最初からこの量をすべて達成する必要はありません。20分のランニングを週3回から始め、生活に合わせて増やしていきましょう。

20分ランニングで脂肪燃焼するときのよくある質問

20分未満では脂肪燃焼しませんか?

 20分未満でも脂質は使われます。

 10分しか時間が取れない日でも、走った分のエネルギーは消費されます。20分できないことを理由に、運動自体をやめる必要はありません。

20分を超えると急に脂肪燃焼量が増えますか?

 20分を境に脂肪燃焼量が急増するわけではありません。

 運動時間が長くなるほど脂質の利用割合が変わることはありますが、明確な切り替え地点が全員に存在するわけではありません。

20分走れば痩せますか?

 20分のランニングは体脂肪を減らす助けになりますが、1回走るだけで目に見えて脂肪が減るわけではありません。

 体重変化は、ランニングの頻度、食事、日常の活動量、継続期間などによって決まります。

20分走るなら速い方がよいですか?

 速く走るほど1分当たりの消費エネルギーは増える傾向があります。しかし、疲労やケガによって継続できなくなれば、週間の運動量は減ってしまいます。

 基本は会話できるペースとし、慣れてから一部の日だけ速度を上げる方法が取り入れやすいでしょう。

朝と夜ではどちらが脂肪燃焼に効果的ですか?

 脂肪を減らすうえでは、時間帯よりも継続できることが重要です。

 朝に走ると体調が悪い人は夜、夜では予定が入りやすい人は朝というように、生活リズムに合わせて選びましょう。

まとめ

 20分のランニングでも脂肪は燃焼します。

 

楓(かえで)
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「脂肪燃焼は20分から」という説明は正確ではありません。身体は運動開始直後から糖質と脂質の両方を使っており、時間や強度に応じて利用割合が変化します。

 脂肪燃焼を目的に走るときは、次の点を意識しましょう。

  • 20分未満でも運動には意味がある
  • 会話できる程度のペースから始める
  • 1回ではなく週間の運動量で考える
  • 初心者は週3回程度から始める
  • 走れない日はウォーキングを利用する
  • 運動後の食べ過ぎに注意する
  • 極端な食事制限を行わない
  • 筋肉を維持するために筋トレも取り入れる

 

楓(かえで)
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最初から長時間走ろうとせず、まずは無理なく続けられる20分を積み重ねることが、体脂肪を減らすための現実的な第一歩です。

参考文献

  1. Muscella A, et al. The Regulation of Fat Metabolism during Aerobic Exercise. Biomolecules. 2020.
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