”楽に長く走れる”・”速く走れる”ようになるための身体の変化として、ミトコンドリアは欠かせません。
ミトコンドリアは、筋肉を動かすためのエネルギーを作り出す工場のような存在です。実は、持久力が高いランナーほどミトコンドリアの量や働きが優れていることが知られています。
今回は、ミトコンドリアの役割やランニングとの関係、効率的に増やすトレーニングについて解説します。
トレーニングを自分で調整したい方には欠かせない知識です。ぜひ参考にしてみて下さい。
ミトコンドリアとは?

ミトコンドリアは細胞の中に存在する小さな器官。
主な役割は「糖質や脂質を利用してエネルギー(ATP)を作り出す」ことです。
人が歩く・走る・呼吸するなど、あらゆる活動にはエネルギーが必要です。そのエネルギーを生産しているのがミトコンドリアです。
よく「細胞内の発電所」・「エネルギー工場」と表現されます。
ミトコンドリアの量や機能が高いと、「長時間動き続けやすい」・「疲れにくくなる」・「脂肪を利用しやすくなる」といったメリットがあります。
逆にミトコンドリアが少ないと、エネルギー生成量が追い付かず、エネルギーが不足することで疲労しやすくなります。
ランニングとミトコンドリアの関係性

ランニングは走り続けるために大量のエネルギーが必要になります。
特にジョギングやマラソンのような有酸素運動では、ミトコンドリアが中心となってエネルギーを生み出しています。
ミトコンドリアが多いランナーほど楽に走れ、同じペースで走っていても、「ミトコンドリアが多い人」・「ミトコンドリアが少ない人」では身体への負担が大きく異なります。
ミトコンドリアが多い人は、酸素を効率よく利用してエネルギーを作れるため、余裕を持って走ることができます。
ミトコンドリアは脂肪をエネルギーに変換する役割も担っています。
そのためミトコンドリアが発達すると、「グリコーゲンの節約」・「後半の失速予防」・「持久力向上」につながります。
マラソン後半で粘れるランナーほど、ミトコンドリアの能力が高い傾向があります。
ミトコンドリアを増やす・機能を上げるトレーニング

ミトコンドリアはトレーニングによって増やしたり、働きを高めたりできます。ミトコンドリアの数を増やす・機能を高めるには特別な方法ではなく、基本的な有酸素トレーニングの積み重ねが重要です。
① イージーランニング
ミトコンドリアの数は持久系トレーニングの総負荷(量×質)が重要と言われています。
トレーニングの総負荷とは、「どれだけ多くのトレーニングを、どのくらいの強度でこなしてきたのか」ということ。トレーニングの強度が高いと時間的な効率が良いですが、高負荷のトレーニングばかりしていると故障のリスクが高くなってしまいます。
そこで、最もオススメなのがイージーランです。会話ができる程度の楽なペースでも、ミトコンドリアへの刺激を与えられ、ミトコンドリアの数が増えると言われています。
【イージーランのポイント】
・最大心拍数の60~75%程度
・息が弾むが会話は可能
・30~90分程度

初心者から上級者まで効果的な方法です。
② LSD(ロングスローディスタンス)
LSDとはゆっくり長時間走るトレーニングです。運動時間が長くなることで、ミトコンドリアへの刺激量が増え、ミトコンドリアの数が増えることが期待できます。
【LSDのポイント】
・会話ができるペース
・90~180分程度
・距離より時間を重視

LSD(ロング走)はフルマラソンに出場予定のある人は行っておきたいトレーニングです。
③ テンポ走・閾値走
ミトコンドリアの数はトレーニングの総負荷が重要であり、軽負荷のイージーランでも積み重ねることでミトコンドリアの数が増えることが期待できます。しかし、ミトコンドリアの機能を高めるにはトレーニングの質・負荷が大切であり、高負荷のトレーニングが必要です。
ミトコンドリアの機能を高めるトレーニングに非常にオススメなのが、テンポ走・閾値走です。
閾値走はミトコンドリアが乳酸をギリギリ処理出来る手前で走り続けるペースであり、きついけど維持出来てしまうペースです。テンポ走はもっと範囲が広く、ざっくり”フルマラソンのペース以上”~”閾値走以下”の範囲で走ることを言います。
【閾値走のポイント】
・「ややきつい」と感じる強度
・20~40分程度継続
・週1回程度で十分

テンポ走・閾値走はトレーニングを積んできた初中級者以上にオススメです。
特にハーフマラソンに出場予定のある人にオススメのトレーニングです。
④ インターバル走
インターバル走は「疾走:速いペース」と「休息:ジョグ」を繰り返すトレーニングです。インターバル走による強い刺激はミトコンドリアの生成を促すシグナルが活性化されると言われています。
また、”乳酸を急激に生み出す”➝”休息”を繰り返す為、身体では乳酸を処理しようと働きます。その結果、ミトコンドリアの乳酸処理能力も高める効果が期待できます。
【インターバル走のポイント】
・VO₂max向上にも効果的
・週1回程度で十分
・疲労管理が重要

インターバル走は走るスピード強化・速いペースを維持するスピード持久力の強化にオススメです。
やりすぎると回復が追いつかなくなるため注意しましょう。
ミトコンドリアを育てるために大切なこと
ミトコンドリアは数日トレーニングを積んだから大きく増えるわけではありません。長い年月をかけて積み重ねることが非常に大切です。
重要なのは、「きつい練習をたまに行うこと」よりも「継続して走ること」です。
そのため、週1回だけ全力で頑張るより、週3~5回の継続が大切です。とにかく継続できる仕組み・習慣作りが必要になってきます。
トレーニングを単発にしないために、適度な高強度トレーニングを週1~2回行い、高強度トレーニングの間をイージーランで繋ぐという考え方がミトコンドリアを発達させやすくします。
まとめ
ミトコンドリアは筋肉の中でエネルギーを作り出す「発電所」みたいなもの。ミトコンドリアは”持久力の向上”や”回復力強化”には欠かせない存在であり、ランニング能力を支える重要な要素でもあります。
ミトコンドリアを増やし育てるためには、「イージーラン」・「LSD(ロング走)」・「テンポ走・閾値走」・「インターバル走」を目的に応じて組み合わせることが大切です。

今日が一番若い日です。ランニングを継続し、上手にミトコンドリアを育ててランニングのパフォーマンスを上げていきましょう。
マラソンの記録を狙うなら最大のチャンスは今日です。頑張っていきましょう!!
風を切るランニング 