
「数km走るとふくらはぎが痛くなってペースが落ちる…」

「走りているとふくらはぎが張ってくる…」
ランニングを続けていると、一度はこんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ふくらはぎの痛みは、ランナーにとって身近な悩み…でも実は、単純な“筋肉痛”だけとは限りません。
走る距離や強度が増えていたり、足首の硬さがあったり、シューズが合っていなかったり、知らないうちにふくらはぎへ負担が集中する走り方になっていることもあります。
特に頑張っている人ほど、「走り込みが足りないのかな」・「もっと我慢して走った方がいいのかな」と思ってしまいがちです。
ですが、痛みは身体からのサインーーー原因を知って対策すれば、負担を減らしながら気持ちよく走れるケースも少なくありません。
この記事では、「ランニングでふくらはぎが痛くなる主な原因と対策(フォーム・ストレッチ・筋トレ・シューズ選び)」まで、できるだけ分かりやすく解説していきます。
「また痛くなるのが不安…」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ランニングで”ふくらはぎ”が痛い原因

オーバーユース(使いすぎ)

ふくらはぎが痛くなる原因で一番多いのがオーバーユース…走るペース・距離はレベルに合ったものにしないと身体の回復が間に合わなくなりオーバーユースで故障に繋がります。
【オーバーユースになる:例】
・急に距離を増やした
・ペースを上げた
・インターバル走や坂道走を始めた
・久しぶりに走った
・レース前後

特にランニングの走行距離を急に増やしたのはオーバーユースあるあるです。
【なぜ痛くなる?】
ランニングにおいてふくらはぎは”着地の衝撃吸収” →”反発して推進力を生み出す”役割があります。衝撃吸収と推進力を生み出す非常に重要な役割を担っており負荷のかかる筋肉です。
負荷が回復能力を超えると、筋肉・筋膜に微細損傷→炎症→痛みになります。
ふくらはぎに頼る走り方(フォーム要因)

後ろに強く蹴る意識が強すぎる(push型ランニング)
地面を後ろに強く蹴ることで大きな推進力が得られて速くなりそうーーーと多くの人が一度は通る道。
確かに地面を後ろに蹴ることは大きな推進力に繋がります。しかし、地面を強く蹴るイメージはランニング本来の正しいとされる走り方とは遠い走り方。
【NGな走り方】
地面を後ろへ強く蹴る
↓
足首底屈(つま先を伸ばす)増加
↓
腓腹筋・ヒラメ筋活動↑
↓
疲労・痛み
【本来のランニング要素】
前へ倒れる身体を支える
+
地面反力を受ける

速いランナーほど、意外と「蹴る感覚」は強くないことがあります。
意識は、「❌後ろへ蹴る」ではなく「⭕足を回収する(引き戻す)」です。
② 着地位置が身体より前(オーバーストライド)

速く走ろうとして足の着地位置が前になってしまっているのは初心者あるある。しかし、足の着地が前になってしまっていると大きなブレーキとなり、腰・膝だけでなく”ふくらはぎ”にも負担がかかってしまいます。
足の着地位置が前になると、着地の衝撃が足首を過度に前に倒す方向に働きます。足首が過度に前に倒れてしまう力をふくらはぎが収縮しコントロールしようとします。
さらにその後、ブレーキによって減速した走りを蹴って加速し直す必要があり、ふくらはぎの筋収縮が求められます。
つまり、ふくらはぎが「伸ばされながら耐える+縮んで押す」の両方やるので疲れてしまいます。
ピッチが少なく接地時間が広い

ランニングピッチが少ないと、1歩辺りの接地時間が長くなります。
接地時間が短いと着地の衝撃をアキレス腱が効率よく反発して推進力に効率よく活かすことができます。そのため、接地時間が短いとアキレス腱のバネを活かしやすく、ランニングエコノミーが高い走り方になります。
しかし、ランニングピッチが少なくなり一歩当たりの接地時間が長くなるとアキレス腱のバネを活かしきれず、ふくらはぎの筋肉の仕事量が増えてしまいます。その結果、ふくらはぎが疲れやすくなり”張り”や”疲労”の原因となってしまいます。
実際に研究でもランニングピッチを5〜10%上げると、着地の際の衝撃が減ることが分かっています。着地の衝撃はふくらはぎの負担に直結しますので、ランニングピッチを上げるだけで、ふくらはぎの負担が減る可能性があります。
ランニングピッチの目安は170~180回/分が目安とよく言われていますが、正しいとされる走り方はありますが体格によって最適な走り方・ピッチは人それぞれです。

自分に合ったピッチ数を試行錯誤しながら走ってみると楽しくなりますので色々試してみて下さい!
④ つま先接地(フォアフット偏重)

足の着地は大きく分けて「かかと接地(ヒールストライク)」・「足裏全体(ミッドフット)」・「足の前側接地(フォアフット)」の3種類があります。基本的にヒールストライクは推奨されていません。
ミッドフット又はフォアフットが推奨されています。しかし、フォアフットは着地の衝撃を反発して推進力に活かしやすい反面、足の負担も大きい走り方です。
自身のランナーとしての能力以上のフォアフットは危険だということ…

研究でも、フォアフット接地は推進力を得やすい反面、下腿三頭筋・アキレス腱負荷が増える傾向があります。
⑤股関節伸展不足(お尻が使えていない)

本来ランニングの推進力は、股関節から後ろに足を出し足全体で振り戻すことで作ります。足全体を後ろに出すことでお尻や太ももの大きな筋肉で推進力を生み出すことができます。
しかし、股関節から足を後ろに出すことができないと…足首が代わりに推進力を生み出そうとふくらはぎの負担がかかってしまいます。
⑥ 体幹前傾しすぎ(腰折れ)
ランニングの前傾はランニング効率を高める大切な要素。ランニングの前傾姿勢は足首から前に倒すことが理想です。
しかす、前傾姿勢が腰から姿勢になってしまっていると、股関節から足を後ろに出しにくくなり⑤のように足首が代わりを果たそうとふくらはぎの負担がかかってしまいます。
足首の柔軟性低下(背屈制限)
着地後の負担が大きい

【ランニング:足の着地後の従来の足の動き】
脛骨(すね)が前傾する
↓
足首が背屈する
↓
”ふくらはぎ”が伸ばされながら衝撃吸収する(遠心性収縮)
【足首が硬い人の着地後の足の動き…】
脛骨が前に出ない
↓
足首が途中で止まる
↓
ふくらはぎが強く引き伸ばされながら耐える
足首が硬い人はふくらはぎが強く伸ばされながら耐えることを繰り返しているため、疲労が溜まりやすく、 痛みにつながりやすくなります。
かかとが早く浮く
また、足首が硬い人は本来地面に接地するのが望ましいタイミングで踵が早く浮きます。かかとが浮くとふくらはぎが早い段階から収縮して身体を支える必要があります。
その結果、ふくらはぎの筋肉の活動時間が長くなり負担が増えてしまいます。
アキレス腱・筋腱複合体にエネルギーを溜めにくくなる

ランニングは本来、筋肉だけで走るというより、着地の衝撃をアキレス腱にバネのようにエネルギーを蓄えて返す仕組みがあります。
しかし、足首が硬いとふくらはびの伸び具合が乏しく、腱にエネルギーが溜まりにくくなります。その結果、筋肉が代わりに頑張るようにふくらはぎ仕事量が増えてしまいます。
筋力不足(特にヒラメ筋)
根本的にふくらはぎの筋力不足だとふくらはぎが耐えきれなくなり負担が増えてしまいます。ふくらはぎの筋肉の中でもランニングのような長距離では腓腹筋よりヒラメ筋の持久力が重要です。
研究でもランニング中はヒラメ筋がかなり活動することが分かっています。ヒラメ筋の筋持久力を鍛えるには、知識が必要です。
シューズ要因
ドロップが低い靴

ドロップ=踵とつま先の高低差
例:
踵 30mm / 前足部 20mm → ドロップ10mm
踵 25mm / 前足部 21mm → ドロップ4mm
ドロップが低いほど、着地時に脛が前に倒れやすくなり、腓腹筋・ヒラメ筋・アキレス腱が伸ばされる量が増えます。よりふくらはぎが伸ばされてしまうため、痛みや張りが出やすくなります。
特に普段ドロップ10mm前後の靴を履いていた人が、いきなり4〜6mm以下に変えると負担が出やすいです。
薄底・クッション少なめ
薄底は地面からの衝撃がダイレクトに入りやすく、その衝撃を足部・足首・ふくらはぎで吸収する割合が増えます。
ミッドソールが厚めのランニングシューズは衝撃を一部吸収してくれますが、薄底・硬めの靴はふくらはぎが吸収役になりやすいです。
特に初心者ランナーさんや疲労が溜まっている時は、薄底で走行距離をこなすようになると”ふくらはぎ”の疲労が蓄積していってしまいます。
反発が強すぎる靴
カーボン入りや高反発フォームの靴は、前に進む推進力を生み出しますが、一方で足首まわりの制御能力も求められます。
特にプレート入りシューズでは、「反発を受け止める」→「足首・ふくらはぎで姿勢を制御する」→「慣れていないと張りや痛み」につながることがあります。
「速く走れる靴」=「身体に優しい靴」とは限らないです。
ランニングシューズが劣化している
ランニングシューズは消耗品です。ランニングシューズの走行距離が増えると、「ミッドソール潰れによるクッション性低下」が起こります。
ランニングシューズが摩耗すると着地が不安定になり、足首を支えるためにふくらはぎが余計に働かなければいけません。
目安はよく500〜800kmと言われますが、体重・走り方・路面で変わります。
ランニングシューズの安定性が合っていない
スピード用のランニングシューズは足首の制御を自身で行うシューズ。
速く走るためのランニングシューズを筋力が不足している初心者ランナーが使ってしまうと足首の制御が不十分となり、グラつきやすくなってしまいます。その結果、ふくらはぎの筋肉が余計に働くことになり、負担が増えてしまいます。
走っている時に体幹がグラつく・膝が内側に入りやすいというランナーの方は要注意です!!
走るための身体作りがまだ不十分な初心者ランナーは安定性が低い靴だとふくらはぎの負担が増えやすいので注意しましょう。
ランニングで”ふくらはぎ”が痛む対策
トレーニング負荷を調整する
「急に走行距離を増やした」・「走るペースを速くした」・「ポイント練習の頻度を増やした」・「坂道練習を取り入れた」これらはオーバーユースのきっかけになってしまうかもしれません。
速く走ることが出来るようになるためにはトレーニング負荷を上げなければいけませんが、焦って負荷を急激に上げ過ぎると身体の適応が間に合わず故障してしまいます。
【オーバーユースの対策】
・ 走行距離は週10%以内を目安に増やす
・ 高強度日(ポイント練習日)は連続させない
・ 痛みや疲労が強い日は休養、クロストレーニング

特に走行距離は一気に増やさないように要注意です!!
ランニングフォームを見直す
ふくらはぎに負担のかかるランニングフォームなら、ランニングフォームを改善するだけでふくらはぎの疲労や痛みを改善できるかもしれません。
【地面蹴るプッシュ型ではなく、足を前に引き戻すイメージ】
地面を強く蹴るプッシュ型ランニングは筋肉の消耗が大きく長くは続きません。筋疲労ですぐに失速してしまいます。長距離走るランニングフォームのコツは地面を後ろに強く蹴るのではなく、足を前に引き戻すイメージ。
【足の着地位置は身体の真下】
足の着地位置が身体に前になっていると、着地の衝撃がブレーキとなり身体に負担がかかってしまいます。ふくらはぎも例外ではなく、着地位置が前になっていると負担が大きくなってしまうため足の着地位置は身体の真下をイメージしましょう!
【ピッチを増やしてみる】
速く走るには「地面を強く蹴って推進力を生み出しストライドを伸ばす」または「足の回転を速くしピッチを増やす」のどちらかです。
ストライドを伸ばすストライド走法は筋肉の消耗が大きく、長年トレーニングを積んだランナーでないと疲弊し失速してしまいます。筋肉を温存し長く速く走るためにはピッチを増やすピッチ走法がオススメです。
【ミッドフット接地にしてみる】
足の前側から接地するフォアフット接地は着地の衝撃を推進力に活かしやすい反面、ふくらはぎの筋肉の負担も大きい走り方です。多くのランナーはミッドフット接地(足裏接地)が推奨されているため、つま先側から接地している人は足裏全体の接地を意識してみて下さい。
足首のストレッチをする

【腓腹筋のストレッチ】
1.壁や手すりに両手をつき、片足を後ろに引いて立つ
2.後ろ足のつま先をまっすぐ前に向け、かかとを床につける
3.後ろ足の膝を伸ばしたまま、上体を壁に近付けてふくらはぎを伸ばす
4.その姿勢を30秒キープし、反対側の足も同様に行う

【腓腹筋のストレッチ】
1.壁や手すりに両手をつき、片足を後ろに引いて立つ
2.後ろ足のつま先をまっすぐ前に向け、かかとを床につける
3.後ろ足の膝を曲げたまま、上体を壁に近付けてふくらはぎを伸ばす
4.その姿勢を30秒キープし、反対側の足も同様に行う

特にランナーはヒラメ筋の柔軟性が重要と言われています。ヒラメ筋の柔軟性を確保し効率の良い走りを身に付けましょう!
ふくらはぎの筋トレをする

【カーフレイズやり方】
1.足を腰幅に開いてまっすぐ立ち、壁や手すりに手をかるく添える
2.ゆっくりとかかとを持ち上げ、つま先たちになる
3.ふくらはぎの収縮を意識しながらキープする
4.ゆっくりとかかとを下ろし、元の位置に戻る
【主に鍛えられる筋肉】
1.腓腹筋:足首の安定と蹴り出しに関わる筋肉

【カーフレイズやり方】
1.足を腰幅に開いてまっすぐ立ち、壁や手すりに手をかるく添える
2.膝を曲げた状態でゆっくりとかかとを持ち上げ、つま先たちになる
3.ふくらはぎの収縮を意識しながらキープする
4.ゆっくりとかかとを下ろし、元の位置に戻る
【主に鍛えられる筋肉】
1.ヒラメ筋:足首の安定と蹴り出しに関わる筋肉

【片足カーフレイズやり方】
1.片足立ちになり、壁や手すりに手をかるく添える
2.ゆっくりとかかとを持ち上げ、つま先たちになる
3.ふくらはぎの収縮を意識しながらキープする
4.ゆっくりとかかとを下ろし、元の位置に戻る

片足立ちになることで負荷を高めることができます!両足のカーフレイズでは筋肉の負荷が足りないという方は片足立ちにカーフレイズがオススメです。
ランニングシューズを見直す
走っている時にふくらはぎが痛くなってくるランナーは、「ミッドソールが厚い(ドロップが十分にある)」+「安定性の高い」ランニングシューズがオススメです。
ミッドソールが薄いランニングシューズは接地感覚が十分にありますが、走っている時にふくらはぎの筋肉が伸ばされやすく負担がかかりやすくなります。また、走っている時に体幹がブレてしまい、膝が内側に入ってしまう人は安定性の高いランニングシューズがオススメです。
ランニングシューズで500~800km走った人は、買い替えも検討しましょう。走るペースは変えていないのに、足が疲れやすくなった…膝が痛くなってきた…マメができるようになった…全て買い替えのタイミングです。

適切なランニングシューズを使うことはマメや水ぶくれを予防するだけじゃありません。
腰・膝、そしてふくらはぎを痛めないためにも能力・用途に合ったシューズを使うようにしましょう。
まとめ
本記事ではランニングでふくらはぎが痛くなる原因と対策方法についてお伝えしてきました。
【ランニングでふくらはぎが痛くなる原因】
1.オーバーユース
2.プッシュ型フォーム、オーバーストライド、低ピッチ、フォアフット接地など
3.足首(ふくらはぎ)の柔軟性低下
4.ふくらはぎの筋力低下
5.ドロップの低いランニングシューズ、安定性の低いランニングシューズ
【ランニングでふくらはぎが痛くなる対策】
1.トレーニング負荷を見直す
2.足を引き戻すように意識、ピッチを増やす、ミッドフット接地を意識など
3.足首(ふくらはぎ:特にヒラメ筋)のストレッチ
4.ふくらはぎ(特にヒラメ筋)の筋トレ
5.ミッドソールの高いランニングシューズを使う、体幹がブレる人は安定性の高いランニングシューズを使う

ランニングでふくらはぎが痛くなる原因に思い当たる節はありましたか?
今日が一番若い日です。知識を得るだけでは何も変わりません。知識を得て行動するまでがセットです。
今日から出来る対策でふくらはぎの痛みを解消し、快適なランニングライフを楽しみましょう!
風を切るランニング 