【失敗しない】マラソンの記録更新を狙うベストなペース戦略

「マラソンでベストを出すにはどのくらいのペースがいいの?」

「最初にタイムを稼いだ方がいいの?最初は抑えた方がいいの?」

マラソンでベストを狙うためにはペース戦略が非常に大切です。しかし、レース経験の浅いランナーだとどのようなペース戦略をとればいいのか分からないと思います。

本記事ではマラソンで記録更新を狙う・良い記録を狙うランナー向けにベストなペース戦略についてお伝えしていきます。

「少しでも良いタイムを出したい!!」という人は、ぜひ参考にしてみて下さい。

マラソンの好記録を持っているランナーはわずかなネガティブスプリット

 エリートランナーの世界では、優勝や好記録のレースで”わずかなネガティブスプリット”が見られることがあります。

 ネガティブスプリットとはレース序盤から終盤にかけて徐々にペースが上がる走り方です。つまり、前半は少し抑え気味に走って余力を残し、後半で少しペースアップして走る戦略です。

 エリートランナーはこのネガティブスプリットを主なペース戦略として走っています。「ベストを出すために勝負に出る」というのであればわずかなネガティブスプリット戦略がベストですが、”経験が必要な走り方”であり初心者~中級者ではあまりオススメしにくいペース戦略です。

マラソン初心者~中級者はイーブンペースがオススメ

 マラソン初心者~中級者はイーブンペース戦略がオススメされています。

 イーブンペース戦略とは常に同じペースで走る戦略です。

 マラソンで避けたいのが最初のオーバーペースです。最初にペースが速くなって後半でペースが落ちる…このポジティブスプリットは生理学・運動学的メカニズムからもできるだけ避けたいペース戦略です。

 初心者~中級者はイーブンペースを意識するだけも最初のオーバーペースを防ぐことが期待出来るため、同じペースを意識してみるといいでしょう。

 ただし、フルマラソンの場合、最初の20分間はウォーミングアップのつもりで気持ちゆっくり目に走る方がいいです。血液の循環が良くなる・筋温が温まってくるまでは糖質エネルギーの消耗割合が大きいため、疲労しやすくなります。最初の20分は気持ちゆっくり目に走る、20分経過後に予定していたイーブンペースを開始するという戦略がオススメです。

イーブンペースのメリット

筋肉への負担が平等になる

 ペースを上げたり下げたりすると、そのたびに筋肉は余分な力を発揮しなければいけません。

例えば、

・4:30/km➝4:00/kmへ加速

・4:00/km➝4:00/kmへ減速

を繰り返すと「股関節伸展筋:大殿筋(おしり)とハムストリングス(太もも裏)」と「足関節底屈筋:腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ)」が通常より大きな力を発揮しなければいけません。

 ペースの加減を繰り返すと筋肉の負担が増えてしまい、筋疲労で後半失速してしまう原因となってしまいます。特にフルマラソンでは筋疲労をどれだけ抑えるかが後半のペース維持に関わってきます。

 イーブンペースでは筋出力が安定するため、「筋疲労が蓄積にしにくい」「特定部位への負担が偏らない」というメリットがあります。

上下動・ブレーキ動作が少なくなる

 ランニングでは前方へ進む推進力だけでなく、「上下方法」・「左右方向」への動きも生じています。

・ストライドが急に広がる

・上下動が増える

➝接地衝撃が増える

 着地衝撃が増えると筋肉で吸収しなければならないエネルギーが増えます。特に太もも前の筋肉の負担が増えてしまい、後半で失速してしまう原因となります。

 イーブンペースではストライドピッチ・重心移動が安定し、無駄なエネルギー消費が抑えられます。

腱のバネを最大限利用できる

 ランニングは筋肉だけでなく、「アキレス腱」・「足底腱膜」・「大腿筋膜」などの弾性組織を利用しています。簡単にいうと、筋肉や腱に備わっているゴムの性質を利用しているということです。

 これをStretch-Shortening Cycle(SSC)と呼びます。

 イーブンペースでは接地時間・接地位置・荷重量が安定し、腱に蓄えられた弾性エネルギーを毎歩ほぼ同じように再利用できます。

 一方でペース変動が大きいと、「接地時間が変わる」「荷重量が変わる」ため、バネ効率が低下しペースが落ちたり、筋肉の負担が増えてしまいます。

ランニングフォームが崩れにくい

 走るペースが変わると身体は自然にランニングフォームを変化させます。

 加速時には「ストライド増加」・「体幹前傾増加」・「地面を強く蹴る」などの動きに変化が生まれます。加速を繰り返すと”前ももの優位な働き””上半身の力み”が生じやすくなります。

前ももはどちらかというと瞬発力よりの性質をもつため、疲労しやすい筋肉です。前もも優位の筋肉の働きは後半でランニングフォームが崩れる原因になってしまいます。

 イーブンペースでは、同じランニングフォームを維持しやすく、結果としてエネルギーロスが少なくなります。

エネルギーコストが最小になる

 イーブンペースはランニングエコノミーの向上が期待できます。

 ランニングエコノミーとは「一定速度で走るために必要な酸素量」のことをいいます。つまり、ランニングエコノミーが向上するということはエネルギー効率の良い走り方というわけです。

 速度が安定していると「神経系の制御」・「筋活動パターン」・「関節運動」が一定になります。その結果、身体は最も効率の良い動きを繰り返しやすくなります。

 逆にペースの変動が大きいと、毎回動きを調整するため余分なエネルギーを消費します。

経験豊富なランナーはネガティブスプリットがオススメ

 世界レベルのエリートランナーはわずかなネガティブスプリットで走っており、最も最大パフォーマンスを発揮するのであればネガティブスプリットが良いことが予想できます。

 しかしネガティブスプリットを狙い過ぎて前半を遅く走り過ぎると後半に必要以上のペースアップが必要になります。

・前半:5:10/km

・後半:4:50/km

のように大きくペースを変えると、加速のために筋出力が増え効率もやや低下します。

 しかし、それでも最善を尽くしたいレースもあると思います。思い切って勝負したいという方にネガティブスプリットのメリットについて整理していきます。

ネガティブスプリットのメリット

グリコーゲンを温存しやすい

 ネガティブスプリットは前半を抑えるためグリコーゲンを温存しやすいです。

 グリコーゲンは後半でペースを維持・向上させるために温存する戦略がセオリーです。ネガティブスプリットはグリコーゲンをより温存しやすく後半で勝負をかけることができます。

筋疲労の蓄積を抑えやすい

 最初は少し抑え気味に走る為、筋疲労も抑えやすくなります。

 筋疲労は足攣りの原因にもなるため、足の疲労を抑えることはエネルギーの温存だけでなく、後半の足攣り対策にもなります。

暑さの影響を受けにくい

 気温が高くなると発汗して体温を下げるために、身体の表面への循環量が相対的に増えます。そして、身体の表面への循環量が増えると筋肉への循環量は相対的に減る傾向があります。

 筋肉への循環量が減ると脂肪酸・酸素の運搬量が減り、グリコーゲンを消費しやすくなります。前半抑えるということは暑さにより筋肉への循環量が減ったとしても十分な脂肪酸・酸素で済むということであり、暑さの影響を抑えることができます。

後半に多くのランナーを追いかけるため心理的に有利

 マラソン後半は身体的・精神的にきつく耐える時間が続きます。その中で前にいるランナーを抜くのか、後ろからくるランナーに抜かされるのかは心理的なきつさが変わってきます。

 後半で前にいるランナーを抜くことで心理的に楽に走ることができ、自然とペースアップしやすくなります。

自身のマラソンペースを知るためのアプリ

VDOT Calculator:自身の走るペースを具体的な数値として示してくれるアプリ

 VDOTは自己ベストのタイムを打ち込むことで自身の走るペースとトレーニング強度を示してくれる優秀なアプリです。

 ※Mi=マイルであり、日本人ならkmを参照して下さい。

 自己ベストは10キロ走としていますが、フルマラソン・ハーフマラソン・15キロ・10キロ・1500mなど数多くの中から選択し、記録を打ち込むことで適切なペースを示してくれます。しかし、Vdot Calculatorで自己ベストを入力する際は、ハーフマラソンのタイムを使用することを推奨されているようです。

マラソン本番1ヶ月前に行っておきたいトレーニング

マラソンペース

 マラソン本番前に行っておきたいトレーニングの1つがマラソンペースで走るということ。

 つまり、実践を想定したペースで走るトレーニングです。実践を想定したペースで走ることで、ペース感覚を身体で覚えることができます。

 ペース感覚を覚えておくことは前半のオーバーペースを防ぐことにも繋がり、効率的な走りができます。

隼人(はやと)
隼人(はやと)

野球でもサッカーでも実践を想定した練習を行いますよね。マラソンも同様であり、実践的なペースのトレーニングが大切です。

ロング走

 ロング走は一回の練習で長い距離を走るトレーニングを言います。

 フルマラソンと同じ距離を走る必要はありませんが、週間走行距離の25~30%程度を目安に走ってみましょう。

 長い距離を走った経験は、レース本番で「このペースは長い距離走り続けられる」、とイーブンペースを保つ心理的余裕が生まれます。

隼人(はやと)
隼人(はやと)

ロング走は疲労も残りやすいため、本番1ヶ月前くらいに行うことがオススメです。

マラソンのペース戦略の鍵となるランニングウォッチの効果

 マラソンのペース戦略はイーブンペースがオススメです。

 しかし、マラソンは同じコースを周回するというわけではなくコースが常に変化していきます。上り坂・下り坂・向かい風、全て走るペースに影響する要因です。

 平坦・無風で走っていたペースのまま、上り坂・向かい風の中走ってしまうと通常よりも筋肉の負担が大きくなり疲労しやすくなります。トレーニング環境ではイーブンペースで走ることができても、マラソン本番では環境が異なるため思い描いてたようにペース管理が難しいことがあります。

 異なる環境でも身体にかかる負担を一定にする指標として、ランニングパワーがあります。ランニングパワーはどれだけのエネルギーを使って走っているかを数値化したものであり、無風・向かい風・上り坂でもランニングパワーを一定にすることを目安に管理することで、同じ負荷で走り続けることができます。

 ランニングパワーを指標にする場合、ランニングウォッチが必要です。今は比較的低コストのランニングウォッチもあるため、購入を検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

 本記事ではマラソンの記録更新を狙うベストなペース戦略について整理してきました。

 ベストを狙うのであればネガティブスプリットが最もオススメですが、「自身の走る能力を正確に把握すること」・「豊富なレース経験」が必要であり、エリートランナー向けの戦略です。

 初心者~中級者は常に同じペースで走り続けるイーブンペース戦略がオススメです。しかし、マラソンは常にコースが変化するため、「ペースを一定に保つ=身体の負担が常に一定」というわけにはいきません。コース変化も考慮し身体の負担を一定にするにはランニングパワーを指標にするのがオススメです。

 ランニングウォッチを付けて走る時に設定するだけで表示されますので、簡単にランニングパワーを知ることができます。